嘘つき大国への道をひた走る韓国、信用ガタ落ち
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56996JB-press(韓国語) 2019年7月12日
レーダー照射に始まる政府と軍隊による巧妙な騙しのテクニック
韓国の駆逐艦からレーダー照射を受けた日本の対潜哨戒機「P-1」
韓国への戦略物資の輸出規制により、日韓関係は当面、最悪の道を進むだろう。この時に最も警戒しなければならないことは、韓国が仕かける情報戦だ。
韓国軍参謀部の情報は、かつてはかなりの確度で信頼できていた。
しかし、文在寅政権になってから、韓国発の軍事情報が意図的に捻じ曲げられていることや誤っていることが頻繁に生じている。
私は、防衛省・自衛隊などで、情報分析の仕事を長く経験してきた。
この期間に最も悩まされたことは、○○消息筋や○○軍事筋などと称される不明の情報源から、突然、ごまかしの「偽情報」(ディスインフォメーション)や「誤情報」が意図的に発信されたことだ。
なぜなら、偽情報がメディアに流れると、私だけでなく誰でもだが、一時的であっても、その情報に惑わされるか、脳の中に刷り込まれてしまうからだ。
特に、政権中枢の要人が偽情報を信じてしまうと大変なことになる。
かなり時間が経過してから偽情報や誤情報だと判明することがしばしばあるため、いったん信じてしまった内容を覆すのに大変な労力と時間がかかってしまうのだ。
では、韓国がどのようにして偽情報などを発信しているのか。そのパターンはどのようなものかを事例を挙げて紹介しよう。
そして、これらの情報に翻弄されないために、日本のメディアは、○○筋という者たちを表面に引き出して、信憑性を確認することが必要である。
そうすれば、偽情報などを発信している黒幕が判明するだろう。明らかにできない場合には、「公式に発表されたものか」「発言する者の地位や職名を出さない根拠不明な情報か」を区別して報道すべきだ。
1.レーダー照射問題:韓国発の事実を捻じ曲げた偽情報発信の手法
2018年12月に発生した海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題で、まず、韓国政府や韓国国防部は大筋の内容を発信した。
責任を日本に押しつけるための嘘が解明されないように、「やっていない」という裏を取られにくい簡単な事項だけを、公式にリリースした。
次に、韓国軍の消息筋や関係者という根拠不明の名称を使って、でっち上げた詳細な内容を説明する。これを受けて、それらを韓国メディアが流した。
詳細を説明すれば、嘘か真実かは、いずれ軍事専門家に暴かれてしまう。したがって、政府や国防部は、その筋の者の地位・役職を明らかにしなかった。
韓国による偽情報の流し方のパターンは次のとおりだ。
第1例:根拠不明の消息筋・関係者を装って、悪意ある偽情報を流す
(1)韓国国防部が「作戦活動の際にレーダーを運用したが、日本の海上哨戒機を追跡する目的で運用した事実はない」とリリースした。
(2)これに、韓国軍の消息筋が次のように伝えた。
「出動した駆逐艦は遭難した北の船舶を迅速に見つけるため火器管制レーダーを含むすべてのレーダーを稼働し、この際、近くの上空を飛行していた日本の海上哨戒機に照射された」と嘘の詳細な説明を行った」
さらに、韓国軍関係者が「日本の哨戒機が韓国の艦艇の上空を飛行するなど、むしろ威嚇的だった」と伝えた。
(3)すると、日本のメディアは国防部が公式に発表したものも、誰とも分からない軍消息筋のものも併せて、「韓国が発表している」とした。そして、
(4)海上自衛隊の元高官や軍事専門家が、日本のメディアで誰とも分からない消息筋の発言に反論した。
誰とも分からない軍の消息筋や関係者の発言がメディアに流れれば、日本としても粘り強く反論し続けなければならなくなる。
第2例:事実と異なる映像を貼り合わせて偽情報を作る
(1)韓国国防部は、「日本の海上自衛隊所属の海上哨戒機が、作戦行動中の韓国海軍の艦艇に向かって近接威嚇飛行を行った」
「韓国海軍の艦艇を明確に識別している状況にもかかわらず距離約540メートル、高度約60~70メートルで低空近接威嚇飛行を行ったのは明白な挑発行為とみなす」と発表した。
