誰かがスレッドを作るかもしれないと思ったのだけれど、誰も作っていないらしいので作ってみたりする。
今、「量産車」のシャシー(というか、ボディー)構造は、モノコックかラダーフレーム。
その理由は、「量産に向く技法」だから。
基本、プレス鋼板を切った貼ったして作っている。
内装を剥いてみた人、あるいは裏側からなら知っていると思うけれど、無数にプレスラインと肉抜きのための穴がある。
前者は「鋼板に強度を持たせる」ため、後者は「モノコック部分の重量を減らすため」のもの。
つまるところ、「プレス鋼板」というアイテムの限界の中で、いかに効率よく「鉄を使う」か、が軽量化の努力目標だった。
なぜなら、「安価に自動車を作る」事を考えるなら、プレス鋼板を使うしかないから。
アウディが、鋼板の代わりにアルミ板を広範囲に使い、軽量化。
あるいはロータスが打ち抜きアルミパイプ＋接着という技法で軽量化。
それでも、前者はアルミそのものの単価が高く、溶接にも高い技術が求められる。
しかも材質が変わっただけで、本質的には「板」の限界を超える事は出来ない。
そして、両者とも、単価がすこぶる高い。
量産技術、という意味で、スチールパイプを自由自在に曲げる製法はなく、チューブラーフレームを採用する車種は文字通りごく一部、しかも「ほぼハンドメイド」であるが故にとても単価は高かった。
というか、「スチールパイプを自由自在に曲げる」という事は、ある意味「名人芸」の世界の技術であり、治具を作り、それに合わせて手作業で曲げる、という手法しかなかった。
さて。
上記を踏まえた上で下記引用記事参照。
まぢで凄い、というか、がらっと自動車というものの構造が変わっちゃうかも、というくらい。
以下引用開始
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住友金属らが「３次元熱間曲げ焼き入れ」の量産技術、自動車を軽量化
住友金属工業、住友鋼管、住友金属プラントの3社は、自動車の軽量化に大きく貢献する「3次元熱間曲げ焼き入れ（3Dimensional Hot Bending and Quench、3DQ）」の量産技術を確立した。2012年度上期中に、同技術で製造した部材を搭載した自動車が発売される予定である。
3DQ技術は、さまざまな形状の鋼管（丸管、角管、各種異形鋼管など）を、局部的に加熱して曲げ加工し、直後に水で急冷して焼き入れを行う連続プロセス。金型を用いずに、高強度の超ハイテン鋼管を用いた複雑な形状の部材を製造できる。
鋼管の冷間曲げやハイドロフォームといった従来加工法では対応できなかった、引っ張り強さ1470MPa（メガパスカル）以上の鋼管部材を、同技術によって製造することが可能になる。
確立した量産加工技術では、曲げ加工にロボットを用いることで、設備のコンパクト化と低コスト化を図っている。ロボット技術に関しては安川電機と共同開発した。
自動車の車体骨格は、鋼板をプレス加工して造るのが一般的だが、断面が閉じた鋼管で車体骨格を造ると曲げやねじりに対する剛性が向上し、車体の軽量化が図れる。このことは以前から知られていたが、ハイテン鋼管は加工が難しく適用範囲が限られていた。曲げ加工できる鋼管は最高でも980MPa級にとどまり、しかも複雑な形状に加工することができなかったからだ。一方、アルミニウム合金製の閉じた断面の部材は実用化されているが、コストが高く、量産車での採用は限定的だった。
3DQ技術を用いれば、複雑形状の超ハイテン鋼管部材を効率よく製造できる。そのため、最大で約50％の軽量化も可能となる。自動車の車体の設計思想を大きく変える潜在力があるという。
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以上引用終わり
まともなロールケージをがっちりと組んだ場合、文字通りボディのよじれは全くなくなってしまうほどの強度になり、車は曲がりにくくなってしまう。それほど、ロールケージの強度ってのはあるものなのですが....
それでも、そういうものに使われているパイプの引っ張り強度は400～800MPaくらいなんですよね。
ところが、今回の技術によって作ることが出来る「三次元で曲げまくり、断面形状も連続的に変更した」パイプの製品強度は、1480MPaもある、という事。
２０１２年度上半期っていうと、もうすぐ終わりそうなのですが、この技術を使って作られた車両とは、何なのだろう？
鋼管パイプフレームというと、、文字通り「モータースポーツ専用車両」と「エキゾチックカー」に分類される車両くらいしか思い浮かばない。
けれど、使用するパイプの径は文字通り雲泥の差でしょうし、使用する鋼管そのものの質を考慮すれば、得られる剛性もまた、天と地ほども違うものになりそう。
そして、骨太なパイプを取り回して作ったフレームを使った車両の「剛性」と重量を想像すると....にやにやしてしまいそうです。
ハイブリッドエンジンだけでなく、「ボディーワーク」、特に「脱：フルモノコックボディ」という手法による、ドンガラの軽量化というエコ技法も、どうやら「日本発」になりそうで。
軽いドンガラに、そこそこのエンジンパワー。 そして［運転するのが楽しい］味付けがなされていたなら、ふらふらと行ってしまいそうで、少し怖いわw
