蝉の泣き声が春の終わりを雄弁に語り、夏の終わりを告げる。
全身にまとわりつくような暑さに、体中から汗が吹き出す。
不思議と、不快感はない。
今年もまた、夏がやってきた。
あと何年生きるかは分からないけど、きっと、生涯忘れ得ぬ夏が。
話は少し前に溯る。
6月、梅雨前線はしぶとく列島に停滞し、連日の雨を僕らに運んだ。
グラウンドは雨で使い物にならず、だからジャイアンは昼休みの度に地団太を踏んだ
そう、丁度このころからである。
スネオが学校に来なくなったのは。
初めて彼が休んだ日は、取り立てて何の感慨も抱かなかった。
一年は長い。その中で一日くらい学校を休む日もあるだろ…そのくらいの感覚だった。
しかし、彼の休む日は2日、3日…と伸びていく。体調不良にしては、ばかに長引い
ている。
そして、スネオが学校に顔を見せなくなって、既に一週間が経過した頃。
僕はこの時点で、言い様もない不安を感じた。
8日目。僕は押し寄せる不安に耐え兼ねて先生の所へ行った。スネオの欠席、その真実を知るために。
のび「先生…」
先生「ん?おお野日か。どうした?勉強の質問か?」
のび「いや、そんなことじゃなくて…」
先生「そんなこと、とは随分だな。…まあいい。で、何だ?」
のび「あの、スネオのことなんですけど」
先生「……」
のび「スネオは、どうして休んでるんですか?」
先生「……」
のび「風邪にしてはばかに長いし」
先生 「……」
のび「先生、スネオは一体……」
先生「……骨川は、風邪だよ。長引いてるんだ」
のび「でも先生…!」
先生「…おっと、職員会議の時間だ。さあ、野日も早く帰りなさい」
そう言って先生は、椅子からそそくさと腰を上げる。
のび「先生!本当にスネオは」
先生「早く帰れ、と言っておるんだ」
先生はピシャリと言った。
その口調には反論を許さないものがあり、僕は言葉の接ぎ穂を失い、しばしその場を動けずにいた
納得は出来なかった。
確かにジャイアンとまでは行かないが、スネオも平均以上に活発で元気な男子だ。
風邪で一週間も寝込んでいる姿なんて、想像だに出来ない。
そして決意した。
(会って、直接確かめよう)
僕は、スネオの家へ足早に向かった。
「のび太…」
不意に後ろから声を掛けられ、僕は少しく驚いた。
振り向いて声の主を確かめる。
大きな体のシルエット、野太い声、それは確かめるまでもなく、ジャイアンだった。
ジャイアン「先生んとこ行ってきたんだろ?スネオ、なんだって?」
矢継ぎ早に質問するジャイアン。彼も心配なのだ。スネオのことが―¥―¥スネオの現在が。
のび「風邪、だって」
僕は聞いたままを告げる。全く信じていない、おそらく嘘であるところのその言葉を。
ジャイアン「……そんなわけないだろ!あいつが風邪で一週間も……おまえ、それですごすご帰ってきたのかよ!」
ジャイアンはすごい剣幕で僕に詰め寄った。両肩を掴まれている。強い力だ。そして、悲しい力だ。
のび「……僕だって!僕だってそんなの…信じるわけないだろ……」
ジャイアン「……わりぃ」
寒々とした空気が二人を包む。ここで僕らがいさかっても、何の解決にもならないことくらいは分かっているのだ。
のび「行こうよ……」
ジャイアン「え?」
のび「スネオの、家にさ」
僕は彼の目をじっと見つめて、そう告げた。
ジャイアンは、そうだな、と息だけの声で、でもハッキリと、答えた。
西の空が赤く染まっている。
カラスが家路に着いている。
僕らは並んで、無言で、友の―¥―¥スネオの家に、向かって、いる。
足取りが、重い。
真実を確かめたい、でも―¥―¥知らないままの方が、いい?
矛盾する二つの気持ちが胸でぶつかる。
風邪だ、と思い込むのは楽だ。本当に風邪であれば、それが何よりだ。
しかし、それ以外の何か、分からないけど『何か』がスネオの身に降りかかっているのだとしたら……。
僕は何をして、何をしなければいいのだろうか。
どんな表¥情で、どんな言葉をかければいいのだろうか。
分からない。
それはジャイアンも、きっと。
スネオの家に着いた。豪華な彼の家は、近隣にその存在を誇示する様に建っている。
うらやましくない、と言えば嘘になる。
しかし僕は、この家を見ると、決まって悲しくなる。
思うのだ。この巨きな容れ物の中に、スネオの居場所はあるのかな?
―¥―¥なぜかそんなことを、漠然と思うのだ。
僕はチャイムを鳴らした。
家の中に人の気配はなかった。
だから、返事も返ってこなかった。
それでも二度、三度とチャイムを鳴らす。返事は、ない。
ジャイアン「…どけ!」
ジャイアンは僕を乱暴¥に押し退けると、力の限りドアを叩いた。
ジャイアン「おいスネオ!!いるんだろ!!学校休んでどうしたんだよ!!
おいったら!!おい!!」
ジャイアンも、スネオがここにいないことくらい分かっている。
でも、それでも。体を動かさずにはいられないのだ。声を張り上げずにはいられないのだ。
ジャイアン「スネオ!!スネオ!!出て来いよ!!野球しようぜ!!ピッチャーやっ
てもいいからよ!!なあ……野球、しようぜ……」
僕は、懸命に叫ぶ彼を見るともなしに見ながら、ふと、視界の端に何かを捕らえた。
のび「ジャイアン……」
ジャイアン「なんだよ…!」
振り返ったジャイアン。泣きそうな顔をしている。そして僕もたぶん。
のび「あれ…なんだろ…」
言って僕は、玄関の脇の方にあった張り紙を指差した。
『売家』
僕らは、声もなく嗚咽した。
野良猫が気怠そうに僕の前を過ぎ去った。言い様のない脱力感に包まれる。ジャイアンは、とうに家に帰って行った。
様々な疑問が、浮かんでは消え、消えては浮かび、僕は思考の迷路に迷い込んだ。
スネオは一体どこに行ったのだろう。
何故家を売らなければならなかったのだろう。
そして何故―¥―¥先生は嘘を言ったのだろう。
分からない。何も。
部屋に着いた僕はランドセルを放り投げると、机に肘を付いて虚空へと視線をやる。
窓の向こう、遠く、遥か何光年もの彼方に、一番星が仄かに光っているのを見つけた。
でも、僕の見つけたいものは―¥―¥
眩しい。
南中した太陽が、容赦なく照り付ける。
ここは―¥―¥僕は、砂漠を走っていた。
ひどく暑く、体力は既に限界に近かった。
それでも僕は走り続ける。
なぜならそこに―¥―¥視線の先にはスネオが、いるから。
「スネオ!」
叫んで僕は懸命に走る。
しかし、砂に足を取られて歩みは遅々として進まない。
不思議なことにスネオは一人、自然界から埒外の存在であるかのように砂漠をぐんぐんと進む。
まるでバギーに乗っているかのように、恐ろしく速い。
僕らの距離は、絶望的に広がって行く。
ダメだ、待ってくれスネオ。
ふと、遥か遠くでスネオが立ち止まった。
地平線の彼方、決して視認できる距離ではない場所にいたスネオの顔はしかし、
僕の瞳にハッキリと写った。
ぼろぼろと泣きながら笑う、彼の顔が。
「のび太君、起きなよ。ご飯だよ」
馴染んだ声が、優しく鼓膜を揺する。
いつの間にか寝ていたらしい。
喉がカラカラに渇いている。
僕は無言で立ち上がると、キッチンに行った。蛇口に直接口を付けてごくごくと喉
を鳴らして水を飲み、ようやく人心地ついた。
後ろからパタパタとドラエもんがやって来る。
ドラエもんは心配そうな顔つきで僕の目を覗きこんで、そう尋ねた。
ガラスに映った自分の顔を見る。泣きはらした目、眼球は血走っていた。
ひどい顔をしている。
ドラエもんの方に向き直り、彼ならあるいは、と考えた。
彼ならば、スネオの行方を追えるかもしれない。
そう考え、僕は彼にありのままを話す事にした。
のび「スネオがさ…いなくなっちゃったんだ」
ドラえもん「スネオくんが?!」
言下に大きな声で聞き返された。
狼狽している。
いつもは沈着な彼の心が、大きく波打ったように見えた。
ドラえもん「いなくなったって、一体どういうことなのさ」
のび「分からないんだ。10日前くらいから学校に来なくなって…
先生は風邪だって言うんだけど…信じられなくて…
それでジャイアンと一緒にスネオの家に行ったんだ」
ドラえもんは、僕の言葉を一つも漏らすまいと無言で聞いている。
僕は次の言葉を探し、先刻の光景―¥―¥売家の張り紙を思い出した。
視界が霞む。
嗚咽がもれそうになる。
言葉が、続かない。事実を、認めたくない。
「のび太くん……」
ドラエもんは、僕の手をそっと包んだ。
機械である彼の手はいつも冷たい。
でもぬくもりは、確かにあった。確かに、そこに。
「辛いことは半分にしよう。楽しいことは倍にしよう。
僕らって、ずっとそうしてきたんじゃないか」
そう言ってドラエもんはニッコリとほほ笑んだ。
だから僕は、奥歯をかんで、話を続けた。
「スネオの家は、売られてたんだ」
「売られてたって…」
僕の言葉に、ドラエもんは戸惑いを隠せないでいた。
無理もない、友人の家が突然売りに出されていたのだ。
誰だって信じようはずもない。
「何かの間違いでしょ」
彼は無理に笑って、そう言った。
僕は無言でポケットに手を入れ、くしゃくしゃになった紙片を取り出し、
開いて見せた。
『売家』
僕らとスネオを断ち切ったあの紙片を。
「これ…なんで……」
ドラエもんは、信じられない、と言った表¥情で張り紙を見つめる。
僕は彼の言葉を待ったが、茫漠と紙を眺めるばかりで何も喋ろうとはしなかった。
のび「……ジャイアンがさ、張り紙を見てさ、
『ふざけんじゃねえ!そんなのって…そんなのって、あるかよ!』
ってね、すごい勢いで怒ってさ、ビリビリって張り紙破っちゃったんだよ。
人の家なのにね。
ジャイアンは本当、短気でさ…
こんなことしたらいけないって…分からないんだね……」
嘘をついた。
ジャイアンは、それはいけないことだと知っていた。
そして、自分の行為に何の意味もないことも。
それくらいは、分かる。
泣きながら張り紙を踏み付ける彼の姿を見れば、そのくらいは。
ドラエもん「どこに、行ったんだろうね…」
ドラエもんは、思い出した様にぽつり、と呟いた。
ドラエもん「引っ越したのかな……」
間延びした彼の声が、僕の神経を逆撫でしていく。
ドラエもん「スネオくんのところは、お金持ちだから、
新しくおーっきな家でも建てたんじゃないかな……」
やめてくれ、僕が欲しいのは、そんな言葉じゃない。
そんな言葉じゃ、ないんだ。
ドラエもん「どっちにしたって心配しても仕方がないよ。またひょっこり顔出す…」
のび「やめてくれ!!」
たまりかねて僕は、ドラエもんの肩を掴んで詰め寄った。
どん、という音がして、彼が壁にぶつかる。
ドラエもんの顔をじっと見つめた。彼は一瞬僕と目を合わせ、すぐに逸らした。
のび「僕が、僕らが今欲しいのはそんな言葉じゃないことくらい、分かるだろ?
僕が君に何をして欲しいか、気付かないわけじゃないだろ?」
僕は一気に捲し立て、彼の挙動を見守った。
反応は、なかった。
目は相変わらず、僕を見ようとしない。
「……分かったよ、ハッキリ言うよ。
尋ね人ステッキを出してくれよ。
どこでもドアを出してくれよ。
ドラエもんなら、君なら、スネオを探すことくらい訳はない。
そうだろ!」
最後は、叫ぶように言った。あまりの声の大きさに、自分自信が驚いたほどに。
嬌声の反動で、僕らの周りは恐ろしくまでの静寂に包まれた。
僕は彼の言葉を待つ。もう、叫ぶこともない。
永遠にも思われる長い沈黙が二人を支配する。
実際には5分も経過していなかったが、彼の言葉を待つその時、
時間は無限に身を委ねた―¥―¥そんな風に感じられたのだ。
そしてドラエもんは、諦めたように溜め息を付くと、ようやく口を開いた。
「ポケットは、ないんだ」
視界が、白く霞んだ。
ポケットは、ない。
不意に浴びせかけられた言葉、僕は虚脱したような気分に囚われた。
その後、ドラエもんは明らかに躊躇いの表¥情を浮かべながらも、苦々しく続けた。
「……先月のことなんだけどね。
ほら、君のために『ムシスカン』を出した時があったでしょ?
あの次の日くらいに、四次元ポケットの口が、急に開かなくなったんだ」
覚えている。
僕が自分の不甲斐なさに嫌気が刺し、静ちゃんと距離を置こうとした、あの日のことだ。
そういえばあの日から、ドラエもんが道具を出すのを目にしていない。
「それで今は…修理に出しているんだけど…」
言葉が耳を上滑りする。
聞きたくない。僕はそんな言葉は、欲しくなかったんだ。
ただ道具を出してくれれば、僕はそれで―¥―¥
「だから、のび太くん。今回は何もできそうにないんだよ。
だから、信じて待とうよ…」
「スペアポケットは!」
気付くと僕は、また泣いていた。泣きながら、また叫んだ。
「スペアポケットがあるはずじゃないか!
君の、布団の下には!
スペアポケットが!
ねえ、そうでしょ?!」
スペアポケット。
もう一つの四次元ポケット。
あれがあれば、何も問題はないはずだ。
彼は意外なところで抜けているので、今の今までその存在を忘れてたとしても、
不思議はない。
しかしそれは、その願望は、理想に過ぎた。
ドラエもんは重く閉ざした口を、ゆっくりと開いた
「スペアポケットもないんだよ、のび太くん」
「どうして?!そっちまで壊れちゃったの?!」
「違うんだ……そうじゃなくて……」
ドラエもんは大きくかぶりを振った。
彼は、何かを言いたいんだけど何も言えない、そんな複雑な表¥情を浮かべている。
僕は彼の目をじっと見た。
しばらく時間が経ち、彼は大きな溜め息をつくと、喋るよ、とぽつり、呟いた。
ここからは長くなるので簡潔に纏めることにする。
率直に言うと、彼がポケットを修理に出した時、行政からの監査を強いられた。
そして彼の道具はつぶさに調べられ、直接の査問経た結果、行政はある勧告を出すことになる。
難しいことは分からなかったが、どうやらドラエもんは歴史に介入しすぎた、
と判断された。
その結果、道具の使用を無期限で禁止された、ということだった。
「そんな……」
「もちろん僕が歴史を変容する目的で過去に来ているわけじゃないことは言ったよ。
でも……ダメだったんだ。
一応今は、嘆願書を出して、その回答を待ってる段階なんだけど……」
今回のことは、無論、彼のせいではない。
僕のためを思ってやったことの積み重ねが、今の状況を作り上げた、
そのくらいは分かる。僕にも。
でも……理屈ではなかった。
抑えようのない怒り、言葉にできない憤りが、僕の胸でかさを増やし、遂に―¥―¥
爆発した。
「こんな時に…こんな時に何やってるんだよ!