(2)軍関係者とする者が「大祚栄(駆逐艦)が哨戒機(日本のP3C)による低高度での近接威嚇飛行の様子を撮影した。日本の挑発の度合いを推し測ることのできるこの映像は、軍合同参謀本部に送られた」と伝えた。
また、国防省関係者は「機械は嘘をつかない」と述べた。
(3)日本のメディアでは、第1例と同様に、消息筋や関係者という発信者が明確でないものも含めて、全て韓国の発表によるとして報道された。
韓国が撮影したとされる映像は、P3Cの飛行の映像を上手く切り取って(高度が判明する海面を入れない)、韓国国防部が発表している内容のように見せかけたものだった。
写真を使って公表したデータも、座標が中国の上海に近いことが判明した。防衛省や軍事専門家が時間をかけて、韓国国防部の誤りを正した。
しかし、その後も、韓国国防部は、誤りを訂正していない。
この事件は、国家間の問題に発展したことなので、軍事責任者または当時の艦長が説明すべきだった。
嘘がばれると、軍の責任者や艦長が恥をかくことになるので、彼らは表には出てこなかったのだろう。
日本の防衛省にも問題がある
海上自衛隊は、日本海や東シナ海で飛行していた哨戒機の位置を「能登半島沖の日本海」と発表するだけで、座標や地図で示さなかった。
作戦行動を秘匿するためにどのような飛行経路で飛行していたのかを公表することはないが、韓国海軍などと問題があった場合には、そのポイントを正確に示すべきだった。
2.韓国政府は北朝鮮の脅威を正確に発信しない
文政権になってから、北朝鮮の軍事的脅威の評価は明らかに低い。また、その脅威を認めようとしない。
韓国の国防白書から「北朝鮮軍はわれわれの敵」という文言が削除された。
北朝鮮のすべての通常兵器や核ミサイルの大部分が韓国を占領するためのものであることは明白な事実なのにもかかわらずだ。
第1例:北朝鮮軍の脅威を意図的に低くする情報操作
北朝鮮が2017年9月3日に第6回目の核実験を実施した。日本の防衛省は1回目の発表では70kt、2回目では120kt、最終的には160kt、ノルウェー地震観測は120kt、米国の研究機関は140ktと結論づけた。
だが、韓国軍参謀本部だけは50ktと結論づけた。韓国はその後も修正することはなかった。
朝鮮半島との利害関係がないノルウェーの数字か、あるいは西側諸国の研究機関や防衛省の平均値かと比較すれば、韓国のデータは意図的に変えられ、低く押さえているとしか考えられない。
おそらく、修正値の発表は止められたのだろう。
第2例:北朝鮮軍の脅威を脅威と認めない情報操作
5月9日に発射されたミサイルについて、韓国軍合同参謀本部は、「飛翔体2発がそれぞれ距離約420キロと約270キロ、高度約50~60キロ飛行したことで、短距離ミサイルと推定される」と発表した。
だが、韓国国会国防委員会委員長は発射当初、明確に短距離ミサイルと判明していたにもかかわらず、後に「短距離ミサイルでない可能性が高い」と述べた。
この弾道ミサイルはロシアのイスカンデル短距離弾道ミサイルとほぼ同じもので、それも改良型Mタイプである。
この特色は、
(ア)慣性航法のほかに宇宙の衛星測位システムを使用するもので、命中精度が飛躍的に高まるとともに、飛翔の途中に軌道を変更することも可能だ。
(イ)420キロの飛距離の場合の通常の弾道軌道では、最高高度が120~130キロの高度になると考えられる。
今回の最高高度が通常よりもかなり低い約50~60キロという高度を飛翔したディスプレスド弾道であったと評価できる。
約50キロの高度で飛翔すれば、通常、大気の抵抗を大きく受けて、飛距離が短くなる。スラストロケットを使用して落下させない方式を採用したものと考えられる。
この2つの技術が実配備の弾道ミサイルに採用されれば、撃ち落とすことが困難になり、韓国のミサイル防衛にとって重大な脅威になる。
だが、この事実を国民に知らせようとはしない。北朝鮮の中距離弾道ミサイルにも搭載されるようになれば、わが国のミサイル防衛にも重大な影響を及ぼすことは明白だ。
3.北朝鮮と韓国の攪乱情報にやられた日本
最も新しい誤情報では、韓国の朝鮮日報などから、北朝鮮消息筋の話として、対米交渉を担当した金英哲氏が強制労役、妹の与正氏が「出過ぎた行動」で謹慎、担当者が処刑や政治収容所に送られたという報道があった。
しかし、その2~3日後には、金英哲も金与正も何もなかったかのように行事に現れた。地位も降格されていない。
