철도이야기


토요타가 될 수 없었던 보잉의 잘못
    2013/1/24 7:00

forbes

(2013년 1월 21일 Forbes.com)


트러블 속출의 787형기.보잉으로 무엇이 일어나고 있는 것인가(사진은 16일 오전 10시 33분 , 타카마츠 쿠코우)=공동

 내가 최근 쓴 「보잉의 실패:경영자가 배워야 할 7개의 교훈」(말미의 「참고 문헌」참조)이라고 하는 기사는, 날카롭게 열이 가득찬 논의를 일으켰다.코멘트를 인용한 사람들의 여러명은, 일반적인 교훈에 가세해 보잉이 아웃소싱(outsourcing)(외부 위탁)와 해외 이전으로, 어느 특정의 잘못을 범했다고 지적했다.그러한 잘못의 내용을 좀 더 자세하고 정밀 조사 해 보고 싶다.
 보잉은 지금까지, 미국내에서도 해외에서도, 코스트 삭감과 제품 개발의 가속을 목적으로 하고, 아웃소싱(outsourcing)에 특별히 힘을 쏟아 왔다.이러한 방침에 의해 「787형기의 개발 기간을 6년부터 4년에 단축, 개발비를 100억 달러에서 60억 달러에 삭감한다」일이 목적이었다.
 결과는 정반대가 되었다.같은 비행기의 개발비용은 예산을 몇십억 달러도 웃돌아, 기간은 예정보다 3년 늦었다.보잉 상용기 부문의 책임자, 짐·아르바우씨는 2011년 1월에 이렇게 말했다.「중추의 기술을 본사 주변에 남기고 있었을 경우에 비해, 쭉 고액의 비용을 필요로 했다」

■올발랐던 목표

 우선, 보인 그가 실행한 올바른 조치의 이야기로부터 시작하자.1990년대 후반에 단거리용 여객기(EADS 소유)에 쉐어를 빼앗긴 후, 보잉은 기존 기종의 코스트 삭감( 및 판매 가격의 인하)에 주력 할 수도 있었다.그것은 야박하지만 회사를 말로에 이끌고 있었을 것이다.보잉이 훌륭했던 것은, 그 대신에 고객에게 있어서의 부가가치가 있는 신형기를 개발해, 수익의 향상을 목표로 한다고 결정한 것이다.
 우선, 동사는 궁극의 고객, 즉 승객에게 있어서 여행의 질 향상을 목표로 했다.기존기에 사용되고 있던 소재(알루미늄)에 대신해, 신형의 787형기에 복합 소재(탄소 섬유, 알루미늄, 티탄)를 사용하는 것으로, 객실의 습도는 상승해, 기압은 일정하게 유지할 수 있기 위해, 하늘의 여행의 쾌적함은 크게 개선한다.가벼운 복합 소재에 의해서, 787형기는 어느 2 도시간에서도, 도중에 경유지에 내리는 일 없이 항행할 수 있다.
 제2에, 보잉은 복합 소재와 리튬 이온 배터리를 전원으로 하는 전기 계통을 사용하는 것으로 연비 향상을 도모해, 가장 친밀한 항공 회사에 의해 큰 가치를 제공하려고 했다.이 결과, 동등 기종에 의한 플라이트에 비해 연비는 20%향상해, 1 좌석·마일 당의 운항 코스트는 다른 어느 항공기보다 10%저하할 전망이었던 .그보다 더, 기존의 알루미늄제라면 동체가 녹슬고 피로도 일어나지만, 복합 소재를 사용한 787형기라면 멘테넌스나 기체 교환의 코스트도 삭감할 수 있다.
 보잉이 기체의 공급만 할 수 있으면, 좋은 일투성이의 내용이다.고객들도, 보잉이라면 걱정없다고 판단한 것은 분명하다.이렇게 하고, 787형기는 항공 사상, 가장 팔린 여객기가 되었다.보잉의 주가는 상승해, 경영진은 보너스를 얻었다.그러나, 현실은 어려웠다.