ドラエもんにポケットがなきゃ、何も意味がないじゃないか!」
言ってしまった。止めたかった。言葉はしかし、止まらなかった。
「道具がなきゃ、ドラエもんは何もできないんじゃないか!
友達の一大事だってのに、何も!」
「そ、そんな言い方はないじゃないか!僕だって好きでこんなこと…」
言葉を遮って、僕は叫んだ。
「うるさいこの青ダヌキ!!」
その言葉に、ドラエもんの顔が怒りに染まるのが分かる。
「僕はタヌキじゃない!!この分からず屋!!」
どうしてこうなるのだろう。
喧嘩なんて、するつもりじゃなかったのに。
僕はただ、スネオが、どこにいて何をしているのか、知りたかっただけなのに。
―¥―¥―¥これが、この6月にあった出来事だ。
僕とドラエもんの距離は、以前と同じ様では無くなった。
彼が憎いわけではない。
彼に道具がなくても、彼への思いに揺るぎはない。
そんなのは、USO800を飲んだ時から―¥―¥分かっている。
ちょっと笑って、少しだけおどけて、
「ごめんな」
それだけのことで、僕らの仲が戻ることも……知っている。
しかし僕らにはそれができない。
『それだけのこと』だから、なおさら。
言葉ではうまく言えないけど、きっと。
ジャイアンの元気も、日に日になくなっていった。
友をなくした喪失感からだろう、と単純に考えたけど、
どうやらそれだけではないのかもしれない。
思い出す。スネオがいた日々のことを。
ジャイアンは、いつもスネオを付き従えていた。
彼は粗暴¥で、いつもスネオから色んな物を取り上げていた。
普通に考えたらそんなものは友達でもなんでもない。贔屓目に見ても、ひどく歪な関係。
でも、二人はいつも一緒だった。
殴られ、蹴られ、物を取り上げられ……それでもスネオは、ジャイアンのそばに。
(もしかしたら)
不意に思った。
(もしかしたら、ジャイアンは、スネオを愛していたのかもしれない)
そんなことを、漠然と。
もしそうだとしたら、ひどく不器用な愛情表¥現だよなあ、
あいつ、彼女ができても苦労するだろうなあ、
と僕はつまらないことを考え、つまらなそうに笑い、そして深い溜め息を吐いた。
一学期最後のホームルーム。
プリントが配られ、先生は機械的な注意事項を読み上げる。
海に一人で行ってはいけない。
子供だけで花火をやってはいけない。
夜に家を出てはいけない。
校区外に出てはいけない。
いけない。いけない。いけない……。
どこにも行けない僕。
どこにもいないスネオ。
彼の席は、今も主を失ったまま、学び舎の一室でぽつねんと佇んでいる。
スネオはまだ、帰って来ない。
夏休み。8月15日。
遠い昔、戦争が終わった頃。暑さも最高潮を迎える頃。
裏山に寝転び、流れて行く雲を見ながら、
(戦争の頃も今も、友達の形は、変わらないのかな)
そんなことを考えた。
その答は中空を彷徨い、僕の下へやって来ることなく、ぱちんと弾けてどこかへ消えた。
暑さで頭が回らない。
ぎらぎらとした太陽が、僕の体力をゆっくりと奪って行く。
僕は山を下りて、近くのコンビニへと向かった。
スネオが、いた。
今度は砂漠ではなく、現実の街角で。今、目の前に。
駆け寄り、肩を叩く。
元気だったの?心配したんだよ!と声を掛ける。
スネオは申¥し訳なさそうに笑い、何かを言う。
それだけのことだ。
たったそれだけのことなのに、僕は足を踏み出せずに、いた。
スネオは、以前と同じ風貌ではなかった。目は、麻薬中毒者のようにどんよりと落ち窪み、黒目だけがその存在感を誇示していた。頬と体はすっかり痩せこけ、元々細身である彼は、だから、針金のようになっていた。
何より驚かされたのは、その身を包む衣服だった。彼の家は非常に裕福で、スネオの身なりはいつだって小綺麗であった。
それなのに、今のスネオときたら、どうだ。
ぼろぼろになったスニーカー。
泥に汚れたズボン。
継ぎ接ぎだらけの服。
髪も、満足に手入れをしていないのだろう、ひどくぼさぼさである。
(これが、スネオ……?)
僕は目の前の光景を、受け入れることができなかった。
ちょっと嫌味だったけど、いつも快活だったスネオ。
自信に満ちあふれ、常に溌剌としていたあの頃。
今の彼に、その頃の影を探すことは、僕には叶わなかった。
しばらく茫漠とスネオを見ていた。
コンビニ入ったら彼は、きょろきょろと落ち着きなく辺りを警戒しながら、
店をぐるりと回った。
僕は店の外から、彼に気付かれぬよう、その様子を注意深く窺う。
スネオは缶詰のコーナーの前で足を止める。
目付きが、鋭さを増した。
彼は持っていたぼろぼろの鞄の口を開けると、思うさまに缶詰を鞄に詰め込み始めた。
店員は、全く気付いていなかった。
彼の手つきは非常に手慣れていて、だから僕は、
それが始めての行為……万引きではないことを、知った。
およそ30個程の缶詰を鞄に移し替えた頃だろうか。
スネオは鞄を掴むと、すっ、と立ち上がり、足早に店を出た。
そのまま彼は走り、脇目も振らず交差点の方に向かう。
ふと、あの日見た夢を思い出す。
砂漠を失踪して行ったスネオを。
追いかけても追いつくこと叶わなかったスネオを。
そして……ぼろぼろと泣きながら笑っていた、スネオを。
気付くと僕も、駆け出していた。
駆けっこではいつもビリだった。
しかし、彼を見失わない程度の脚力は、何とかあった。
スネオが缶詰を抱えたまま、10分程走った頃だろうか。
町の景色は一変していた。
ここは……そう、普段からママや先生が
「近付いてはいけない」
と口を酸っぱくして言っている地域だ。
何でも、貧しい人が多く住む場所とかで、あまり安全な土地ではないらしい。
そんな場所にスネオが何故?とは、もう思わなかった。
様々な疑問が、目の当たりにした幾つかの事実により、答に向かって収斂していく。とても、悲しい結論に。
スネオがふと、歩みを止めた。合わせて僕も立ち止まった。
眼前には、蔦の張り巡らされた一軒の古びた建物、
およそ人が住むに値しないようなぼろぼろの住まいが、そこにはあった。
スネオがゆっくりと階段を上がって行く。
僕も存在を悟られぬ様に、そっと。
ふと、アパートと思しきその建物に備え付けられた看板が目に入った。
『時和荘』
なぜだろう、懐かしくも何とも無いその建物は、
その看板の存在によりいちどきに郷愁を帯びた。
だが今は、その感情の理由を探っている暇はない。追わなければ、スネオを。
僕は静かに階段を上がると、一つだけ閉まりゆく扉を見た。
あそこだ。あそこにスネオが。
僕は逸る気持ちを抑え、扉の前に立った。表¥札は、ない。
代わりに、張り紙がびっしりと……あの日見た張り紙ではない。
いや、ことによると『売家』の方がまだマシだ、と思える様な張り紙が、
ドアの装飾をなしていた。
カネカエセ
ドロボー
サギシ
ジンゾウウッテ カネツクレ
世界が、ゆっくりと形を失っていく。
チャイムはなかった。あるはずもなかった。
僕は仕方なしに扉を叩いた。
一度、二度。
返事はない。
三度、四度。
返事は、ない。
僕は一瞬躊躇い、しかし次の瞬間には意を決し、どんどん、と強く扉を叩き、
その向こうにいるはずのスネオに向かって、叫んだ。
「開けてくれ!僕だよ!のび太だよ!!」
刹那、うるせえぞ、という怒号が隣家から飛んだ。
地を這う様な低い声に、僕は思わず言葉を失う。
帰りたい、と思った。
でも帰れない。とも思った。
スネオと会うまでは、会って話をするまでは、僕は帰れない。
そう決意した。
そして僕は、再びドアを叩いて叫んだ。
「開けてくれ!頼むよ!会って、話がしたいんだよ!スネオ!スネオ!」
僕は粘り強く語り続けた。
扉は、沈黙を守り続けた。
5分程経った頃だろうか。
扉は、突然に開いた。
最もそれは、隣家の扉だったのだけれど。
部屋から男が出て来る。
シャツの上からでも分かるほど隆々とした筋肉。
二の腕から覗く刺青。
目が、怒りを訴えている。
僕は恐怖にすくんだ。
「このガキ……」
一歩、二歩。
男は息を荒げて近寄ってくる。
怖い。
怖い。
逃げたい。
逃げられない。
三歩、四歩。
男があと1mくらいの所にやって来た、その時だった。
目の前の扉が、がちゃり、と開いた。
スネオだ。
しかし彼は、再会の言葉を交わすより早く、
「さっさと入れ!」
と叫んで、僕を室内に引っ張り込んだ。
スネオの部屋は、昼間だというのにひどく暗く、どんよりとした空気が漂っていた。
僕を強い力で引っ張りいれたスネオは、しかし、ずんずんと部屋の中に進むと
どっかりと腰を下ろした。
しかし彼は壁の方を向いて何やらゴソ¥ゴソ¥するばかりで、何も喋らない。
僕は、何かを喋ろう、と思うのであるが、すっかり変わってしまった彼の
雰囲気に押され、やはり何も喋れずにいた。
僕は手持ち無沙汰に部屋をぐるり、と見渡す。
薄っぺらな布団と、学校の机ほどの大きさのちゃぶ台を除いて、
家財道具は一切ない。ここからも彼の生活の様は窺える。
台所には、食べ終わった缶詰が散乱し、仄かのな腐臭を漂わせている。
荒んだ、生活だ。
僕は少し躊躇ったが、唇を噛みつつ彼に向き直り、聞いた。
「君の……ママとパパは?」
「どうして……学校に来ないんだい?」
「なんで、家を売らなきゃいけなかったの?」
僕はあれこれと、思いつくままに質問を投げかけた。
返事は、ない。
水を打った様な静けさが二人を支配する。
それでも僕は、粘り強くスネオに語りかけ続けた。
「みんな、心配してたんだよ?スネオ、どうしちゃったんだろう、って……
ジャイアンなんて、すっかり元気なくしちゃってさ……」
「心配……」
スネオが、ぴくり、と反応した。
「そ、そうだよ!皆本当に心配したんだよ?
急に学校にも来なくなっちゃうし……
だから僕だってこうやって」
言葉が、詰まった。
ふと見上げた彼の表¥情が、おそろしく侮蔑的なものだったからだ。
口を醜く歪めて笑い、しかし目は激しい憎悪に燃えている。
そんな表¥情だった。
彼の、空白の2ヶ月がどんなものであったのか、
その表¥情は何よりも雄弁に物語っていた。
じぃ じぃ じぃ じぃ じぃ じぃ ……
遠くで蝉が鳴いている。
じぃ じぃ じぃ じぃ じぃ じぃ ……
部屋はひどく暑い。
じぃ じぃ じぃ じぃ じぃ じぃ ……
喉はからからに渇き、僕はごくり、と生唾を飲み込んだ。
スネオは相変わらず、ニヤニヤと笑うばかりで、何も喋ろうとはしない。
「あのさ……」
僕が喋りかけた、その時だった。
ドアが、強い力でどんどんと叩かれる。
「骨川さん!おるんやろうが!さっさと開けえや!」
扉の向こうからは、ひどく乱暴¥な声が響いた。
スネオはびくっ、と肩を震わせた。
目には怯えの色が浮かんだが、それも一瞬のことで、
2秒後には先ほどと同じように、なんら感情の色の窺えない表¥情に戻っていた。
「スネオ……」
喋りかける僕の存在などまるで認識していないかのように、
スネオはすっと立ち上がる。
無表¥情でドアの方にスタスタと向かうその姿からは、
まるで生気が感じられなかった。
そうだ、先ほどから感じていた違和感はつまり……
彼からは活力というか、生気といった類のものが全く失われていたのだ。
目の前には確かに居るのに、この世には確かに存在しない、幽霊のように
スネオは無言でドアを開けた。
ドアの向こうには、髪を短く刈り上げた男……おそらくヤクザ、が立っていた。
ヤクザはスネオに目をやり、一瞬部屋の中にいる僕を見ると、
ふう、と言った感じのため息をつく。
「またおらんのかいや……」
憎憎しげに吐き捨てたヤクザ風の男は、胸からタバコを一本取り出し、
火を点けた。
肺いっぱいに満たした煙を豪快に吐き出すと、スネオの方を一瞥して、
少し笑った。
「なんじゃ、今日は友達がきとるんじゃのう。珍しいこともあるもんじゃ」
友達、とは、おそらく僕のことだろう。
彼のその言葉から、スネオは一日の大半を、
いや、ことによると一日の全てをここで、一人で過ごしていることを悟った。
男の言葉にスネオは、何の関心もない、といった態度で虚空をみつめていた。
何の返事もしないスネオの態度に男は一瞬気色ばんだ様子だったが、
まあええわ、と呟くと地面にタバコを落とし、そのまま踵で揉み消した。
「のう、スネオくん。わしらも好きでこんなことやっとるわけじゃないんじゃ
そりゃあ分かるじゃろう?一番いけんのんは、金を借りたまま返さん
スネオくんのお父さんなんじゃ。分かるじゃろう?