米朝首脳会談で金正恩が屈辱を味わったことで、粛清が予測されていた。私もそう予測した一人であり、金英哲の降格、担当者は処刑かもしれないと考えていた。
これに沿った情報が流れたので、「一部の疑念はあったがやはりそうか」と、一瞬、信じてしまった。
この情報はいったい何だったのだろうかと考えると、北朝鮮と韓国が、日本のメディアや情報機関を攪乱させることを狙ったものであることはほぼ間違いない。
4.韓国が意図的に歪めた偽情報を粉砕するには
意図的に歪められた偽情報が流されれば、国民は一時的に騙されてしまう。
時間が経過すると、真実が明らかになり、「あの情報は誤りだった」と判明することが多い。
だが、国民には、時間の経過とともに、その時その瞬間の情報が積み重なった知識として入ってしまう。
インパクトがある情報であればあるほど誤解が生じてしまう。関心がなくなって、忘れ去られてしまうからよいというものではない。
では、偽情報を破砕するには、どうすればいいのか。
メディアは、努めて情報発信者を確認すること。特に、政府や軍の役職を明らかにしなければならない。
信頼できる情報なのか、そうでないのかを区別して伝えてほしいと思う。そうでないと、日本の政策決定者や国民の脅威に対する認識が誤ってしまう。
その後、真実を説明し、理解してもらうのにかなりの時間がかかるためだ。
情報分析を専門に仕事をする人は、それぞれの事象について継続して観察していかなければならない。継続して分析していれば、偽情報かあるいはその疑いがあるかが分かる。
短期間の分析だと騙される可能性が高い。何の目的で偽情報が流されたのかを継続して掴んでいなければ、同様なことが起こった場合に、情報分析を誤ってしまうからだ。
防衛省・自衛隊などの情報機関で情報分析の仕事をするようになって感じたことは、30~40年間も長期にわたって対象国の軍事を見ている専門家の分析や観察には、誤りが少ないということだ。
海の動きに例えれば、深い海の底を流れる海流を読んでいれば大筋を誤ることはない。だが、一時的に生じる海面の波を見て分析すると、大筋の動きを見失ってしまうことがあるということと同じである。
嘘つき大国への道をひた走る韓国、信用ガタ落ち
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56996JB-press(韓国語) 2019年7月12日
レーダー照射に始まる政府と軍隊による巧妙な騙しのテクニック
韓国の駆逐艦からレーダー照射を受けた日本の対潜哨戒機「P-1」
韓国への戦略物資の輸出規制により、日韓関係は当面、最悪の道を進むだろう。この時に最も警戒しなければならないことは、韓国が仕かける情報戦だ。
韓国軍参謀部の情報は、かつてはかなりの確度で信頼できていた。
しかし、文在寅政権になってから、韓国発の軍事情報が意図的に捻じ曲げられていることや誤っていることが頻繁に生じている。
私は、防衛省・自衛隊などで、情報分析の仕事を長く経験してきた。
この期間に最も悩まされたことは、○○消息筋や○○軍事筋などと称される不明の情報源から、突然、ごまかしの「偽情報」(ディスインフォメーション)や「誤情報」が意図的に発信されたことだ。
なぜなら、偽情報がメディアに流れると、私だけでなく誰でもだが、一時的であっても、その情報に惑わされるか、脳の中に刷り込まれてしまうからだ。
特に、政権中枢の要人が偽情報を信じてしまうと大変なことになる。
かなり時間が経過してから偽情報や誤情報だと判明することがしばしばあるため、いったん信じてしまった内容を覆すのに大変な労力と時間がかかってしまうのだ。
では、韓国がどのようにして偽情報などを発信しているのか。そのパターンはどのようなものかを事例を挙げて紹介しよう。
そして、これらの情報に翻弄されないために、日本のメディアは、○○筋という者たちを表面に引き出して、信憑性を確認することが必要である。
そうすれば、偽情報などを発信している黒幕が判明するだろう。明らかにできない場合には、「公式に発表されたものか」「発言する者の地位や職名を出さない根拠不明な情報か」を区別して報道すべきだ。
1.レーダー照射問題:韓国発の事実を捻じ曲げた偽情報発信の手法