■배터리의 과열 문제

 787형기의 리튬 이온 배터리가 위험한 수준까지 과열한다고 하는 현재의 사상의 원인이, 작은 수복 가능한 제조상의 결함인가, 이 신형기의 존속을 의심하게 하는 심각한 설계 미스인가, 현재 모른다.
 동사의 최고 경영 책임자(CEO), 제임스·마크나니씨가 금요일, 동사 사원  앞으로 보낸 문서로 말한 것처럼, 「15개월전에 운항을 개시한 이래, 787형기는 8개의 항공 회사에서 1만 8천회의 플라이트를 해내, 플라이트 시간은 5만 시간에 달한다.온 세상의 목적지에 100만명 이상을 옮겼다」 것은 사실이다.그러나, 이러한 실적도, 동사가 리튬 이온 배터리의 과열 문제의 진상을 확실히 하지 않는 이상 허무하게 영향을 준다.
 지금 분명히 말할 수 있는 것은, 보잉이 미국내 및 국외에서 실시해 온 아웃소싱(outsourcing)에서는, 벌써 표면화해 버린 것 같은, 미리 예기 되고 있던 코스트나 리스크를 경감 혹은 제외하는 준비를 취하지 않았다고 하는 것이다.


생산의 아웃소싱(outsourcing)(외부 위탁)가 화근이 되었는가(미국의 에베렛트에 있는 조립 공장에서 생산되는 787형기.2011년 9월 25일)=AP

 아웃소싱(outsourcing)에서는, 비록 개별적으로는 확립한 기술이어도, 항공기를 조립해 보면, 부품 끼리 궁합이 나빴다고 하는 것을 일어날 수 있으므로, 큰 리스크가 있다.「이러한 근본적인 문제를 최소한으로 억제하려면  어떻게 하면 좋은가」.보잉의 항공기 엔지니어, L.J.하트-스미스 박사는 2001년에 발표한 몹시 훌륭한 논문(참고 문헌 참조)으로 이하와 같이 적고 있다.「원청 메이커는 현장의 품질을 유지해, 부품 공급원을 관리, 가끔  기술 지원도 할 필요가 있다.그렇지 않으면, 원청은, 각 공급원의 부품의 최저한의 능력을 넘은 제품을 만들 수 없다.이러한 코스트는 일의 내용을 볼 수 없는 만큼, 없고든지는 하지 않는다」
 보잉은 부품 공급사에 대한 이러한 현장에서의 지원 체제를 확립하려고는 생각하지 않았다.실제, 동사는 그러한 책임을 하청 기업에 환 던져 했다.하청 기업이 꾸짖어야 할 수준의 체제를 짤 수 없었던 경우, 보잉은 어쨌든 기술 지원에 나서지 않으면 안 되었다.「보잉은 787의 개발 지연으로 연결된 여러가지 기술적 과제를 해결하기 위해서, 온 세상의 Tier


トヨタになれなかったボーイングの過ち。


トヨタになれなかったボーイングの過ち
    2013/1/24 7:00

forbes
(2013年1月21日 Forbes.com)


トラブル続出の787型機。ボーイングで何が起こっているのか(写真は16日午前10時33分、高松空港)=共同

 私が最近書いた「ボーイングの失敗:経営者が学ぶべき7つの教訓」(末尾の「参考文献」参照)という記事は、鋭く熱のこもった議論を引き起こした。コメントを引用した人たちの何人かは、一般的な教訓に加え、ボーイングがアウトソーシング(外部委託)と海外移転で、ある特定の過ちを犯したと指摘した。それらの過ちの内容をもう少し詳しく精査してみたいと思う。
 ボーイングはこれまで、米国内でも海外でも、コスト削減と製品開発の加速を目的として、アウトソーシングに特に力を注いできた。こうした方針により「787型機の開発期間を6年から4年に短縮、開発コストを100億ドルから60億ドルに削減する」ことが狙いだった。
 結果は正反対になった。同機の開発費用は予算を何十億ドルも上回り、期間は予定より3年遅れた。ボーイング商用機部門の責任者、ジム・アルバウ氏は2011年1月にこう語った。「中枢の技術を本社周辺に残していた場合に比べ、ずっと多額の費用を要した」