じゃけえのう、スネオくんからも言うといてくれや
『パパ。ママ。早くお金を返して』
って言うてのう」
男はゆっくりと、しかし決して反論は許さない調子で、
スネオに淡々と語りかけた。
言葉面だけ見たら決して乱暴¥な言葉ではない。
しかし僕は、男の言葉に体の震えが止まらなかった。
怖い。
スネオは、こんな生活を、二ヶ月間も……。
スネオの方を見た。スネオは相変わらず色のない目をしていた。
「まあ本気で返す気があるんじゃったら」
そう言って男はゴソ¥ゴソ¥と懐を探った。
「ここに来い、ちゅうといてくれや」
男はスネオに何やら一枚の紙切れを渡した。
紙切れ。幾つかの光景がフラッシュバックする。
『売家』 とだけ書かれた、あの日の張り紙。
今日、扉の前で見た「金返せ」の張り紙。
そして今、スネオに手渡された、一枚の紙。
紙、紙、紙。
たかだかパルプの成れの果てが、こんなに僕の心を波打たせるなんて。
僕はそう思い、暗澹とした気分に襲われた。
「……まあスネオくんのパパが働くことになる場所は、ぶち寒い場所じゃけえのう
厚着して来い、言うといてくれや」
そう言って男はからからと笑うと、また来るわ、と真顔で呟いて、扉を閉めた。
男が去った後、部屋は再び重苦しい沈黙に包まれた。
スネオは玄関先にぼうっと立ったまま、動かない。
いや、動かないのではなく、動くのすら面倒くさい、動く意味すらない、
そんな退廃的な雰囲気が漂っていた。
仕方なしに僕はスネオの方に歩み寄る。
「スネオ、その紙は一体……」
そう言って、僕はスネオの握っていた紙に手を差し伸べた。
刹那のことである。
先ほどまでぽつねん、と立っていただけのスネオは、紙に触れようとする僕に気づくと
弾かれたように構¥えの体勢を取った。
そのまま、もの凄い力で僕の手をはたき、ぱーん、という音だけが部屋に鳴り響いた。
再び沈黙が部屋を支配する。
しかし今度の沈黙は、そう長くは続かなかった。
スネオはひどく太く、そして低い声でこう言った。
「のび太には、関係ない」
その語調には、有無を言わせないものがあった。
太陽はまた少し西に向かって進んだようだ。
夕日が少し、カーテンの隙間から漏れている。
スネオの横顔が照らされ、赤く染まる。
その赤だけが、彼の激情を表¥しているかのようだった。
「分かるだろう……」
スネオは不意に呟いた。
僕は突然のことに、えっ、と聞き返した。
その反応にスネオは、また口を醜く歪めて、笑った。
「のび太も分かってるんだろ……パパの会社が倒産したってことくらい。
僕らに残されたのは膨大な借金だけってことくらい」
淡々と語る彼の言葉に、初めて現実を直視させられた。
そのくらいのこと、薄々とは気づいていた。
しかし認めたくはなかった。
言葉にして、形にして整理するのが、嫌だった。
だけど僕が嫌ったそれは、今、当事者自身により、形にされた。
「どうして……そんなのって……ないよ……」
たまりかねて僕は呟く。
しかし言葉は、続かない。何も、言うことができない。
あれだけ再会を嘱望した友を目の前にして、僕のできることは、絶望的に、皆無だった。
「そんなのってない。そんなのってないよなあ……うん、僕もそう思う。
でもさあ、そんなのってあるんだぜ、のび太。現実に、今、僕らの前に」
スネオはより一層、醜く顔を歪めた。
西日の赤が彼の表¥情に影を落とし、スネオの狂気を一層強めたように感じた。
遠くでカラスが、かあ、と鳴き、近くでトラックが走りぬけた。
それ以外の音を、僕らは耳にしなかった。
「……お前、何しに来たんだよ」
スネオが、そう呟くまでは。
言われて、思った。
僕は、何をしに来たのだろう。
スネオに会いたかったから?
確かにそれは、ある。
ではもう、用事は終わり?
そんなわけはない。
じゃあ、どうしたいの?
前みたいに、昔みたいに、笑って、走って、一緒に−−−一緒に?
(僕は、スネオと、一緒に笑えるのだろうか)
今思うと、おそらくそれだけは考えてはいけなかった。
しかし僕は、実際にそう思い、そして微妙な表¥情の変化は、
はっきりとスネオに伝わったのだ。
「なあ。もう無理だよなあ……僕たちはもう、違うんだもんなあ……」
ひひっ、と上ずった声でスネオは笑い、またすぐ真顔に戻ると、
帰れよ、と息だけの声で呟いた。
「スネオ、違うんだ、僕はただ……」
「帰れっつってんだよ!!!」
怒号が、部屋に響いた。
同時に額から垂れた汗が、足元に落ちた。
この部屋が、ひどくむし暑いことを、思い出した。
僕らはお互いをまんじりと見つめる。
ドラエもんと諍ったあの日のように、時間の流れはやけに遅い。
チッ チッ チッ チッ
時計の音だけが、虚しく鳴り響いていた。
「……みんな、離れていったよ」
だしぬけにスネオが喋り始めた。
「パパの友達も、会社の人たちも、みんな離れていった。
パパの仕事が上手くいってる時は、ちやほやちやほやしてさあ。
骨川さん、骨川さん、ってさ。
そりゃあ、楽しかったよ。
でも、会社が潰れて……パパも潰れていく様子を指くわえて見てただけじゃなかった
あちこちに連絡して、いろんな人に助けを求めた。
でもさあ。誰も、何もしてくれないんだよなあ。
今忙しい、とか、電話は取り次げません、とか言ってさ
ある人なんて
『僕はお金を持ってる骨川さんが好きだったのになあ』
なんてハッキリ言いやがって……もう笑うしかないって感じだよな」
僕はスネオの言葉に、ただ静かに耳を傾けた。
「そんなもんなんだよな、所詮。人と人との繋がりなんてさ…ハカナイよな」
ハカナイ、という言葉が僕の頭の中で「儚い」に繋がるまで、少し時間が掛かった。
それだけ彼の声は平板で、だから余計に、説得力があった。
「……僕がこの2ヶ月間、どんな気持ちで過ごしたか、分かるのか?
何を思って、何を感じてこの部屋にいたのか、のび太、お前に分かるのか?」
分かる、だなんて言えなかった。
言葉にすれば、全てが嘘になるような気がした。
だから僕はまた、何も言えず、スネオの言葉をただ待った。
「……分かるわけないよなあ。のび太の家には、
パパがいて、ママがいて、暖かいご飯があって、
柔らかい布団があって……そして、ドラエもんがいて」
最後の言葉だけ、一層暗い声でスネオは吐き捨てた。
そして僕は気づいた。
彼も期待していたのだ。
ドラエもんに。
彼の道具に。
自分を不遇から救い出してくれることに。
おそらく。きっと。
「……なんで、今頃来たんだよ」
絞り出すような声で、スネオは言った。
なんで、なぜ、どうして……。
この2ヶ月間で、僕の頭の中を幾つの疑問符が巡ったのだろう。
そしてその幾つが答に辿り着いたのだろう。
僕は今また、その問いに答えられずにいる。
「……本当は、もっと前から心配してたんだ。
君が休み始めて一週間くらいの頃から……」
「聞きたくないね!」
叫びに言葉を遮られた。
思わず怯みそうになる。しかし、ここで言葉を折るわけにはいかない。
「本当なんだよ!本当に……僕は……僕らは……
6月のあの日、君の家に行って、『売家』って張り紙を見つけて、
信じられなくて、ジャイアンと二人して、泣いて……それで……」
それで?僕はふと思った。それで僕は何をした?
「それで現在に至る、って訳か」
スネオはまた、ひひっ、と上ずった声で笑った。
嫌な笑い方だ。前は、こんな笑い方をする奴じゃなかった。
「知ってて、何もしなかった、って訳か」
スネオは、今度は笑わなかった。
ぎょろっとした黒い目で、僕を覗き込んでくる。
(やめてくれ、そんな目で、僕を、見ないでくれ)
心で叫ぶ。言葉にはならない。してはいけない。
甘んじて受けなければいけない。そんな気が、する。
「……もういいよ。僕はもう、いい」
ふうっ、とため息をつきながらスネオはそう言った。
しかしその言葉は僕を許したことを意味したのでなく、
僕とスネオとを決定的に別つものだった。
「もう僕は何にも期待しないし、誰も信じない。
一人で生きるんだ。
のび太も見たんだろう?僕が……」
スネオは言葉を途中で切り、缶詰でぱんぱんに膨れ上がった鞄を一瞥する。
一人で生きていく……
彼の過ごした2ヶ月間は、彼をしてそう思わしめるに十¥分なものだった。
しかし、その結論を遵守するために選んだ手段が万引きであるならば……
悲しすぎる。あまりにも。
「……そういうことさ。まあ新しい玩具も漫画も手に入らなくなった今の僕に、
もとより人が寄ってくるとも思えないけどね」
「そんなことはない!!」
たまりかねて、僕は声を荒げた。
「そんなこと、あるもんか……」
視界が、霞む。スネオの顔が、歪む。
彼の意思ではなく、今度は僕の涙のせいで。
「確かに君には玩具も、漫画もないかもしれない。
でもこれまで過ごした僕らの時間は、今も残ってる。
少なくとも、僕の中には。
君と行ったコーヤコーヤ星を、僕は忘れない。
君と作った雲の王国を、僕は覚えている。
君と過ごした海底での時間は、まだ胸に残っている。
残っているんだ……。」
最後は、掠れた声で、言った。
スネオは、何も言わない。
そしてこの日最後の沈黙が、僕らの周りを包んだ。
「……じゃあ、助けてくれよ」
スネオもまた、泣いていた。
泣きながら、最後の言葉を、呟き始めた。
「この、最悪の現実から、僕を助けてくれよ!
できるんだろ!ドラエもんの力を借りれば!
僕の生活を!平和だったあの頃に!戻すことくらいできるんだろ!
してくれよ!今すぐに戻してくれよ!
なあのび太!なあ!」
泣き喚きながら、スネオは叫んだ。
彼は、この日初めて、自分の感情を露にした。
それも、もっとも見たくない形で。
「……できないんだろ」
スネオはぽつりと呟いた。
その目はもう涙に濡れてはおらず、また、絶望に彩られた目つきに変わっていた。
「……帰ってくれ。そしてもう、姿は見せないでくれ」
僕は何も言えず、何も言葉を掛けることができず、虚脱したような気分で、家に帰った。
帰路。足取りはひどく重かった。
とっぷりと日が暮れたころ、ようやくと僕は家に辿り着いた。
窓から洩れる光が、眩しい。
眩しくて、少し目がくらんだ。
スネオの家の暗さを思い出した。
彼の、真っ黒に落ち窪んだ目を、思い出した。
暗澹とした気分が僕を包む。
「ただいま……」
ふすまをガラリと開けると、そこにはドラエもんがいた。
珍しい。あの日からというもの、ご飯を食べる時と
必要に駆られて外出する時以外は、ほとんど押入れの中にいたドラエもんが。
何より僕を驚かせたのは、ただそこにいるだけではなく、ひどく機嫌が良さそうだったからだ。
「おかえり」
にこにこと笑って僕を出迎えてくれる。
彼の笑顔を見たのも、やはり2ヶ月ぶりだった。
「どうしたの。珍しいじゃない、押入れから出てくるなんて」
僕は直截にそう告げた。ひどく疲れた頭では、
思いやりのある言葉なんて、何一つ浮かばなかった。
しかしドラエもんは別段気にした様子もなく、
相変わらずにこにこと笑っていた。
僕は少し安心した。
「のび太くん!聞いてよ!四次元ポケットが返ってきたんだよ!」
四次元ポケットが返ってきた―¥―¥彼のその言葉に、僕は少なからず驚いた。
しかし僕は何も言わず、黙ってドラエもんを見つめた。
「これでやっとスネオくんを探せるね!今どこでもドアを出すから、待っててね!」
そう言ってごそごそとポケットを探り始めるドラえもん。
その手を無言で制する僕。
ドラエもんは、きょとん、とした顔で僕を見ている。
「どうしたのさ、のび太くん」
「スネオは、見つかったんだ」
「スネオくんが?」
「そう、さっきまで会って、話してきた。だからもういい、もういいんだ……」
ぴたりと押し黙るドラエもん。
僕の言葉の外に、深刻な事情を感じ取ったのかもしれない。
ドラエもんは、黙ってタイムテレビを取り出すと、かちゃかちゃと操作を始めた。
おそらく僕とスネオとの、一部始終を知るために。
あの光景をもう一度見る気にはとてもなれず、僕は黙って庭の物置に向かった。
気づくと、眠っていた。夢のない眠りだった。
起きると物置の中は真っ暗で、僕は目を開けているのか、
それとも瞑っているのかさえ、分からなかった。
戯れに、闇に向かって手を伸ばす。
何も掴めない。何も触れない。
暗闇の中で、ただ僕一人が存在していた。
いや、本当に存在しているのかも、分からない。何も。
不意に一筋の光が差し込んだ。
後光を纏って、ドラエもんが扉の外に立っていた。
「のび太くん……」
アルカイックスマイル、とでも言うのだろうか。
底抜けに優しい微笑みを浮かべながら、ドラエもんはそっと僕の肩を抱いた。
手が、僕に触れた。
ひんやりとした手は、蒸し暑い夏に、ひどく心地よい。
でもそこから伝わる温もりは、もっと。
「今度こそ、僕は、力になれるかな。
君の苦しみと、悲しみを、半分にできるかな」
ドラエもんは優しく僕に語り掛ける。
僕は彼にしがみつき、声を上げて、泣いた。
部屋に戻り、僕とドラエもんは差し向かいに座った。
瞼が腫れぼったい。随分と泣いたものだ。
ドラエもんは、神妙な面持ちで何かを考えている。
「……ドラエもん、事情は分かっただろう?