2018年12月に発生した海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題で、まず、韓国政府や韓国国防部は大筋の内容を発信した。
責任を日本に押しつけるための嘘が解明されないように、「やっていない」という裏を取られにくい簡単な事項だけを、公式にリリースした。
次に、韓国軍の消息筋や関係者という根拠不明の名称を使って、でっち上げた詳細な内容を説明する。これを受けて、それらを韓国メディアが流した。
詳細を説明すれば、嘘か真実かは、いずれ軍事専門家に暴かれてしまう。したがって、政府や国防部は、その筋の者の地位・役職を明らかにしなかった。
韓国による偽情報の流し方のパターンは次のとおりだ。
第1例:根拠不明の消息筋・関係者を装って、悪意ある偽情報を流す
(1)韓国国防部が「作戦活動の際にレーダーを運用したが、日本の海上哨戒機を追跡する目的で運用した事実はない」とリリースした。
(2)これに、韓国軍の消息筋が次のように伝えた。
「出動した駆逐艦は遭難した北の船舶を迅速に見つけるため火器管制レーダーを含むすべてのレーダーを稼働し、この際、近くの上空を飛行していた日本の海上哨戒機に照射された」と嘘の詳細な説明を行った」
さらに、韓国軍関係者が「日本の哨戒機が韓国の艦艇の上空を飛行するなど、むしろ威嚇的だった」と伝えた。
(3)すると、日本のメディアは国防部が公式に発表したものも、誰とも分からない軍消息筋のものも併せて、「韓国が発表している」とした。そして、
(4)海上自衛隊の元高官や軍事専門家が、日本のメディアで誰とも分からない消息筋の発言に反論した。
誰とも分からない軍の消息筋や関係者の発言がメディアに流れれば、日本としても粘り強く反論し続けなければならなくなる。
第2例:事実と異なる映像を貼り合わせて偽情報を作る
(1)韓国国防部は、「日本の海上自衛隊所属の海上哨戒機が、作戦行動中の韓国海軍の艦艇に向かって近接威嚇飛行を行った」
「韓国海軍の艦艇を明確に識別している状況にもかかわらず距離約540メートル、高度約60~70メートルで低空近接威嚇飛行を行ったのは明白な挑発行為とみなす」と発表した。
(2)軍関係者とする者が「大祚栄(駆逐艦)が哨戒機(日本のP3C)による低高度での近接威嚇飛行の様子を撮影した。日本の挑発の度合いを推し測ることのできるこの映像は、軍合同参謀本部に送られた」と伝えた。
また、国防省関係者は「機械は嘘をつかない」と述べた。
(3)日本のメディアでは、第1例と同様に、消息筋や関係者という発信者が明確でないものも含めて、全て韓国の発表によるとして報道された。
韓国が撮影したとされる映像は、P3Cの飛行の映像を上手く切り取って(高度が判明する海面を入れない)、韓国国防部が発表している内容のように見せかけたものだった。
写真を使って公表したデータも、座標が中国の上海に近いことが判明した。防衛省や軍事専門家が時間をかけて、韓国国防部の誤りを正した。
しかし、その後も、韓国国防部は、誤りを訂正していない。
この事件は、国家間の問題に発展したことなので、軍事責任者または当時の艦長が説明すべきだった。
嘘がばれると、軍の責任者や艦長が恥をかくことになるので、彼らは表には出てこなかったのだろう。
日本の防衛省にも問題がある
海上自衛隊は、日本海や東シナ海で飛行していた哨戒機の位置を「能登半島沖の日本海」と発表するだけで、座標や地図で示さなかった。
作戦行動を秘匿するためにどのような飛行経路で飛行していたのかを公表することはないが、韓国海軍などと問題があった場合には、そのポイントを正確に示すべきだった。
2.韓国政府は北朝鮮の脅威を正確に発信しない
文政権になってから、北朝鮮の軍事的脅威の評価は明らかに低い。また、その脅威を認めようとしない。
韓国の国防白書から「北朝鮮軍はわれわれの敵」という文言が削除された。
北朝鮮のすべての通常兵器や核ミサイルの大部分が韓国を占領するためのものであることは明白な事実なのにもかかわらずだ。
第1例:北朝鮮軍の脅威を意図的に低くする情報操作
北朝鮮が2017年9月3日に第6回目の核実験を実施した。日本の防衛省は1回目の発表では70kt、2回目では120kt、最終的には160kt、ノルウェー地震観測は120kt、米国の研究機関は140ktと結論づけた。
だが、韓国軍参謀本部だけは50ktと結論づけた。韓国はその後も修正することはなかった。