■正しかった目標

 まず、ボーイングが実行した正しい措置の話から始めよう。1990年代後半にエアバス(EADS所有)にシェアを奪われた後、ボーイングは既存機種のコスト削減(および販売価格の引き下げ)に注力することもできた。それは無情だが会社を末路に導いていただろう。ボーイングが立派だったのは、その代わりに顧客にとっての付加価値のある新型機を開発し、収益の向上を目指すと決めたことだ。
 まず、同社は究極の顧客、つまり乗客にとって旅の質の向上を目指した。既存機に使われていた素材(アルミ)に代わり、新型の787型機に複合素材(カーボンファイバー、アルミ、チタン)を使うことで、客室の湿度は上昇し、気圧は一定に保てるため、空の旅の快適さは大きく改善する。軽い複合素材によって、787型機はどの2都市間でも、途中で経由地に降りることなく航行できる。
 第2に、ボーイングは複合素材と、リチウムイオン電池を電源とする電気系統を使うことで燃費向上を図り、もっとも身近な航空会社により大きな価値を提供しようとした。この結果、同等機種によるフライトに比べて燃費は20%向上し、1座席・マイル当たりの運航コストは他のどの航空機よりも10%低下する見通しだった。それにもまして、既存のアルミ製だと胴体がさび、疲労も起こるが、複合素材を使用した787型機ならメンテナンスや機体交換のコストも削減できる。
 ボーイングが機体の供給さえできれば、いいことずくめの内容だ。顧客たちも、ボーイングなら心配ないと判断したのは明らかだ。こうして、787型機は航空史上、最も売れた旅客機となった。ボーイングの株価は上昇し、経営陣はボーナスを得た。しかし、現実は厳しかった。

■バッテリーの過熱問題

 787型機のリチウムイオン電池が危険な水準まで過熱するという現在の事象の原因が、小さな修復可能な製造上の欠陥なのか、この新型機の存続を危ぶませるような深刻な設計ミスなのか、今のところ分からない。
 同社の最高経営責任者(CEO)、ジェイムズ・マクナーニ氏が金曜日、同社社員に宛てた文書で述べたように、「15カ月前に運航を開始して以来、787型機は8つの航空会社で1万8千回のフライトをこなし、フライト時間は5万時間にのぼる。世界中の目的地に100万人以上を運んだ」のは事実だ。しかし、こうした実績も、同社がリチウムイオン電池の過熱問題の真相をはっきりさせない限り、空しく響く。
 今はっきり言えるのは、ボーイングが米国内および国外で実施してきたアウトソーシングでは、すでに顕在化してしまったような、あらかじめ予期されていたコストやリスクを軽減あるいは除外する手はずをとっていなかったということだ。


生産のアウトソーシング(外部委託)が裏目に出たのか(米国のエベレットにある組み立て工場で生産される787型機。2011年9月25日)=AP

 アウトソーシングでは、たとえ個別には確立した技術であっても、航空機を組み立ててみたら、部品どうし相性が悪かったということが起こりえるので、大きなリスクがある。「こうした根本的な問題を最小限に抑えるにはどうしたらいいのか」。ボーイングの航空機エンジニア、L.J.ハート―スミス博士は2001年に発表した大変すばらしい論文(参考文献参照)で以下のように記している。「元請けメーカーは現場の品質を維持し、部品供給元を管理、時には技術支援もする必要がある。そうでなければ、元請けは、各供給元の部品の最低限の能力を超えた製品を作ることはできない。こうしたコストは仕事の内容を目にできないだけに、無くなりはしない」
 ボーイングは部品供給会社に対するこのような現場での支援体制を確立しようとは考えなかった。実際、同社はそうした責任を下請け企業に丸投げした。下請け企業がしかるべき水準の体制を組めなかった場合、ボーイングはいずれにしても技術支援に乗り出さねばならなかった。「ボーイングは787の開発遅れにつながった様々な技術的課題を解決するために、世界中のTier-1、Tier-2、あるいはTier-3クラスの部品会社にも何百人というエンジニアを送り込んだ。結局、ボーイングは航空機の部分組み立ての工程を丸ごとやり直さなければならなかった」。その結果どうなったか。巨額の追加コストが発生した。同社がもともとプロジェクトのコストとして計上しておくべきだったものだ。

■革新的技術に伴うリスク

 787に盛り込まれた技術は、アウトソーシングされた実証済みのものだけではない。同型機には他のどの航空機でもまだ試されていない革新的な重要技術も採用された。カーボンファイバーの複合素材は国際線の運航という過酷な環境に耐えるのか? 過熱しやすいという悪評がつきまとい、消火が困難な火事を引き起こすリチウムイオン電池は、果たして安全に使えるのか? 誰も自信をもって答えられない。787はまた、複雑な新型の電気系統、および出力・配電パネルを搭載している。いっせいに導入された新技術による相互作用が、技術革新に伴うリスクを一気に押し上げた。
 イノベーションがもたらすリスクをあえて取り込むということは、航空機の開発や生産段階でボーイングがより深く関与しなければならない意味合いを持っていた。ところが驚くべきことに、ボーイングは浅い関与にとどめ、詳細なエンジニアリングや調達を下請け任せにすることを選んだ。その結果どうなったか? 想定外の問題が絶えず発生し、開発・生産計画は延期を余儀なくされ、コストも膨らんでしまった。