お願いだ、スネオの為に、何かしてあげて……何か道具を出してあげてくれない?」
ドラエもんは、相変わらず厳しい顔をしている。
僕は構¥わずに続けた。
「もう頼れるのは君しかいないんだ。君の知恵と……君の道具に頼るしか…
僕にはそれくらいしか、もう……」
「事情は、分かったよ……」
ドラエもんは、一言一言かみ締めるように喋り始めた。
「でも、道具を出すことは……できない」
ドラエもんは、笑って、任せてよ、と言って、道具を出す。
そうだと思っていた。そうだと信じていた。
予¥想外の彼の言葉に、僕の心は大きく動揺した。
「ど、どうしてさ!君なら、君の道具なら、彼を今の状況から救うことくらい、
簡単じゃないか!それなのに、なんで……」
「確かに、簡単だろうね。スネオくんのお父さんの借金を消すことくらい、
何ともないよ」
ドラエもんは一旦そこで言葉を区切り、でも、と続けた
「……でも、それでスネオくんが本当に救われるのかな」
その言葉に、深い闇を帯びたスネオの目を思い出した。
泣きながら笑う、彼の顔を、思い出した。
一人で生きていく―¥―¥決然とそう言いのけた彼の言葉を、思い出した。
「もしもボックスで、借金を消すことはできるよ。
でも彼の心を、彼の闇を取り除くのは、タイムふろしきでも、無理なんだよ」
僕は、あっ、と思った。
借金が消えても、借金をした、という事実は消せない。
彼が経験した現実は、曲げることができない。
借金が消え、もとの生活に戻っても、スネオは、スネオだ。
それは、良くも悪くも、そうなのだ。
そして今のスネオは―¥―¥―¥もう、誰にも心を開くことは、ないだろう。
「じゃあ、僕は一体どうすれば……」
悲嘆にくれる僕に、ドラエもんは、優しく言葉を発する。
「のび太くん、いいかい、ちょっと分かりにくい話かもしれないけど……
確かに僕の道具は便利だよ。君だってそれは分かっているよね。
そんな君だからこそ、一番わかると思うんだ。」
ドラエもんはそこまで喋ると一息ついて、また、ゆっくりと喋り始めた。
「道具のために人があるんじゃなくて、人の為に、道具はあるんだ」
僕には一瞬、それが何を意味するのか、よく分からなかった。
だから黙って、次の言葉を待った。
「人の為に道具がある……まず人がいて、道具がある……
だから、まず、その『人』そのものがきちんとしていないと、
しっかりしていないと、どんな便利な道具でもそれは何の意味もなさないんだよ」
ドラエもんはいつだって説教くさい。
この言葉にだって、手放しで「分かったよ」なんて言うことはできない。
スネオの今をまず救うこと、例えスネオが今まともじゃなくても……
まずは何かをしてあげること、それが大事だと、やっぱり思う。
でも、ドラエもんの言うことは、やっぱり正しいんだろうと思う。
スネオの、あの目を思い出すと、なおさらに。
彼の言葉は、正しい。よく分からないけど、たぶん。
上手く言葉にはできないんだけど、きっと。
「今、スネオくんは、道端でつまづいて、転んで、ひざ小僧から血が流れている。
泣いているスネオくんに、優しく手を差し伸べて、消毒してあげて、
絆創膏を貼¥ってあげることは簡単だろうね。」
曇り空の切れ間から、月が顔を出した。
今夜は、満月だった。柔らかな光りが、僕らの顔を照らす。
「でも彼は今、転んだまま、立ち上がろうとしていない。
そんな彼を無理やり立たせて、消毒させても、彼はきっと、何も変わらない。
ところでのび太くん、君はまだ、スネオくんのことを友達だと思っているのかい?」
突然、神妙な顔をしてそんなことを尋ねてきた。
唐突な質問に僕は一瞬言葉を失ったが、しかしすぐに、強い口調で、言った。
「僕とスネオは、今も、ずっと、これからも友達だ!」
キッパリと、言った。
ドラえもんは、すると、にっこり笑ってこう言った。
「君がしてあげることは、
消毒してあげることでも、
無理やり手を差し伸べることでもない
人は、転んでも、何度だって立ち上がれるってことを、教えてあげることなんだよ
それができるのは、のび太くん、きみしかいないんだよ」
ふと、懐かしい情景が蘇る。
僕はおばあちゃんっ子だった。
やさしい、おばあちゃんだった。
幼かった僕は、いつもおばあちゃんに甘えて、我侭を言って…そうやって過ごしてきた。
ある日のことだ。
僕は庭で遊んでいる時に、こけて、膝をすりむいた。
大きな声で泣き喚く僕は、おばあちゃんが優しく抱き寄せてくれるのを、ただ待った。
しばらくして、おばあちゃんはやって来た。
おばあちゃんはいつものようににこにこと笑って、僕を見ていた。
おばあちゃんは、しかし、僕を抱き寄せることをしなかった。
僕は、一層強く泣いた。
おばあちゃんは、片手に持っていた達磨を、僕の脇に放り投げた。
ころん、と転がる達磨。
ぐらぐらと揺れながら、けれど最後には、達磨は元のように立ち上がった。
「達磨さんも一人で起きれたよ。
のびちゃんも、一人で起きないとね」
そんな情景が。今蘇った。
今のスネオは、あの日の僕だ。
痛みに泣き、寂しさに喚き、抱かない祖母を恨めしく思ったあの日の僕だ。
だから僕は、達磨を、スネオにとっての達磨を、あげよう。
僕と、そしてジャイアンで、スネオに、達磨を―¥―¥―¥
道具は、使わない。そう決意した。
でも僕は、ドラエもんに一つだけ「あること」をお願いした。
ジャイアンと連絡を取った。
夏バテと、スネオがいなくなった喪失感から元気がなくなっているのは声だけで分かった。
しかしスネオが見つかったことを告げると、彼は幾分元気を取り戻した……ように感じた。
「僕は、今からスネオと話をしに行こうと思う。
だからジャイアン……君にも付いてきて欲しい」
無言。しかし電話越しに彼が頷くのは、ハッキリと分かった。
月が、雲に隠れたり現れたりしながら虚空に佇んでいる。
星は、あまり見えない。
みんなで、様々な星へ行ったことも思い出した。
またみんなで、行けるのか、今は、分からない。
分からないけど、きっと。
きっと僕らは。
ジャイアンが家にやって来た。
若干痩せたようだ。目の下にも、隈が浮かんでいる。
しかしその目は強い決意と生気に満ち溢れている。
友を心配する光も、その目に少しだけ。
僕らは、どこでもドアでスネオの家に向かった。
ドアを開けた瞬間、僕らは一瞬どこにいるのか分からなかった。
闇。完璧な、暗闇。
月明かりも何もかも、カーテンに遮断され、何も。
その中に、スネオはいた。
部屋の中でじっと押し黙っていたスネオは、僕らに気づくと、
嘗めつけるような目で睨んできた。
何しに来た、帰れ、帰れ、顔を見せるな。
言葉にせずとも、瞳が呪詛に渦巻いている。
絶望に彩られた瞳に、僕らは思わず気圧されそうになる。
逃げるな。前を向け。自分に言い聞かせる。
僕が、達磨を、投げてやるんだ。
左手に持ったあの日の達磨を握り締め、僕はスネオに声を掛けた。
「高井山に、行こう」
「高井山?なんでそんな所に行かなきゃならないんだよ」
スネオは冷たく笑う。
僕は黙る。
「行きたきゃ勝手に行けよ。なんで僕が……」
ため息をついて、そっぽを向く。
僕は黙る。
「大体、もう来るなって言っただろう。さっさと帰」
僕は黙る。
ジャイアンは、叫んだ。
「うるせえ!!ゴシャゴシャいうとぶっ飛ばすぞ!!!」
叫んで、スネオの胸倉を掴んだ。
スネオは、冷たく笑う。
ジャイアンは拳を上げたまま、動けずにいた。
スネオはまた、ひひっ、とあの笑い方をして、ニヤニヤと笑っていた。
「どうしたの?殴らないの?ジャイアンらしくないんじゃないの?」
笑いながらジャイアンを挑発するスネオ。
二人の関係も、あの頃と比べるべくもなく、絶望的に遠く。
ジャイアンはプルプルと震えながらも、そっとスネオから手を離した。
「高井山、行こうぜ……」
力なくそう言うジャイアンに、もはやガキ大将の影を見つけることはできなかった。
スネオは、ひと思いに殴られてこの状況をさっさと終わりにしたかったのだろう。
分からないけど、そんな気がする。
だから、スネオは黙って頭を下げるジャイアンのことを、ばつの悪そうな顔で見つめた。
ジャイアンは、頭を上げない。
スネオは何も喋らない。
窓を揺らす風の音だけが、僕らの鼓膜に届く。
何分くらいそうしていただろうか。
不意にスネオが
「何か、道具を出してくれるんなら、行くよ」
と、小さな声で呟いた。
瞳の色は……暗くて読み取れなかった。
僕は、彼の手を取り
「道具は、出す。だから、行こう」
そう言って、どこでもドアをくぐった。
僕らは高井山に着いた。
吹き付ける風に、木々がざわめいている。
月が、雲の隙間からまた顔を出した。
柔らかな月光が、スネオの顔を優しく照らす。
彼は、笑っているような、泣いているような、そんな複雑な表¥情をしていた。
その顔は、いつか見た夢の顔と、不思議と似ていた。
「……早くしてくれよ。さっさと道具、出してくれよ」
スネオはそう言って、貧乏ゆすりをしている。
「……こっちに来てくれ」
僕が導くと、スネオは黙って着いてきてくれた。
ジャイアンとドラエもんも、その後に続いて。
目の前に、茫洋と広がる湖があった。
湖面は、風に波打ちながら月明かりに照らされきらきらと光っている。
僕たちは、この湖を知っている。
この湖を訪れたことがある。
鉄人兵団と戦った、あの日。
「覚えてるだろう……ロボットが大挙して地球に押し寄せてきた、あの日のこと」
「……」
スネオは黙って、水面を見つめている。
「僕らは、たった4人で、鉄人兵団に立ち向かった」
「……」
びゅう、と強い風が吹いて、水面は激しく凪いだ。
「それだけじゃない……原始時代の日本にも行ったし、魔界にも行った。
ブリキの王国でのことも、牛魔王とのことも、全部、みんなで…
みんなで乗り越えてきた。そうだろう?」
僕は一言一言、ゆっくりと語りかけた。
風は、もう止んでいた・
「……だから、どうしたって言うんだよ!」
耳をつんざく刹那の嬌声。
スネオが声を荒げた。
「確かにそんなこともあったよな!
でも昔のことだろ!
もう過ぎたことだろ!
それが、それが今の僕に……なんの関係があるっていうんだよ!」
スネオが僕に掴みかかってきた。
手を振り解こうとは思わない。
殴られるのならば、それでも、いい。
しかしスネオは、殴ることはしなかった。
そのまま力なく、手を放した。
「どうせ君たちに僕の気持ちは分からないよ。
のうのうと幸せな生活を送っている君たちに、僕の気持ちなんか…」
言い終わる前に、スネオは弾け飛ぶように地面に転がっていた。
ジャイアンが、拳を握ってスネオの前に立っていた。
「……お前一人が、不幸なわけじゃねえ」
はあはあと息を荒げながら、ジャイアンは喋り始めた。
「俺の父ちゃんは、ジャイ子が産まれてすぐに死んだ。
かあちゃんは、女で一つで俺たちを育ててくれた。
うちは貧乏だったし、今だって貧乏だ。
でもそれを憎むつもりも恨むつもりもねえ。
それなのにお前は……
黙って聞いてりゃ、うじうじつまんねえこと言いやがって……」
そう言って、再び拳を握ったジャイアンは、スネオににじり寄った。
その時である。
「貧乏が辛いんじゃない!」
スネオは絶叫した。
ジャイアンは、びくっ、と肩を震わせ、そのまま立ち止まった。
「人は、裏切るんだ……」
ぽつり、とスネオは喋り始めた。
「どんなに心を通わせたと思っても、人は、いつか去っていくんだ」
スネオは、問わず語りに喋る。
昼間。スネオが話した言葉を思い出す。
『お金がある骨川さんが好きだったのになあ』
そんな言葉を投げつけられたスネオ。
新しい玩具。
新しい漫画。
別荘、海外旅行。
財を使って友人の心を引き付け続けてきたスネオ。
そして今、財を失ったスネオ。
彼は今、何を思っているのだろうか。
「僕にはもう、何もない。
もう何も失いたくない。
失うくらいなら、最初から何も、いらない」
スネオは語り続ける。
「無償の友情、無償の愛なんて、有り得ないんだよ。
そうだろ?ドラエもん」
ドラエもんに向き直って、スネオは言った。
「君だってさ、表¥向きは見返りなしにのび太のことを助けてるけどさ、
結局は君の将来だってそれで明るくなるんだろ?
だから一緒にいるんだろ?」
違う、とは言えない。
ドラエもんは、僕の未来を変えるために、やって来た。
僕の孫、セワシの命令で。
「ジャイアンもさあ、僕といたのは、僕の玩具や漫画が目当てだったんだろ?」
ジャイアンは複雑そうな顔をしている。
幾度となくスネオから物を取り上げた光景が、瞳の裏で蘇る。
そんなことはない、と言うのは簡単だ。
しかし、その理由を説明するのは……ひどく