朝鮮半島との利害関係がないノルウェーの数字か、あるいは西側諸国の研究機関や防衛省の平均値かと比較すれば、韓国のデータは意図的に変えられ、低く押さえているとしか考えられない。
おそらく、修正値の発表は止められたのだろう。
第2例:北朝鮮軍の脅威を脅威と認めない情報操作
5月9日に発射されたミサイルについて、韓国軍合同参謀本部は、「飛翔体2発がそれぞれ距離約420キロと約270キロ、高度約50~60キロ飛行したことで、短距離ミサイルと推定される」と発表した。
だが、韓国国会国防委員会委員長は発射当初、明確に短距離ミサイルと判明していたにもかかわらず、後に「短距離ミサイルでない可能性が高い」と述べた。
この弾道ミサイルはロシアのイスカンデル短距離弾道ミサイルとほぼ同じもので、それも改良型Mタイプである。
この特色は、
(ア)慣性航法のほかに宇宙の衛星測位システムを使用するもので、命中精度が飛躍的に高まるとともに、飛翔の途中に軌道を変更することも可能だ。
(イ)420キロの飛距離の場合の通常の弾道軌道では、最高高度が120~130キロの高度になると考えられる。
今回の最高高度が通常よりもかなり低い約50~60キロという高度を飛翔したディスプレスド弾道であったと評価できる。
約50キロの高度で飛翔すれば、通常、大気の抵抗を大きく受けて、飛距離が短くなる。スラストロケットを使用して落下させない方式を採用したものと考えられる。
この2つの技術が実配備の弾道ミサイルに採用されれば、撃ち落とすことが困難になり、韓国のミサイル防衛にとって重大な脅威になる。
だが、この事実を国民に知らせようとはしない。北朝鮮の中距離弾道ミサイルにも搭載されるようになれば、わが国のミサイル防衛にも重大な影響を及ぼすことは明白だ。
3.北朝鮮と韓国の攪乱情報にやられた日本
最も新しい誤情報では、韓国の朝鮮日報などから、北朝鮮消息筋の話として、対米交渉を担当した金英哲氏が強制労役、妹の与正氏が「出過ぎた行動」で謹慎、担当者が処刑や政治収容所に送られたという報道があった。
しかし、その2~3日後には、金英哲も金与正も何もなかったかのように行事に現れた。地位も降格されていない。
米朝首脳会談で金正恩が屈辱を味わったことで、粛清が予測されていた。私もそう予測した一人であり、金英哲の降格、担当者は処刑かもしれないと考えていた。
これに沿った情報が流れたので、「一部の疑念はあったがやはりそうか」と、一瞬、信じてしまった。
この情報はいったい何だったのだろうかと考えると、北朝鮮と韓国が、日本のメディアや情報機関を攪乱させることを狙ったものであることはほぼ間違いない。
4.韓国が意図的に歪めた偽情報を粉砕するには
意図的に歪められた偽情報が流されれば、国民は一時的に騙されてしまう。
時間が経過すると、真実が明らかになり、「あの情報は誤りだった」と判明することが多い。
だが、国民には、時間の経過とともに、その時その瞬間の情報が積み重なった知識として入ってしまう。
インパクトがある情報であればあるほど誤解が生じてしまう。関心がなくなって、忘れ去られてしまうからよいというものではない。
では、偽情報を破砕するには、どうすればいいのか。
メディアは、努めて情報発信者を確認すること。特に、政府や軍の役職を明らかにしなければならない。
信頼できる情報なのか、そうでないのかを区別して伝えてほしいと思う。そうでないと、日本の政策決定者や国民の脅威に対する認識が誤ってしまう。
その後、真実を説明し、理解してもらうのにかなりの時間がかかるためだ。
情報分析を専門に仕事をする人は、それぞれの事象について継続して観察していかなければならない。継続して分析していれば、偽情報かあるいはその疑いがあるかが分かる。
短期間の分析だと騙される可能性が高い。何の目的で偽情報が流されたのかを継続して掴んでいなければ、同様なことが起こった場合に、情報分析を誤ってしまうからだ。
防衛省・自衛隊などの情報機関で情報分析の仕事をするようになって感じたことは、30~40年間も長期にわたって対象国の軍事を見ている専門家の分析や観察には、誤りが少ないということだ。
海の動きに例えれば、深い海の底を流れる海流を読んでいれば大筋を誤ることはない。だが、一時的に生じる海面の波を見て分析すると、大筋の動きを見失ってしまうことがあるということと同じである。