■アウトソーシングのリスク

 航空機のような複雑な製品を作るには、どうしても一定のアウトソーシングが欠かせない。というのも、メーカー単独ではエンジンや航空電子工学に関する専門的ノウハウを持ち合わせないからだ。しかしながら、ボーイングは787の製造にあたり、アウトソーシングの割合をそれまでの機体より大幅に増加させた。737や747型機ではアウトソーシング比率は35~50%だった。ボーイングはこれを787に関しては70%まで高めようとした。
 ボーイングは外部委託を必要悪とは見なしていなかった。それどころか、他の米国企業と同様、787の開発にかかるコストと期間を削減するために、熱心にアウトソーシングに取り組んだ。「787のサプライチェーンは製造・組み立てコストを低く抑えつつ、ボーイングのサプライヤーに財務上のリスクを分散するように考えられた」
 ハート―スミス博士は先ほど触れた2001年の論文で、大規模なアウトソーシングが引き起こす追加的なコストやリスクについて警鐘を鳴らしていた。同氏はこう指摘している――アウトソーシングはコスト削減や収益向上はもたらさない。収益とノウハウがサプライヤーに流出する一方、母体メーカーはコスト増に直面することになる――と。「アウトソースされるのは仕事だけではない。その仕事に付随する利益のすべてが、外部に流れ出るのだ」
 ハート―スミス氏は、購買の決定は、徹底したコスト評価に基づくべきだと指摘する。「購買の決定は、製品の仕様が固まり、関連するコストがはっきりするまで、なされるべきではない」
 アウトソーシングをするには、主要な組み立て部品が最終組み立て段階でうまく合わないといった事態を避けるため、通常よりかなりの労力を要し、コストは業務分担とは無縁の状態で設計した場合に比べ、格段に増える。
 ボーイングはハート―スミス氏の警告に従わず、製品の仕様が固まり関連コスト計算が終了するよりはるか前に、エンジニアリングと機体製造を外部に委託することに決めた。この結果は惨憺(さんたん)たるものだ。ボーイング787のプロジェクトは、予算を何十億ドルも上回った。機体納入時期は、少なくとも7回延期された。最初の納入は計画より3年以上遅れてからだった。

■多層構造のアウトソーシングに潜むリスク

 ボーイングは新しい技術の導入とともに、新しいアウトソーシングの手法を選んだために、リスクはさらに増幅した。ボーイングの従来機では同社がサプライヤーの各部品をとりまとめ、組み立てを担うという伝統的な役割分担があった。しかし、787ではサプライチェーン自体が多層構造となった。これにより、ボーイングはTier―1と呼ぶおよそ50社の取引先との戦略的パートナー関係を構築するようになった。こうした戦略的パートナー企業はそれぞれ「インテグレーター」となり、Tier―2あるいはTier―3クラスのサプライヤーが納入する部品や部位の組み立てを任された。
 当然のなりゆきだが、以前にハート―スミス氏が予測していた通り、ボーイングは、Tier―1クラスの戦略的パートナーの一部が、航空機の異なるセクションに関する開発ノウハウを持ち合わせなかったり、Tier―2企業を管理し切れないことを悟ることになった。開発プロセスを立て直すため、ボーイングはTier―1サプライヤーの1社、Vought Aircraft Industries の買収を強いられるとともに、ほかのサプライヤーにノウハウを提供しなければならなくなった。ボーイングはまた、戦略的パートナー企業に対して製造の遅延に伴う損失の穴埋めもしなければならなかった。