매미의 울음소리가 봄의 마지막을 웅변에 말해, 여름의 마지막을 고한다. 전신와 깨어 붙는 더위에, 체내로부터 땀이 불기 시작한다. 이상하게, 불쾌감은 없다. 금년도 또, 여름이 왔다. 그리고 몇학년 올까는 모르지만, 반드시, 생애 잊을 수 있지 않는 여름이. 이야기는 조금 전에 거슬러 올라간다. 6월, 장마 전선은 완고하게 열도에 정체해, 연일의 비를 우리들에게 옮겼다. 그라운드는 비로 쓸모가 있지 않고, 그러니까 쟈이안은 점심시간의 번에 발구름을 밟았다 그래, 꼭 요즘부터이다. 스네오가 학교에 오지 않게 된 것은. 처음으로 그가 쉰 날은, 내세워 어떤 감개도 안지 않았다. 일년은 길다.그 중에 1일 정도 학교를 쉬는 날도 있겠지…그 정도의 감각이었다. 그러나, 그가 쉬는 날은 2일, 3일…로 성장해 간다.컨디션 불량으로서는, 어리석게 나가히키 있어 (이)라고 있다. 그리고, 스네오가 학교에 얼굴을 보이지 않게 되고, 이미 일주일간이 경과했을 무렵. 나는 이 시점에서, 말투도 없는 불안을 느꼈다. 8일째.나는 밀려 드는 불안에 견딜 수 없어 선생님 곳에 갔다.스네오의 결석, 그 진실을 알기 위해서. 뻗어 「선생님…」 선생님 「응?야일인가.어떻게 했어?공부의 질문인가?」 뻗어 「아니, 그런 일이 아니고…」 선생님 「그런 일, 과는 상당히다.…뭐 좋다.그리고, 무엇이야?」 뻗어 「저, 스네오입니다만」 선생님 「……」 뻗어 「스네오는, 어째서 쉽니까?」 선생님 「……」 뻗어 「감기으로서는 어리석게 길고」 선생님 「……」 뻗어 「선생님, 스네오는 도대체……」 선생님 「……골천은, 감기야.오래 끌고 있어」 뻗어 「 그렇지만 선생님…!」 선생님 「…남편, 직원회의의 시간이다.자, 야일도 빨리 돌아가세요」 그렇게 말해 선생님은, 의자에서 허둥지둥 허리를 올린다. 뻗어 「선생님!정말로 스네오는」 선생님 「빨리 귀, 라고 말한다」 선생님은 피샤리라고 말했다. 그 입조에는 반론을 허락하지 않는 것이 있어, 나는 말의 꿰매어 잇기이삭을 잃어, 잠깐 그 자리를 움직이지 못하고 있었다 납득은 할 수 없었다. 확실히 쟈이안까지는 가지 않지만, 스네오도 평균 이상으로 활발하고 건강한 남자다. 감기로 일주일간이나 드러누워 있는 모습은, 상상이다에 할 수 없다. 그리고 결의했다. (만나고, 직접 확인하자) 나는, 스네오의 집에 빠른 걸음으로 향했다. 「뻗어 태…」 갑자기 뒤에서 말을 걸 수 있어 나는 조금 구 놀랐다. 뒤돌아 보고 목소리의 주인을 확인한다. 큰 몸의 실루엣, 대담한 소리, 그것은 확인할 것도 없이, 쟈이안이었다. 쟈이안 「선생님응과 개 가서 기탄이겠지?스네오, 라고?」 화살 계속조에 질문하는 쟈이안.그도 걱정이다.스네오가-―스네오의 현재가. 뻗어 「감기, 래」 나는 (들)물은 대로 고한다.전혀 믿지 않은, 아마 거짓말인 곳(중)의 그 말을. 쟈이안 「……그렇게 수월하지!저녀석이 감기로 일주일간이나……너, 그래서 맥없이 돌아왔는지!」 쟈이안은 대단한 험악한 얼굴로 나에게 다가섰다.양어깨를 잡아지고 있다.강한 힘이다.그리고, 슬픈 힘이다. 뻗어 「……나래!나도 그런 것…믿을 리 없지……」 쟈이안 「……깨어」 한들로 한 공기가 두 명을 싼다.여기서 우리들이 좋음 사도, 무슨 해결도 안 되는 것 정도는 알고 있다. 뻗어 「가자……」 쟈이안 「네?」 뻗어 「스네오의, 집에 」 나는 그의 눈을 가만히 응시하고, 그렇게 고했다. 쟈이안은, 그렇다, 라고 숨만의 소리로, 그렇지만 분명하게라고 대답했다. 서쪽의 하늘이 붉게 물들고 있다. 까마귀가 귀로에 도착해 있다. 우리들은 줄서, 무언으로, 친구의-―스네오의 집에, 향하고, 있다. 발걸음이, 무겁다. 진실을 확인하고 싶은, 그렇지만-―모르는 채(분)편이, 좋아? 모순되는 두 개의 기분이 가슴으로 부딪친다. 감기다, 라고 믿어 버리는 것은 편하다.정말로 감기이면, 그것이 최상이다. 그러나, 그 이외의 무엇인가, 모르지만 「무엇인가」가 스네오의 몸에 닥치고 있는 것이라면……. 나는 무엇을 하고, 무엇을 하지 않으면 좋은 것일까. 어떤 표정으로, 어떤 말을 걸면 좋은 것일까. 모른다. 그것은 쟈이안도, 반드시. 스네오의 집에 도착했다.호화로운 그의 집은, 근린에 그 존재를 과시하는 것처럼 세우고 있다. 부럽지 않은, 이라고 하면 거짓말이 된다. 그러나 나는, 이 집을 보면, 정해져 슬퍼진다. 생각한다.이 거 나무인 수용해 것안에, 스네오가 있는 곳은 있는 것일까? ――왠지 그런 일을, 막연히 생각한다. 나는 차임을 울렸다. 집안에 사람의 기색은 없었다. 그러니까, 대답도 되돌아 오지 않았다. 그런데도 두 번, 세번과 차임을 울린다.대답은, 없다. 쟈이안 「…치워!」 쟈이안은 나를 난폭에 눌러 치우면, 힘껏 도어를 두드렸다. 쟈이안 「조카 스네오!응이겠지!학교 쉬어서 어떻게 했어! 조카도 참!조카!」 쟈이안도, 스네오가 여기에 없는 것 정도 알고 있다. 그렇지만, 그런데도.몸을 움직이지 않고서는 견딜 수 없는 것이다.소리를 지르지 않고서는 견딜 수 없는 것이다. 쟈이안 「스네오!스네오!나와 있어서!야구하자구!피처나 (이)라고도 좋으니까!……야구, 하자구……」 나는, 열심히 외치는 그를 본다고도 없이 보면서, 문득, 시야의 구석에 무엇인가를 잡았다. 뻗어 「쟈이안……」 쟈이안 「뭐야…!」 되돌아 본 쟈이안.울 것 같은 얼굴을 하고 있다.그리고 나도 아마. 뻗어 「저것…이겠지…」 말하고 나는, 현관의 겨드랑이(분)편에 있던 벽보를 가리켰다. 「판매처」 우리들은, 소리도 없게 오열 했다. 도둑 고양이가 기태 그렇게 나의 앞을 지나가 버렸다.말투가 없는 탈진감에 싸인다.쟈이안은, 벌써 집에 돌아갔다. 여러가지 의문이, 떠오르고는 사라지고 사라졌다가 떠오르고, 나는 사고의 미로에 헤매었다. 스네오는 도대체 어디에 간 것일까. 왜 집을 팔지 않으면 안 되었을 것이다. 그리고 왜-―선생님은 거짓말을 말했을 것이다. 모른다.아무것도. 방에 도착한 나는 가방을 던져 던지면, 책상에 팔꿈치를 붙어 허공으로 시선을 한다. 창의 저 편, 멀고, 아득히 무슨 광년의 저 멀리, 제일 먼저 눈에 띄는 별이 은은하게 빛나고 있는 것을 찾아냈다. 그렇지만, 내의 찾아내고 싶은 것은-― 눈부시다. 자오선 통과 한 태양이, 가차 없이 내리쬔다. 여기는-―나는, 사막을 달리고 있었다. 몹시 덥고, 체력은 이미 한계에 가까웠다. 그런데도 나는 계속 달린다. 왜냐하면 거기에-―시선의 끝에는 스네오가, 있기 때문에. 「스네오!」 외쳐 나는 열심히 달린다. 그러나, 모래에 발이 묶여 걸음은 지들로서 진행되지 않는다. 이상한 일로 스네오는 한 명, 자연계로부터 날외의 존재인 것 같이 사막을 부쩍부쩍이라고 진행된다. 마치 유모차를 타고 있는 것 같이, 무섭고 빠르다. 우리들의 거리는, 절망적으로 퍼져서 간다. 안된다, 기다려 줘스네오. 문득, 아득히 먼 곳에서 스네오가 멈춰 섰다. 지평선의 저 쪽, 결코 시인할 수 있는 거리가 아닌 장소에 있던 스네오의 얼굴은 그러나, 나 눈동자에 분명하게비쳤다. 너덜너덜울면서 웃는, 그의 얼굴이. 「뻗어 태군, 일어나.밥이야」 친숙해 진 소리가, 상냥하게 고막을 흔든다. 어느새인가 자고 있던 것 같다. 목이 바싹바싹 에 굶주리고 있다. 나는 무언으로 일어서면, 키친에 갔다.수도꼭지에 직접구를 붙여 꿀꺽꿀꺽목 (을)를 울리고 물을 마셔, 간신히 제정신 붙었다. 뒤에서 톡톡드라에도 가 온다. 드라에도 는 걱정일 것 같은 얼굴로 나의 눈을 들여다 봐 넣고, 그렇게 물었다. 유리에 비친 자신의 얼굴을 본다.몹시 운 눈, 안구는 핏발이 서 있었다. 심한 얼굴을 하고 있다. 드라에도 (분)편에 다시 향해 , 그라면 혹은, 이라고 생각했다. 그라면, 스네오의 행방을 쫓을 수 있을지도 모른다. 그렇게 생각해 나는 그에게 있는 그대로를 이야기하는 일로 했다. 뻗어 「스네오가 …없어져버렸어」 도라에몽 「스네오 훈이?」 일언지하에 큰 소리로 되물어졌다. 낭패 하고 있다. 언제나 침착한 그의 마음이, 크게 물결친 것처럼 보였다. 도라에몽 「없어져도, 도대체 무슨 일인 것 」 뻗어 「모른다.10일전 정도로부터 학교에 오지 않게 되어… 선생님은 감기라고 말하지만…믿을 수 없어서… 그래서 쟈이안과 함께 스네오의 집에 갔다」 도라에몽은, 나의 말을 하나도 흘리지 않든지 무언으로 (듣)묻고 있다. 나는 다음의 말을 찾아, 잠시 전의 광경-―판매처의 벽보를 생각해 냈다. 시야가 희미하게 보인다. 오열이 빠질 것 같게 된다. 말이, 계속 되지 않는다.사실을, 인정하고 싶지 않다. 「뻗어 굵고 응……」 드라에도 는, 나의 손을 살그머니 쌌다. 기계인 그의 손은 언제나 차갑다. 그렇지만 온기는, 확실히 있었다.확실히, 거기에. 「괴로운 것은 반으로 하자.즐거운 것은 배로 하자. 우리들은, 쭉 그렇게 해서 오지 않았나」 그렇게 말해 드라에도 는 닉코리와 미소지었다. 그러니까 나는, 어금니를 물고, 이야기를 계속했다. 「스네오의 집은, 팔리고 있었어」 「팔리고 있었던은…」 나의 말에, 드라에도 는 당황스러움을 숨길 수 없고 있었다. 무리도 없는, 친구의 집이 돌연 팔아지고 있었던 것이다. 누구라도 믿자는 두도 없다. 「무엇인가의 실수겠지」 그는 무리하게 웃고, 그렇게 말했다. 나는 무언으로 포켓에 손을 넣어 꾸깃꾸깃하게 된 종이조각을 꺼내, 열어 보였다. 「판매처」 우리들과 스네오를 끊은 그 종이조각을. 「이것…이니까……」 드라에도 는, 믿을 수 없는, 이라고 한 표정으로 벽보를 응시한다. 나는 그의 말을 기다렸지만, 망막과 종이를 바라볼 뿐으로 아무것도 말하려고는 하지 않았다. 뻗어 「……쟈이안이 , 벽보를 보고, 「장난치지 않아그럼!그렇게 올라…그렇게 오르고, 있을까!」 라고, 대단한 기세로 화내 , 찌르르는 벽보 찢어버렸어. 사람의 집인데. 쟈이안은 사실, 성격이 급하고 … 이런 일 하면 안 된다고 하는 것…모른다……」 거짓말했다. 쟈이안은, 그것은 안 되는 것이라고 알고 있었다. 그리고, 자신의 행위에 아무 의미도 없는 것도. 그 정도는, 안다. 울면서 벽보를 밟아 붙이는 그의 모습을 보면, 그 정도는. 드라에도 「어디에, 갔겠지…」 드라에도 는, 생각해 낸님이 툭, 이라고 중얼거렸다. 드라에도 「이사했던가……」 맥풀린 그의 소리가, 나의 신경을 자극해 간다. 드라에도 「스네오 훈의 곳은, 부자이니까, 새롭고 오나무인 집에서도 세웠지 않을까……」 그만두어 주어 나를 갖고 싶은 것은, 그런 말이 아니다. 그런 말은, 없다. 드라에도 「어느 쪽으로 해도 걱정해도 어쩔 수 없어.또넌더리나 얼굴 낸다…」 뻗어 「그만두어 줘!」 모임 미리 나는, 드라에도 의 어깨를 잡아 다가섰다. 응, 이라고 하는 소리가 나고, 그가 벽에 부딪힌다. 드라에도 의 얼굴을 가만히 응시했다.그는 일순간나와 눈을 맞추어 곧바로 일등 했다. 뻗어 「내가, 우리들이 지금 갖고 싶은 것은 그런 말이 아닌 것 정도, 알겠지? 내가 너에게 무엇을 해 주었으면 한지, 깨닫지 못한 것이 아니지?」 나는 단번에 권 해 세워 그의 거동을 지켜보았다. 반응은, 없었다. 눈은 변함 없이, 나를 보려고 하지 않는다. 「……알았어, 분명하게 말해. 찾는 사람 스틱을 내 주어서. 어디에서라도 도어를 내 주어서. 드라에도 라면, 너라면, 스네오를 찾는 것 정도 (뜻)이유는 없다. 그렇겠지!」 최후는, 외치도록(듯이) 말했다.지나친 소리의 크기에, 자신 자신이 놀랐을 정도에. 교성의 반동으로, 우리들의 주위는 무섭게까지의 고요하게 싸였다. 나는 그의 말을 기다린다.이제(벌써), 외칠 것도 없다. 영원히도 생각되는 긴 침묵이 두 명을 지배한다. 실제로는 5분이나 경과하지 않았지만, 그의 말을 기다리는 그 때, 시간은 무한하게 몸을 바친-―그런 식으로 느껴졌던 것이다. 그리고 드라에도 는, 단념한 것처럼 모아 숨을 붙으면, 간신히 입을 열었다. 「포켓은, 없다」 시야가, 희게 희미하게 보였다. 포켓은, 없다. 갑자기 마구 퍼부을 수 있었던 말, 나는 허탈 한 것 같은 기분에 붙잡혔다. 그 후, 드라에도 는 분명하게 주저 있어의 표정을 띄우면서도, 불쾌하게 계속했다. 「……지난 달의 일이지만. 이봐요, 너를 위해서 「무시스칸」을 냈을 때가 있었겠죠? 그 다음날정도, 4차원 포켓의 입이, 갑자기 열지 않게 되었다」 기억하고 있다. 내가 자신의 불 보람없음에 싫증이 찔러, 정 제대로 거리를 두려고 한, 그 날다. 그러고 보면 그 날로부터, 드라에도 가 도구를 내는 것을 보지 않았다. 「그래서 지금은…수리에 맡기고 있는데…」 말이 귀를 피상적임 한다. (듣)묻고 싶지 않다.나는 그런 말은, 갖고 싶지 않았다. 단지 도구를 내 주면, 나는 그래서-― 「그러니까, 뻗어 굵고 응.이번은 아무것도 할 수 있을 것 같지 않아. 그러니까, 믿어 기다리자…」 「스페어 포켓은!」 깨달으면 나는, 또 울고 있었다.울면서, 또 외쳤다. 「스페어 포켓이 있을 것이 아닌가! 너의, 이불아래에는! 스페어 포켓이! 저기, 그렇겠지?」 스페어 포켓. 또 하나의 4차원 포켓. 저것이 있으면, 아무것도 문제는 없을 것이다. 그는 뜻밖의 곳에서 빠져 있으므로, 지금의 지금까지 그 존재를 잊고 있었던이라고 해도, 불가사의는 없다. 그러나 그것은, 그 소망은, 이상에 지났다. 드라에도 는 무겁게 닫은 입을, 천천히 열었다 「스페어 포켓도 없어, 뻗어 굵고 응」 「어째서?그쪽까지 망가져 버렸어?」 「다르다……하지 않아서……」 드라에도 는 크게 머리를 털었다. 그는, 무엇인가를 말하고 싶지만 아무것도 말할 수 없는, 그렇게 복잡한 표정을 띄우고 있다. 나는 그의 눈을 가만히 보았다. 당분간 시간이 지나, 그는 큰 한숨을 쉬면, 말해, 라고 툭, 중얼거렸다. 여기에서는 길어지므로 간결하게 모으기로 한다. 솔직하게 말하면, 그가 포켓을 수리에 맡겼을 때, 행정으로부터의 감사를 강요당했다. 그리고 그의 도구는 자세히 조사할 수 있어 직접적인 사문 경과한 결과, 행정은 있는 권고를 내게 된다. 어려운 것은 알 수가 없었지만, 아무래도 드라에도 는 역사에 너무 개입한, (이)라고 판단되었다. 