■とってつけた「トヨタ方式」

 ボーイングのアウトソーシングの手法は、トヨタが開発期間を短縮しながら新車を製造する原動力となったトヨタ方式のサプライチェーンを部分的に取り入れている。トヨタは製造する自動車の70%ほどを、信頼関係を築くグループ会社に外部委託し成功を収めている。
 しかし、ボーイングはトヨタ方式のアウトソーシングの核心部分を採用していない。トヨタは、自動車全体の設計とエンジニアリングはがっちりと本体がコントロールしている。そのうえで、納期を遵守し、品質、コスト削減、継続的な技術革新といった点で能力が高いと認められたサプライヤーだけに外部委託をしている。トヨタはサプライヤー企業と密に連携し、サプライヤーの問題には誠実に、お互いに敬意を持って対応してきた結果、驚くべき水準のプロ意識に基づく信頼関係を築き、品質管理を徹底できるようになった。
 対照的にボーイングは、トヨタの多層構造のアウトソーシングのモデルの本当の価値や研ぎ澄まされた慣行は顧みず、表面的にトヨタの方式をまねた。その代わり、ボーイングは内容の薄い契約に基づき、納入期限を守っても報奨は無く、期限を守れないとペナルティーを課すという方法で、生産スピードが最も遅いサプライヤーに合わせたおかしな奨励制度を作り出した。

■海外移転のリスク

 航空機のような複雑な製品を製造する際、国外へのアウトソーシング、つまり海外移転はある程度避けて通れない。ある部分のノウハウは外国にしかないということが起こりうるからだ。例えば、リチウムイオン電池の製造能力は米国外にあった。ボーイングはバッテリーを、海外生産に頼らざるをえなかった。787の構成部品の30%以上は外国製だ。対照的に747では、外国製の部品はわずか5%だった。
 もちろん必要ならば海外移転をすることは原則的には間違っていないが、言語や文化の違い、延々と連なるサプライチェーンとの物理的な距離はリスクを高める要因となる。リスクを低減するには、サプライヤーと常に継続的な対話を続け、現場にも介入していくことが求められ、追加的なコストが発生する。ボーイングはこうした対話や介入を予定しておらず、追加的なリスクが顕在化してしまった。

■コンピューター頼みの対話

 顔と顔を突き合わせ、現場で対話するよりも、ボーイングが選んだのはExostarというネット上のコミュニケーションツールだった。サプライヤーは日々、業務の最新の進捗状況を入力することになっていた。このツールでサプライチェーンは業務を可視化できるようになり、業務上の重要なプロセスの管理や調整が向上、開発にかかる時間とコストは抑えられるはずだった。人と人が直接対話する代わりに、コンピューター自体がリアルタイムで浮上した問題を提起してくれると想定されていた。
 驚くことではないが、このツールは失敗に終わった。サプライヤーは、文化の相違や信頼の欠如もあり、正確にタイムリーに情報を入力しなかった。この結果、下請け企業もボーイングも、時機を得た形で問題を把握することができなかった。ボーイングがコンピューターを介した対話に依存したことは、全員が同じ情報を共有できるよう「顔を合わせて対話を継続」という記事とあまりにも対照的だ。

■労働関係のリスク

 ボーイングがアウトソーシングや海外移転に熱心に取り組んだ背景に、シアトルの本社での難しい労働問題を回避したいという思惑がどの程度あったのか、確かなことは分からない。ただ、明らかなのは、アウトソーシングや海外移転の意思決定に従業員を関与させず、ボーイングの経営陣は機先を制する形で意思決定をしたということだ。この手法はかえって従業員の反感を買い、アウトソーシングの決定により労使関係は悪化、コスト増要因となるストライキを招いた。

■プロジェクト管理の甘さ

 787プロジェクトにはこれだけのリスク要因が予測されたのだから、ボーイングが実績のあるサプライチェーン経営に基づくリーダーシップの体制を構築し、多様なノウハウを生かして広範囲に及ぶリスクを予測し、その軽減に乗り出すと期待するのが普通だろう。ところが、そうはならなかった。これは驚きだ。


トラブルの原因探しが続く(緊急着陸した787の全日空機を調べる米調査団メンバーら。18日、高松空港)=共同

 タン氏とツィンマーマン氏はある重要なケーススタディー(参考文献参照)のなかで、こう記した。「ボーイング787プログラムを当初率いたリーダーシップチームには、サプライチェーンのリスク管理の専門知識をもつメンバーがいなかった。従来とは異なるサプライチェーンを管理するのに必要なスキルがないため、ボーイングは海図を持たないまま、巨大な経営リスクを抱え込むことになった」