그 결과, 도구의 사용을 무기한에 금지되었다는 일이었다. 「그런……」 「물론 내가 역사를 변용하는 목적으로 과거에 와있는 것이 아닌 것은 말했어. 그렇지만……안되었었어. 일단 지금은, 탄원서를 내고, 그 회답을 기다리고 있는 단계이지만……」 이번 일은, 물론, 그의 탓은 아니다. 나를 위해를 생각해 준 것의 축적이, 지금의 상황을 만들어낸, 그 정도는 안다.나에게도. 그렇지만……도리는 아니었다. 억제하자가 없는 분노, 말로 표현할 수 없는 분노가, 나의 가슴 큼을 늘려, 결국-― 폭발했다. 「이런 때에…이런 때에 뭐 하고 있어야! 드라에도 에 포켓이 없으면, 아무것도 의미가 없지 않은가!」 말해 버렸다.멈추고 싶었다.말은 그러나, 멈추지 않았다. 「도구가 없으면, 드라에도 는 아무것도 할 수 없지 않은가! 친구의 중대사도의에, 아무것도!」 「, 그런 말투는 없지 않은가!나도 좋아하고 이런 일…」 말을 차단하고, 나는 외쳤다. 「시끄러운 이 파랑 다누키!」 그 말에, 드라에도 의 얼굴이 분노에 물드는 것을 안다. 「나는 너구리가 아니다!이 벽창호!」 어째서 이렇게 될 것이다. 싸움은, 할 생각이 아니었는데. 나는 단지, 스네오가, 어디에 있고 무엇을 하고 있는지, 알고 싶었던 것 뿐인데. ―――이것이, 이 6월에 있던 사건이다. 나와 드라에도 의 거리는, 이전과 같은 것은 않게 되었다. 그가 미운 것은 아니다. 그에게 도구가 없어도, 그에게의 생각에 동요는 없다. 그런 것은, USO800를 마셨을 때부터-―알고 있다. 조금 웃고, 약간 익살맞은 짓을 하고, 「미안」 그 만큼으로, 우리들의 사이가 돌아오는 일도……알고 있다. 그러나 우리들에게는 그것을 할 수 없다. 「그 만큼」이니까, 더욱 더. 말에서는 잘 말할 수 없지만, 반드시. 쟈이안의 건강도, 나날이 없어져 갔다. 친구를 없앤 상실감으로부터일 것이다, 라고 단순하게 생각했지만, 아무래도 그것 만이 아닌 것인지도 모른다. 생각해 낸다.스네오가 있던 나날의 일을. 쟈이안은, 언제나 스네오를 수행할 수 있고 있었다. 그는 조폭으로, 언제나 스네오로부터 여러 가지 물건을 채택하고 있었다. 보통으로 생각하면 그런 것은 친구든 뭐든 없다.비희목에 봐도, 몹시 왜인 관계. 그렇지만, 두 명은 언제나 함께였다. 맞아 차지고 것을 다루어져……그런데도 스네오는, 쟈이안의 곁에. (혹시) 갑자기 생각했다. (혹시, 쟈이안은, 스네오를 사랑하고 있었을지도 모른다) 그런 일을, 막연히. 만약 그렇다고 하면, 몹시 서투른 애정표현이야, 저녀석, 그녀가 할 수 있어도 고생할 것이다, (와)과 나는 시시한 것을 생각해 시시한 듯이 웃어, 그리고 깊은 모아 숨을 내쉬었다. 1학기마지막 홈룸. 프린트가 배부되어 선생님은 기계적인 주의 사항을 읽어 내린다. 바다에 혼자서 가선 안 된다. 아이만으로 불꽃을 해선 안 된다. 밤에 집을 나와선 안 된다. 교구외에 나와선 안 된다. 안 된다.안 된다.안 된다……. 어디에도 갈 수 없는 나. 어디에도 좋은 있어 스네오. 그의 자리는, 지금도 주를 잃은 채로, 배움사의 일실에서 오도카니 잠시 멈춰서 있다. 스네오는 아직, 돌아오지 않는다. 여름휴가(방학).8월 15일. 먼 옛날, 전쟁이 끝났을 무렵.더위도 최고조를 맞이하는 무렵. 뒷산에 드러누워, 흘러서 가는 구름을 보면서, (전쟁의 무렵도 지금도, 친구의 형태는, 변하지 않는 것인지) 그런 일을 생각했다. 그 답은 중천을 방황 있어, 나아래로 오는 일 없이, 찰싹 튀어 어딘가에 사라졌다. 더위로 머리가 돌지 않는다. 쨍쨍으로 한 태양이, 나의 체력을 천천히 빼앗아서 간다. 나는 산을 물러나고, 가까이의 편의점으로 향했다. 스네오가, 있었다. 이번은 사막이 아니고, 현실의 길거리에서.지금, 눈앞에. 달려 와, 어깨를 두드린다. 건강했어?걱정했어!(와)과 말을 건다. 스네오는 신해 (뜻)이유 없을 것 같게 웃어, 무엇인가를 말한다. 그 만큼다. 단지 그 만큼인데, 나는 다리를 내디디지 못하고 , 있었다. 스네오는, 이전과 같은 풍모는 아니었다.눈은, 마약 중독자의 것나름 응보다와 빠짐 구덩이, 검은자위만이 그 존재감을 과시하고 있었다.뺨과 몸은 완전히 야위어 굴러 원래 가는 몸인 그는, 그러니까, 철사와 같이 되어 있었다. 무엇보다 놀라게 해진 것은, 그 몸을 싸는 의복이었다.그의 집은 매우 유복하고, 스네오의 옷차림은 언제라도 아담했다. 그런데도, 지금의 스네오라고 하면, 어때. 너덜너덜해진 스니커즈. 진흙에 더러워진 바지. 계속 꿰매어 잇기 투성이의 옷. 머리카락도, 만족하게 손질을 하고 있지 않겠지, 몹시 더부룩이이다. (이것이, 스네오……?) 나는 눈앞의 광경을, 받아 들일 수 없었다. 조금 불쾌했지만, 언제나 쾌활했던 스네오. 자신으로 가득 차 넘쳐 항상 발랄하고 있던 그 무렵. 지금의 그에게, 그 무렵의 그림자를 찾는 것은, 나에게는 실현되지 않았다. 당분간 망막과 스네오를 보고 있었다. 편의점 들어가면 그는, 두리번 두리번침착해 않게 근처를 경계하면서, 가게를 둘레와 돌았다. 나는 가게의 밖으로부터, 그를 깨달아질 수 없는나름, 그 모습을 주의 깊게 엿본다. 스네오는 통조림의 코너의 앞에서 발을 멈춘다. 눈이, 날카로움을 늘렸다. 그는 가지고 있던 너덜너덜한 가방의 입을 열면, 마음껏에 통조림을 가방에 담기 시작했다. 점원은, 전혀 깨닫지 않았었다. 그의 손놀림은 매우 손에 익숙해져 있고, 그러니까 나는, 그것이 최초의 행위……도둑은 아닌 것을, 알았다. 대략 30개 정도의 통조림을 가방에 바꾸었을 무렵일까. 스네오는 가방을 잡으면, , 라고 일어서, 빠른 걸음에 가게를 나왔다. 그대로 그는 달려, 곁눈도 거절하지 않고 교차점에 향한다. 문득, 그 히미꿈을 생각해 낸다. 사막을 실종해서 간 스네오를. 뒤쫓아도 따라잡는 것 실현되지 않았던 스네오를. 그리고……너덜너덜울면서 웃고 있던, 스네오를. 깨달으면 나도, 달리기 시작하고 있었다. 경주에서는 언제나 비리였다. 그러나, 그를 잃지 않는 정도의 각력은, 어떻게든 있었다. 스네오가 통조림을 안은 채로, 10분 정도 달렸을 무렵일까. 마을의 경치는 일변하고 있었다. 여기는……그렇게, 평상시부터 마마나 선생님이 「가까워져선 안 된다」 (와)과 입이 닳도록 이야기 하고 있는 지역이다. 뭐든지, 궁핍한 사람이 대부분 사는 장소등으로, 너무 안전한 토지는 아닌 것 같다. 그런 장소에 스네오가 왜?(이)란, 더이상 생각하지 않았다. 여러가지 의문이, 눈앞으로 한 몇개의 사실에 의해, 답으로 향해 수렴 해 나간다.매우, 슬픈 결론에. 스네오가 문득, 걸음을 멈추었다.맞추고 나도 멈춰 섰다. 눈앞에는, 조가 둘러진 한 채가 오래된 건물, 전연 사람이 사는 것에 적합하지 않은 듯한 너덜너덜한 거주지가, 거기에는 있었다. 스네오가 천천히 계단을 올라서 간다. 나도 존재를 눈치채이지 않는님이, 살그머니. 문득, 아파트와 사 해 나무 그 건물에 비치할 수 있었던 간판이 눈에 들어왔다. 「토키와장」 왜일 것이다, 그립지도 왠지 없는 그 건물은, 그 간판의 존재에 의해 한번에 향수를 띠었다. 하지만 지금은, 그 감정의 이유를 찾고 있을 틈은 없다.쫓지 않으면, 스네오를. 나는 조용하게 계단을 오르면, 하나만 닫혀 가는 문을 보았다. 저기다.저기에 스네오가. 나는 날뛰는 기분을 억제해 문의 앞에 섰다.표찰은, 없다. 대신에, 벽보가 빽빽이……그 히미벽보는 아니다. 아니, 것에 의하면 「판매처」가 아직 좋다, 라고 생각되는 것 같은 벽보가, 도어의 장식을 이루고 있었다. 카네카에세 드로보 사기시 진조우웃테카네트크레 세계가, 천천히 형태를 잃어 간다. 차임은 없었다.있을 리도 없었다. 나는 하는 수 없이 문을 두드렸다. 한 번, 두 번. 대답은 없다. 세번, 4번. 대답은, 없다. 나는 일순간 주저해, 그러나 다음의 순간에는 뜻을 결정해, 자꾸자꾸, 라고 강하게 문을 두드려, 저 너머에 있어야할 스네오로 향하고, 외쳤다. 「열어 줘!나야!뻗어 태야!」 찰나, 파는 키일본 선주민, 이라고 하는 꾸중이 인가로부터 날았다. 땅을 기는 것 같은 낮은 소리에, 나는 무심코 말을 잃는다. 돌아가고 싶다, 라고 생각했다. 그렇지만 돌아갈 수 없다.(와)과도 생각했다. 스네오와 만날 때까지는, 만나고 이야기를 할 때까지는, 나는 돌아갈 수 없다. 그렇게 결의했다. 그리고 나는, 다시 도어를 두드려 외쳤다. 「열어 줘!부탁해!만나고, 이야기를 하고 싶어!스네오!스네오!」 나는 계속 끈질기게 말했다. 문은, 침묵을 계속 지켰다. 5분 정도 지났을 무렵일까. 문은, 돌연에 열렸다. 가장 그것은, 인가의 문이었던 것이지만. 방으로부터 남자가 나온다. 셔츠 위로부터에서도 아는 만큼 륭들로 한 근육. 팔뚝으로부터 들여다 보는 문신. 눈이, 분노를 호소하고 있다. 나는 공포에 움츠렸다. 「이 녀석……」 한 걸음, 니부. 남자는 숨을 황라고 접근해 온다. 무섭다. 무섭다. 도망치고 싶다. 도망가지 않는다. 세걸음, 4보. 남자가 앞으로 1 m만한 곳에 온, 그 때였다. 눈앞의 문이, 짤각, 이라고 열었다. 스네오다. 그러나 그는, 재회의 말을 주고 받는 것보다 빨리, 「빨리 들어갈 수 있어!」 (이)라고 외치고, 나를 실내에 끌어들였다. 스네오의 방은, 낮이라고 하는데 몹시 어둡고, 잔뜩 찌푸린 공기가 감돌고 있었다. 나를 강한 츠토무로 끌어들여 넣은 스네오는, 그러나, 척척방안에 진행되면 털썩 앉았다. 그러나 그는 벽쪽을 적합해 무엇인가 고소고소할 뿐으로, 아무것도 말하지 않는. 나는, 무엇인가를 말하자, 라고 생각하는 것이지만, 완전히 바뀌어 버린 그의 분위기에 밀려 역시 아무것도 말하지 못하고 있었다. 나는 할 일이 없는 상태에 방을 둘레, 라고 바라본다. 얄팍한 이불과 학교의 책상 정도의 크기의 식탁을 제외하고, 가재도구는 일절 없다.여기로부터도 그의 생활의 님은 엿볼 수 있다. 부엌에는, 다 먹은 통조림이 산란해, 측인가의썩는 냄새를 감돌게 하고 있다. 거칠어진, 생활이다. 나는 조금 주저했지만, 입술을 깨물면서 그에게 다시 적합해 , (들)물었다. 「너의……마마와 파파는?」 「어째서……학교에 오지 않는 거야?」 「이니까, 집을 팔지 않으면 안 되었어?」 나는 이것 저것, 생각나는 대로 질문을 던졌다. 대답은, 없다. 물을 뽑은 같은 고요함이 두 명을 지배한다. 그런데도 나는, 끈질기게 스네오에 계속 말을 걸었다. 「모두, 걱정하고 있었어?스네오, 어떻게 7응일 것이다, 는…… 쟈이안은, 완전히 기운이 없게 해 버려서 ……」 「걱정……」 스네오가, 밤, 이라고 반응했다. 「, 그래!미나무토당연히 걱정했어? 갑자기 학교에도 오지 않게 되어버리고…… 그러니까 나도 이렇게」 말이, 찼다. 문득 올려본 그의 표정이, 무섭게 모멸적인 것이었기 때문이다. 입을 보기 흉하게 비뚤어지게 해 웃어, 그러나 눈은 격렬한 증오에 불타고 있다. 그런 표정이었다. 그의, 공백의 2개월이 어떤 것이었는지, 그 표정은 무엇보다도 웅변에 이야기하고 있었다. 글자글자글자글자글자글자 …… 먼 곳에서 매미가 울고 있다. 글자글자글자글자글자글자 …… 방은 몹시 덥다. 글자글자글자글자글자글자 …… 목은 바싹바싹 말라, 나는 꿀꺽, 이라고 군침을 삼켰다. 스네오는 변함 없이, 능글능글웃을 뿐으로, 아무것도 말하려고는 하지 않는다. 「그런데 말이야……」 내가 말해 간, 그 때였다. 도어가, 강한 힘으로 자꾸자꾸얻어맞는다. 「골천씨!있는 하든지!빨리 열어 나!」 문의 저 편에서는, 몹시 난폭인 목소리가 울렸다. 스네오구, 라고 어깨를 진동시켰다. 눈에는 무서워해의 색이 떠올랐지만, 그것도 일순간으로, 2초 후에는 방금전과 같이, 아무런 감정의 색이 엿볼 수 없는 표정으로 돌아오고 있었다. 「스네오……」 말해 가는 나의 존재등 전혀 인식하고 있지 않는 것처럼, 스네오는 벌떡 일어선다. 무표정으로 도어(분)편에 스튜디오 스튜디오와 향하는 그 모습에서는, 전혀 생기가 느껴지지 않았다. 그렇다, 방금전부터 느끼고 있던 위화감은 즉…… 그에게서는 활력이라고 하는지, 생기라고 하는 종류의 것이 완전히 없어져 있었던 것이다. 눈앞에는 확실히 있는데, 이 세상에는 확실히 존재하지 않는, 유령과 같이 스네오는 무언으로 도어를 열었다. 도어의 저 편에는, 머리카락을 짧게 치벤 남자……아마 야쿠자, 가 서있었다. 야쿠자는 스네오에 눈을 돌려, 일순간 방안에 있는 나를 보면, 식, 이라고 한 느낌의 한숨을 쉰다. 「또 있지 않는가 아니……」 증증 무성해에 토해 버린 야쿠자풍의 남자는, 가슴으로부터 담배를 이기기 시작해, 불을 켰다. 폐 가득 채운 연기를 호쾌하게 토해내면, 스네오의 분을 시선을 돌림 하고, 조금 웃었다. 「이면, 오늘은 친구가 나무 취하지의.드문 일도 있는 것은」 친구, 란, 아마 나일 것이다. 그의 그 말로부터, 스네오는 하루의 대부분을, 아니, 것에 의하면 하루의 모두를 여기서, 혼자서 보내고 있는 것을 깨달았다. 남자의 말에 스네오는, 아무 관심도 없다는, 태도로 허공을 응시하고 있었다. 어떤 대답도 하지 않는 스네오의 태도에 남자는 일순간 기색 번이다 모습이었지만, 뭐예원, 이라고 중얼거리면 지면에 담배를 떨어뜨려, 그대로 뒤꿈치로 비비어 지웠다. 「, 스네오 훈.우리들도 좋아하고 이런 일이나 취하는 것이 아니지 그렇다면 아분이나?제일 안되는의 는, 돈을 빌린 채로 돌려주지 않아 스네오 훈의 아버지면.분이나? 있어 , 스네오 훈화등도 말하면 있어 줘나 「파파.마마.빨리 돈을 갚아」 라는 말 칠 수 있는의 」 남자는 천천히, 그러나 결코 반론은 허락하지 않는 상태로, 스네오에 담담하게 말을 걸었다. 말면만 보면 결코 난폭인 말은 아니다. 그러나 나는, 남자의 말에 몸의 흔들림이 멈추지 않았다. 무섭다. 스네오는, 이런 생활을, 2개월간이나……. 스네오의 분을 보았다.스네오는 변함 없이 색이 없는 눈을 하고 있었다. 「뭐진심으로 돌려주는 마음이 있지도 참」 그렇게 말해 남자는 고소고소와 품을 찾았다. 「여기에 와라, 물어라고 줘나」 남자는 스네오에 무엇인가 한 장의 종이조각을 건네주었다. 종이조각.몇개의 광경이 플래시백 한다. 「판매처」와만 쓰여진, 그 날의 벽보. 오늘, 문의 앞에서 본 「돈 돌려줄 수 있다」의 벽보. 그리고 지금, 스네오에 건네진, 한 장의 종이. 지, 종이, 종이. 고작 펄프의 말로가, 이렇게 나의 마음을 물결치게 하다니. 나는 그렇게 생각해, 암담으로 한 기분에 싸였다. 「……뭐스네오 훈의 파파가 일하게 되는 장소는, 추운 장소있어 두껍게 껴입어 와라, 말하면 있어 줘나」 그렇게 말해 남자는 바삭바삭 웃으면, 또 와요, 라고 진지한 얼굴로 중얼거리고, 문을 닫았다. 남자가 떠난 후, 방은 다시 답답한 침묵에 싸였다. 스네오는 현관앞에 뿌옇게 선 채로, 움직이지 않는다. 아니, 움직이지 않는 것이 아니고, 움직이는 것조차 귀찮은, 움직이는 의미조차 없는, 그렇게 퇴폐적인 분위기가 감돌고 있었다. 하는 수 없이 나는 스네오(분)편에 서로 양보한다. 「스네오, 그 종이는 도대체……」 그렇게 말하고, 나는 스네오가 잡고 있던 종이에 손을 뻗쳤다. 찰나이다. 방금전 꼬집지 않아, 라고 서있었을 뿐의 스네오는, 종이에 접하려고 하는 나를 눈치채면 연주해진 것처럼 구네의 몸의 자세를 취했다. 그대로, 것 굉장한 힘으로 나의 손을 먼지떨이, -응, 이라고 하는 소리만이 방에 울렸다. 다시 침묵이 방을 지배한다. 그러나 이번 침묵은, 그렇게 길게 계속 되지 않았다. 스네오는 몹시 굵고, 그리고 낮은 소리로 이렇게 말했다. 「뻗어 태에는, 관계없다」 그 어조에는, 유무를 말하게 하지 않는 것이 있었다. 태양은 또 조금 서쪽을 향해 나아& 것 같다. 석양이 조금, 커텐의 틈새로부터 빠지고 있다. 스네오의 옆 얼굴이 비추어져 붉게 물든다. 그 빨강만이, 그의 격정을 겉(표)하고 있을까의 같았다. 「알 것이다……」 스네오는 갑자기 중얼거렸다. 나는 갑작스런 일로, 어, 라고 되물었다. 그 반응에 스네오는, 또 입을 보기 흉하게 비뚤어지게 하고, 웃었다. 「뻗어 태도 분이나 비친다 ……파파의 회사가 도산해도 일 정도. 우리들에게 남겨진 것은 방대한 빚만은 일 정도」 담담하게 말하는 그의 말에, 처음으로 현실을 직시 당했다. 그 정도, 희미하게는 눈치채고 있었다. 그러나 인정하고 싶지는 않았다. 말로 하고, 형태로 해 정리하는 것이, 싫었다. 그렇지만 내가 싫어 한 그것은, 지금, 당사자 자신에 의해, 형태로 되었다. 「어째서……그렇게 오르지……않았어……」 모임 미리 나는 중얼거린다. 그러나 말은, 계속 되지 않는다.아무것도, 말할 수 없다. 그토록 재회를 촉망 한 친구를 눈앞으로 하고, 내의 것 할 수 있는 것은, 절망적으로, 전무였다. 「그렇게 오르지 않다.그렇게 오르지 않았어……응, 나도 그렇게 생각한다. 그렇지만 자, 그렇게 올라 있다, 뻗어 태.현실에, 지금, 우리들의 앞에」 스네오는 보다 한층, 보기 흉하게 얼굴을 비뚤어지게 했다. 서일의 빨강이 그의 표정에 그림자를 떨어뜨려, 스네오의 광기를 한층 강화한 것처럼 느꼈다. 먼 곳에서 까마귀가, 인가 , 라고 울어, 근처에서 트럭이 달려 빠졌다. 그 이외의 소리를, 우리들은 듣지도 못했다. 「……너, 뭐하러 왔어」 스네오가, 그렇게 중얼거릴 때까지는. 말해지고, 생각했다. 나는, 무엇을 하러 왔을 것이다. 스네오를 만나고 싶었으니까? 확실히 그것은, 있다. 그럼 이제(벌써), 용무는 끝나? 그런 (뜻)이유는 없다. 자, 어떻게 하고 싶어? 전같이, 옛날같이, 웃고, 달리고, 함께---함께? (나는, 스네오와 함께 웃을 수 있는 것일까) 지금 생각하면, 아마 그 만큼은 생각해선 안 되었다. 그러나 나는, 실제로 그렇게 생각해, 그리고 미묘한 표정의 변화는, 분명히 스네오에 전해졌던 것이다. 「.이제 무리야……우리들은 이제(벌써), 다른 걸……」 히히, 라고 위 질질 끈 소리로 스네오는 웃어, 또 곧 진지한 얼굴로 돌아오면, 돌아가, 라고 숨만의 소리로 중얼거렸다. 「스네오, 다르다, 나는 단지……」 「돌아갈 수 있는 매다는거야!」 꾸중이, 방에 울렸다. 동시에 액으로부터 늘어진 땀이, 발밑에 떨어졌다. 이 방이, 몹시 후덥지근한 것을, 생각해 냈다. 우리들은 서로를 만사리와 응시한다. 드라에도 와 저항한 그 날과 같이, 시간의 흐름은 매우 늦다. 팃팃팃틱 시계의 소리만이, 허무하게 울리고 있었다. 「……모두, 떨어져 갔어」 느닷없이 스네오가 말하기 시작했다. 「파파의 친구도, 회사의 사람들도, 모두 떨어져 갔다. 파파의 일이 능숙하게 말하고 있는 때는, 나 멍게 비위를 맞춰주어 자. 골천씨, 골천씨, 는. 그렇다면 아, 즐거웠어요. 그렇지만, 회사가 무너지고……파파도 무너져 가는 모습을 손가락 입에 물어 보고 만이 아니었다 여기저기에 연락하고, 여러 사람에 도움을 요구했다. 그렇지만 자.아무도, 아무것도 해 주지 않는 것 같아. 지금 바쁜, 이라든지, 전화는 전할 수 없습니다, 라든가 말해 어느A 사람은 「나는 돈을 가지고 있는 골천씨를 좋아했는데」 분명하게 말 싫어해……더이상 웃을 수 밖에 없다는 느낌이야」 나는 스네오의 말에, 단지 조용하게 귀를 기울였다. 「그런 것이야, 결국.사람과 사람과의 연결은 …하카나이야」 하카나이, 라는 말이 나의 머릿속에서 「덧없다」 연결될 때까지, 조금 시간이 걸렸다. 그 만큼 그의 소리는 단조롭고, 그러니까 불필요하게, 설득력이 있었다. 「……내가 이 2개월간, 어떤 기분으로 보냈는지, 아는지? 무엇을 생각하고, 무엇을 느껴 이 방에 있었는지, 뻗어 태, 너에게 아는지?」 아는, 이라니 말할 수 없었다. 말로 하면, 모두가 거짓말이 되는 것 같았다. 그러니까 나는 또, 아무것도 말하지 못하고, 스네오의 말을 단지 기다렸다. 「……알 리 없어.뻗어 태의 집에는, 파파가 있고, 마마가 있고, 따뜻한 밥이 있고, 부드러운 이불이 있고……그리고, 드라에도 가 있어」 마지막 말만, 한층 어두운 소리로 스네오는 토해 버렸다. 그리고 나는 눈치챘다. 그도 기대하고 있었던 것이다. 드라에도 에. 그의 도구에. 자신을 불우로부터 구해 주는 것에. 아마.반드시. 「……이니까, 지금 쯤 왔어」 짜기 시작하는 소리로, 스네오는 말했다. 어째서 , 왜, 어째서……. 이 2개월간으로, 나의 머릿속을 몇의 물음표가 둘러쌌을 것이다. 그리고 그 몇이 답에 겨우 도착했을 것이다. 나는 지금 또, 그 물음에 답할 수 있는 하지 않고서 있다. 「……사실은, 더 전부터 걱정하고 있었어. 네가 쉬기 시작해 일주일간만한 무렵부터……」 「(듣)묻고 싶지 않다!」 절규에 말을 차단해졌다. 무심코 기가 죽을 것 같게 된다.그러나, 여기서 말을 꺾을 수는 없다. 「사실이야!정말로……나는……우리들은…… 6월의 그 날, 너의 집에 가서, 「판매처」는 벽보를 찾아내고, 믿을 수 없어서, 쟈이안과 두 명 하고, 울어……그래서……」 그래서?나는 문득 생각했다.그래서 나는 무엇을 했어? 「그래서 현재에 이르는, 은 (뜻)이유인가」 스네오는 또, 히히, 라고 위 질질 끈 소리로 웃었다. 싫은 웃는 방법이다.전에는, 이런 웃는 방법을 하는 놈이 아니었다. 「알고 있어, 아무것도 하지 않았다, 는 (뜻)이유인가」 스네오는, 이번에는 웃지 않았다. 로 한 검은 눈으로, 나를 들여다 봐 온다. (그만두어 주어 그런 눈으로, 나를, 보지 말아줘) 마음으로 외친다.말은 되지 않는다.해선 안 된다. 만족해 받지 않으면 안 된다.그런 기분이, 한다. 「……이제 되었어.나는 이제(벌써), 좋다」 식, 라고 한숨을 쉬면서 스네오는 그렇게 말했다. 그러나 그 말은 나를 허락한 것을 의미했으므로 없고, 나와 스네오를 결정적으로 별개의 것이었다. 「더이상 나는 아무것도 기대하지 않고, 아무도 믿지 않는다. 혼자서 산다. 뻗어 태도 보았을 것이다?내가……」 스네오는 말을 도중에 잘라, 통조림응에 부풀어 오른 가방을 시선을 돌림 한다. 혼자서 살아간다…… 그가 보낸 2개월간은, 그를 해 그렇게사원 습기차는에 10분인 물건이었다. 그러나, 그 결론을 준수하기 위해서 선택한 수단이 도둑이다면…… 너무 슬프다.너무. 「……그런 것이야.뭐 새로운 완구도 만화도 손에 들어 오지 않게 된 지금의 나에게, 원래 사람이 모여 온다고도 생각되지 않지만요」 「그렇지 않다!」 모임 미리, 나는 소리를 황나막신. 「그런 일, 있는 것일까……」 시야가, 희미하게 보인다.스네오의 얼굴이, 비뚤어진다. 그의 의사가 아니고, 이번은 나의 눈물의 탓으로. 「확실히 너에게는 완구도, 만화도 없을지도 모른다. 그렇지만 지금까지 보낸 우리들의 시간은, 지금도 남아 있다. 적어도, 나중에는. 너와 간 코야코야별을, 나는 잊지 않는다. 너와 만든 구름의 왕국을, 나는 기억하고 있다. 너와 보낸 해저에서의 시간은, 아직 가슴에 남아 있다. 남아 있다…….」 최후는, 긁힌 소리로, 말했다. 스네오는, 아무것도 말하지 않는다. 그리고 이 날 마지막 침묵이, 우리들의 주위를 쌌다. 「……자, 도와 주어서」 스네오도 또, 울고 있었다. 울면서, 마지막 말을, 중얼거리기 시작했다. 「이, 최악의 현실로부터, 나를 도와 주어서! 그리고 나무응이겠지!드라에도 의 힘을 빌리면! 나의 생활을!평화로웠던 그 무렵에!되돌리는 것 정도로 나무응이겠지! 해 주어서!금방에 되돌려 주어서! 뻗어 태!!」 울며 아우성치면서, 스네오는 외쳤다. 그는, 이 날 처음으로, 자신의 감정을 드러냈다. 그것도, 가장 보고 싶지 않은 형태로. 「……성과인 있는이겠지」 스네오는 툭하고 중얼거렸다. 그 눈은 더이상 눈물에 젖고는 있지 않고, 또, 절망에 물들여진 눈초리로 변해있었다. 「……돌아가 줘.그리고 이제(벌써), 모습은 보이지 말아줘」 나는 아무것도 말하지 못하고, 아무것도 인사하지 못하고, 허탈 한 것 같은 기분으로, 집에 돌아갔다. 귀로.발걸음은 몹시 무거웠다. 완전히해가 졌을 무렵, 간신히나는 집에 겨우 도착했다. 창으로부터 새는 빛이, 눈부시다. 눈부셔서, 조금 눈이 멀었다. 스네오의 집의 어두움을 생각해 냈다. 그의, 새까맣게 빠짐움푹 팬 곳응이다 눈을, 생각해 냈다. 암담으로 한 기분이 나를 싼다. 「다녀 왔습니다……」 맹장지를 드르르 열면, 거기에는 드라에도 가 있었다. 드물다.그 날로부터라는 것, 밥을 먹을 때와 필요하게 몰려 외출할 때 이외는, 거의 반침안에 있던 드라에도 가. 무엇보다 나를 놀래킨 것은, 단지 거기에 있는 것 만이 아니고, 몹시 기분이 좋을 것 같았기 때문에다. 「어서 오세요」 방글방글 웃고 나를 마중나가 준다. 그의 웃는 얼굴을 보았던 것도, 역시 2개월만이었다. 「왜.드물지 않은, 반침에서 나오다니」 나는 직재에 그렇게 고했다.몹시 지친 머리에서는, 배려가 있는 말은, 무엇하나 떠오르지 않았다. 그러나 드라에도 는 특별히 신경쓴 모습도 없고, 변함없이 와에 일 웃고 있었다. 나는 조금 안심했다. 「뻗어 굵고 응!(들)물어!4차원 포켓이 되돌아 왔어!」 4차원 포켓이 되돌아 온-―그의 그 말에, 나는 많이 놀랐다. 