■手持ち無沙汰な経営陣

 これまで述べてきたようないくつものリスク要因が重なり、ボーイングにとって現在進行形の脅威が顕在化している。では、こうしたリスクに直面しようとしていたころ、経営陣はどこで何をしていたのか? 最初に787型機の開発が決定した当時のCEO、フィリップ・コンディット氏への2011年のインタビュー(参考文献参照)を通じて明らかにしよう。
 2001年、コンディット氏の指揮のもと、ボーイングは本社をシアトルからシカゴへ移した。この決定は後継者であるマクナーニ氏が引き継いだ。表向きの理由は、米国中に散らばるボーイングの各部署との距離の偏りを無くすためというものだった。インタビューでコンディット氏は別の理由も隠さなかった。経営者として同氏は「航空機はどうやって設計するのか」といったたぐいの面倒な課題や、シアトルにやってくる顧客(つまり航空会社)との退屈な会合がいやだったのだ。
 本社移転のあと、コンディット氏はシカゴのビジネス界の人たちと多くの時間を過ごすようになったそうだ。そこで彼は、「CEOたちが頻繁に集まって、新しい企業の上陸から世界的規模の公園の建設まで、都市の今後について決定を下していくのを目の当たりにした」。「私はこんなにいろいろなことが起きているのかと驚いた」とコンディット氏は語った。「スターバックスやマイクロソフト、コストコ、ボーイング、ウエアーハウザー、その他いろんな小さな企業が一堂に会する会合なんて、シアトルではめったにない。それがシカゴではいつも行われている」
 こうして、ボーイングのCEOがシカゴで、ボーイングの将来の戦略を練ったり、他社のCEOたちと都市の今後について議論を重ねたりしていたころ、シアトルの経営幹部たちは「いかに飛行機を設計するか」という面倒な、しかし会社を揺るがしかねない経営判断をしていたのだった。

Steve Denning, Contributor
(c) 2013 Forbes.com LLC All rights reserved
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO50905390T20C13A1000000/

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ボーイング787問題、調査は「まだ初期段階」、
“先進的”生産方式が問題を長期化

2013.01.29

初飛行中のボーイング787

(「Wikipedia」より)

 本日(1月29日)付日本経済新聞朝刊は、相次ぐ不具合で運航停止が続く米ボーイング787問題が、長期化の様相を見せていると報じた(記事『米ボーイング工場ルポ 引き渡せぬ787 敷地に並ぶ』)。従来機種とは異なる先進的な国際分業体制、モジュール生産方式などの影響で、米連邦航空局(FAA)などによる原因調査が、開始から2週間たった今も「まだ初期段階」(米運輸安全委員会幹部)だという。
 早期の原因究明に自信を持つ米ボーイングは、月10機への生産倍増計画も予定通り進める予定だが、FAAによる運航停止のため、在庫が膨らむ可能性があるという。実際、日経新聞の取材によれば、米ボーイングの生産拠点である米国シアトル郊外のエバレット工場の敷地には、全日本航空や日本航空など各航空会社の装飾が施された機体が、すでに10機以上並べられているという。
 787は、従来の航空機生産と大きく異なる。
 例えば、大型機777の生産ラインは、サッカー場数個分もある工場内を、平均で分速2インチで少しずつ動きながら、機体の横に次々と台車に乗った部品が供給され、組み立てられていく。いわゆる「カンバン方式」で、1990年代にトヨタ自動車の専門家を招き、取り入れられたものだ。
 一方の787の生産ラインでは、直線に並ぶ生産ラインはわずか4工程。前半の2工程で航空機の原形になり、あとはエンジンや電気系統を取り付けるだけ。機体の周囲にはデスクとパソコンが並び、部品はシートなどが少量あるだけで、工員ではなく数百人のエンジニアが陣取り作業している。
 787の生産の大きな特徴は、機体を部品毎に生産する「モジュール生産」を採用している点だ。例えば日本国内では、三菱重工業、川崎重工業、富士重工業などのパートナーが、機体生産の約35%を行う。世界8カ国での国際分業体制を敷くことで、エバレット工場での組み立ては最小限に控えられている。
 今回、この生産方式が、FAAなどが主導する原因究明調査を遅らせている原因になっている。
 例えば、発火事故などとのかかわりが指摘される電気系統では、日本のジーエス・ユアサコーポレーションが生産したリチウムイオン電池が仏タレスに供給され、タレスが電源モジュールとして組み立てたものが、ボーイングのエバレット工場に運びこまれる。
 こうした世界に広がるサプライチェーンの調査は容易ではなく、原因究明に向けた調査の長期化が予想されるという。
(文=編集部)
http://biz-journal.jp/2013/01/post_1407.html
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ボーイングはトヨタになりたかったのか。
でも、なれなかったのね。
( ´-ω-)

~ 以上 ~


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