그러나 나는 아무것도 말하지 않고, 입다물어 드라에도 를 응시했다. 「이것으로 겨우 스네오 훈을 찾을 수 있는군!지금 어디에서라도 도어를 내기 때문에, 기다리고 있어!」 그렇게 말해 바스락바스락포켓을 찾기 시작하는 도라에몽. 그 손을 무언으로 억제하는 나. 드라에도 는, 주거지와 , 로 한 얼굴로 나를 보고 있다. 「왜 , 뻗어 굵고 응」 「스네오는, 발견되었다」 「스네오 훈이?」 「그렇게, 조금 전까지 만나고, 이야기해 왔다.그러니까 이제 되었다, 이제 되다……」 딱 침묵을 지키는 드라에도. 나의 말의 밖에, 심각한 사정을 감지했을지도 모른다. 드라에도 는, 입다물어 타임 TV를 꺼내면, 와 조작을 시작했다. 아마 나와 스네오와의, 자초지종을 알기 위해서. 그 광경을 한번 더 볼 생각에는 도저히 되지 못하고, 나는 입다물어 뜰의 헛간으로 향했다. 눈치채면, 자고 있었다.꿈이 없는 잠이었다. 일어나면 헛간가운데는 깜깜하고, 나는 눈을 뜨고 있는지, 그렇지 않으면 감아는 있는지 조차, 몰랐다. 장난에, 어둠으로 향해 손을 뻗는다. 아무것도 잡을 수 없다.아무것도 접하지 않는다. 어두운 곳안에서, 단지 나 한 명이 존재하고 있었다. 아니, 정말로 존재하고 있는지도, 모른다.아무것도. 갑자기 한줄기 빛이 비추었다. 후광을 감기고, 드라에도 가 문의 밖에 서있었다. 「뻗어 굵고 응……」 알카익 스마일, 이라고도 말하는 것일까. 바닥 누락에 상냥한 미소를 띄우면서, 드라에도 는 살그머니 나의 어깨를 안았다. 손이, 나에게 접했다. 서늘한 손은, 찌는 듯이 더운 여름에, 몹시 기분 좋다. 그렇지만 거기로부터 전해지는 따스함은, 더. 「이번이야말로, 나는, 힘이 될 수 있을까. 너의 괴로움과 슬픔을, 반으로 할 수 있을까」 드라에도 는 상냥하게 나에게 말해 건다. 나는 그에게 매달려, 소리를 높이고, 울었다. 방으로 돌아와, 나와 드라에도 는 마주 보고 앉음에 앉았다. 검이 붓기싶다.상당히 운 것이다. 드라에도 는, 신묘한 표정으로 무엇인가를 생각하고 있다. 「……드라에도 , 사정은 알았을 것이다? 부탁이다, 스네오를 위해, 무엇인가 해 주어……무엇인가 도구를 내 주지 않겠어?」 드라에도 는, 변함 없이 어려운 얼굴을 하고 있다. 나는 구원 하지 않고서 계속했다. 「더이상 의지할 수 있는 것은 너 밖에 없다.너 지혜와……너의 도구에 의지할 수 밖에… 나에게는 그 정도 밖에, 이제(벌써)……」 「사정은, 알았어……」 드라에도 는, 한마디 한마디인가 봐 잡도록(듯이) 말하기 시작했다. 「 그렇지만, 도구를 낼 수……없다」 드라에도 는, 웃고, 맡겨, 라고 말하고, 도구를 낸다. 그렇다고 생각했다.그렇다고 믿고 있었다. 예상외의 그의 말에, 나의 마음은 크게 동요했다. 「, 어째서!너라면, 너의 도구라면, 그를 지금의 상황으로부터 구하는 것 정도, 간단하지 않은가!그런데도, 어째서……」 「확실히, 간단하겠지.스네오 훈의 아버지의 빚을 지우는 것 정도, 별 일 없어」 드라에도 는 일단 거기서 말을 단락지어, 그렇지만, 이라고 계속했다 「……그렇지만, 그래서 스네오 훈이 정말로 구해지는 것일까」 그 말에, 깊은 어둠을 띤 스네오의 눈을 생각해 냈다. 울면서 웃는, 그의 얼굴을, 생각해 냈다. 혼자서 살아간다-―결연히 그렇게말 있어의 자리수그의 말을, 생각해 냈다. 「만약 박스로, 빚을 지울 수 있어. 그렇지만 그의 마음을, 그의 어둠을 없애는 것은, 타임 보자기로도, 무리이야」 나는, 아, 라고 생각했다. 빚이 사라져도, 빚을 냈다는 사실은 지울 수 없다. 그가 경험한 현실은, 굽힐 수 없다. 빚이 사라져 원래의 생활로 돌아와도, 스네오는, 스네오다. 그것은, 자주(잘)도 나쁘지도, 그렇다. 그리고 지금의 스네오는-――이제(벌써), 누구에게도 마음을 여는 것은, 없을 것이다. 「자, 나는 도대체 어떻게 하면……」 비탄에 잠기는 나에게, 드라에도 는, 상냥하게 말을 발표한다. 「뻗어 굵고 응, 좋겠어, 조금 이해하기 어려운 이야기일지도 모르지만…… 확실히 나의 도구는 편리해.너도 그것은 알고 있지요. 그런 너이기 때문에 더욱, 제일 안다고 생각한다.」 드라에도 는 거기까지 말하면 한숨 돌리고, 또, 천천히 말하기 시작했다. 「도구를 위해서 사람이 있지 않아서, 사람을 위해, 도구는 있다」 나에게는 일순간, 그것이 무엇을 의미하는지, 잘 몰랐다. 그러니까 입다물고, 다음의 말을 기다렸다. 「사람을 위해 도구가 있는……우선 사람이 있고, 도구가 있다…… 그러니까, 우선, 그 「사람」그 자체가 제대로 하고 있지 않으면 확실히 하고 있지 않으면 어떤 편리한 도구로도 그것은 아무 의미도 없음 않아」 드라에도 는 언제라도 설교 냄새가 나다. 이 말에래, 무조건 「알았어」라고 말할 수 없다. 스네오의 지금을 우선 구하는 것, 비유 스네오가 지금 착실하지 않아도…… 우선은 무엇인가를 해 주는 것, 그것이 소중하다면, 역시 생각한다. 그렇지만, 드라에도 가 말하는 것은, 역시 올바르겠지라고 생각한다. 스네오의, 그 눈을 생각해 내면, 더욱 더 그러하게. 그의 말은, 올바르다.잘 모르지만, 아마. 능숙하게 말에는 할 수 없지만, 반드시. 「지금, 스네오 훈은, 길가에서 채이고, 구르고, 무릎 소승으로부터 피가 흐르고 있다. 울고 있는 스네오 훈에, 상냥하게 손을 뻗치고, 소독 해 주고, 반창고를 첩은 주는 것은 간단하겠지.」 흐린 하늘의 사이로부터, 달이 얼굴을 내밀었다. 오늘 밤은, 만월이었다.부드러운 빛이, 우리들의 얼굴을 비춘다. 「 그렇지만 그는 지금, 구른 채로, 일어서려고 없다. 그런 그를 억지로 세우고, 소독시켜도, 그는 반드시, 아무것도 변하지 않다. 그런데 뻗어 굵고 응, 너는 아직, 스네오 훈을 친구라고 생각하나?」 돌연, 신묘한 얼굴을 해 그런 일을 물어 왔다. 당돌한 질문에 나는 일순간 말을 잃었지만, 그러나 곧바로, 강한 어조로, 말했다. 「나와 스네오는, 지금도, 쭉, 앞으로도 친구다!」 킵파리라고 말했다. 도라에몽은, 하면, 생긋 웃어 이렇게 말했다. 「네가 해 주는 것은, 소독 해 주는 것도, 억지로손을 뻗치는 것도 아니다 사람은, 굴러도, 몇 번도 일어설 수 있다는 것을, 가르쳐 주는 것이야 그것이 생기는 것은, 뻗어 굵고 응, 너 밖에 없어」 문득, 그리운 정경이 소생한다. 나는 할머니자였다. 쉬운, 할머니였다. 어렸던 나는, 언제나 할머니에게 응석부리고, 아진을 말해…그렇게 보내 왔다. 어느A 날다. 나는 뜰에서 놀고 있을 때에, 구르고, 무릎을 찰과상 입었다. 큰 소리로 울며 아우성치는 나는, 할머니가 상냥하게 껴안아 주는 것을, 단지 기다렸다. 잠시 후, 할머니는 왔다. 할머니는 여느 때처럼 방글방글 웃고, 나를 보고 있었다. 할머니는, 그러나, 나를 껴안는 것을 하지 않았다. 나는, 한층 강하게 울었다. 할머니는, 한 손에 가지고 있던 달마를, 나 겨드랑이에 던져 던졌다. 무렵응, 이라고 구르는 달마. 흔들흔들흔들리면서, 하지만 마지막에는, 달마는 원과 같이 일어섰다. 「달마씨도 혼자서 일어나기야. 뻗으면 도, 혼자서 일어나지 않으면」 그런 정경이.지금 소생했다. 지금의 스네오는, 그 날의 나다. 아픔에 울어, 외로움에 아우성쳐, 안지 않는 조모를 원망스럽다고 생각한 그 날의 나다. 그러니까 나는, 달마를, 스네오에 있어서의 달마를, 주자. 나와 그리고 쟈이안으로, 스네오에, 달마를-―― 도구는, 사용하지 않는다.그렇게 결의했다. 그렇지만 나는, 드라에도 에 하나만 「있는 것」을 부탁했다. 쟈이안과 연락을 했다. 여름 탐과 스네오가 없어진 상실감으로부터 기운이 없게 되고 있는 것은 소리만으로 알았다. 그러나 스네오가 발견된 것을 고하면, 그는 약간 건강을 되찾은 것……같게 느꼈다. 「나는, 지금부터 스네오와 이야기를 하러 가려고 한다. 그러니까 쟈이안……너에게도 뒤따라 왔으면 좋겠다」 무언.그러나 전화 넘어로그가 수긍하는 것은, 분명하게라고 알았다. 달이, 구름에 숨겨 나타나거나 하면서 허공에 잠시 멈춰서 있다. 별은, 별로 안보인다. 모두, 여러가지 별에 간 것도 생각해 냈다. 또 모두, 갈 수 있는지, 지금은, 모른다. 모르지만, 반드시. 반드시 우리들은. 쟈이안이 집에 왔다. 약간 야윈 것 같다.눈 아래에도, 기미가 떠올라 있다. 그러나 그 눈은 강할 결의와 생기로 가득 차 흘러넘치고 있다. 친구를 걱정하는 빛도, 그 눈에 약간. 우리들은, 어디에서라도 도어로 스네오의 집으로 향했다. 도어를 연 순간, 우리들은 일순간 어디에 있는지 몰랐다. 암.완벽한, 어두운 곳. 달빛도 모두, 커텐에 차단되어 아무것도. 그 중에, 스네오는 있었다. 방안에서 가만히 침묵을 지키고 있던 스네오는, 우리들을 눈치채면, 핥아 붙이는 눈으로 예 그리고 왔다. 뭐하러 온, 귀, 귀, 얼굴을 보이지 말아라. 말로 하지 않고와도, 눈동자가 주저에 소용돌이치고 있다. 절망에 물들여진 눈동자에, 우리들은 무심코 압도될 것 같게 된다. 도망치지 말아라.앞을 향해라.자신에게 타이른다. 내가, 달마를, 던져 준다. 왼손에 가진 그 날의 달마를 꽉 쥐어 나는 스네오에 말을 걸었다. 「타카이산에, 가자」 「타카이산?어째서 그런 곳에 가지 않으면 안 돼」 스네오는 차갑게 웃는다. 나는 입다문다. 「가고 싶으면 마음대로 갈 수 있어서.어째서 내가……」 한숨을 쉬고, 외면한다. 나는 입다문다. 「대개, 이제(벌써) 오지 말라고 말했을 것이다.빨리 귀」 나는 입다문다. 쟈이안은, 외쳤다. 「파는 키네!고샤고샤 말하면 후려갈길거야!」 외치고, 스네오의 가슴팍을 잡았다. 스네오는, 차갑게 웃는다. 쟈이안은 주먹을 올린 채로, 움직이지 못하고 있었다. 스네오는 또, 히히, 라고 그 웃는 방법을 하고, 능글능글웃고 있었다. 「왜?때리지 않아?쟈이안인것 같지 않은거 아니야?」 웃으면서 쟈이안을 도발하는 스네오. 두 명의 관계도, 그 무렵과 비교할 수도 없고, 절망적으로 멀고. 쟈이안은 프르풀과 떨리면서도, 살그머니 스네오로부터 손을 떼어 놓았다. 「타카이산, 가자구……」 힘 없애자 말하는 쟈이안에, 이미 녀석 대장의 그림자를 찾아낼 수 없었다. 스네오는, 사람 생각에 맞아 이 상황을 빨리 끝나로 하고 싶었을 것이다. 모르지만, 그런 생각이 든다. 그러니까, 스네오는 입다물고 고개를 숙이는 쟈이안을, 개의 나쁜 것 같은 얼굴로 응시했다. 쟈이안은, 머리를 올리지 않는다. 스네오는 아무것도 말하지 않는다. 창을 흔드는 바람의 소리만이, 우리들의 고막에 닿는다. 몇분 정도 그렇게 해서 있었을 것인가. 갑자기 스네오가 「무엇인가, 도구를 내 준다면, 가」 라고 작은 소리로 중얼거렸다. 눈동자의 색은……어두워서 읽어낼 수 없었다. 나는, 그의 수를 잡아 「도구는, 낸다.그러니까, 가자」 그렇게 말하고, 어디에서라도 도어를 빠져 나갔다. 우리들은 타카이산에 도착했다. 내뿜는 바람으로, 나무들이 웅성거리고 있다. 달이, 구름의 틈새로부터 또 얼굴을 내밀었다. 부드러운 달빛이, 스네오의 얼굴을 상냥하게 비춘다. 그는, 웃고 있는, 울고 있는, 그렇게 복잡한 표정을 하고 있었다. 그 얼굴은, 언젠가 본 꿈의 얼굴과 이상하게 비슷했다. 「……빨리 해 주어서.빨리 도구, 내 주어서」 스네오는 그렇게 말하고, 가난 공갈협박을 하고 있다. 「……여기에 와 주어」 내가 이끌면, 스네오는 입다물고 도착해 와 주었다. 쟈이안과 드라에도 도, 그 후에 이어. 눈앞에, 망양과 퍼지는 호수가 있었다. 호면은, 바람으로 물결치면서 달빛에 비추어져서 반짝반짝 빛나고 있다. 우리들은, 이 호수를 알고 있다. 이 호수를 방문했던 적이 있다. 철인 군단과 싸운, 그 날. 「기억하고 있을 것이다……로봇이 대거 하고 지구에 밀려 들어 온, 그 날」 「……」 스네오는 입다물고, 수면을 응시하고 있다. 「우리들은, 단 4명으로, 철인 군단으로 향했다」 「……」 , 라고 강한 바람이 불고, 수면은 격렬하고 지 있어다. 「그 만큼이 아닌……원시시대의 일본에도 갔고, 마계에도 갔다. 양철의 왕국으로의 일도, 우마왕이라는 것도, 전부, 모두… 모두 넘어 왔다.그렇겠지?」 나는 한마디 한마디, 천천히 말을 걸었다. 바람은, 이미 그쳐 있던· 「……그러니까, 어떻게 했다고 해!」 귀를 뚫는 찰나의 교성. 스네오가 소리를 황나막신. 「확실히 그런 일도 있 것 같아! 그렇지만 옛 일이겠지! 벌써 지난 것이겠지! 그것이, 그것이 지금의 나에게……무슨 관계가 있다고 해!」 스네오가 나에게 괵미카인가는 왔다. 손을 풀어 버리려고는 생각하지 않는다. 맞는다면, 그런데도, 좋다. 그러나 스네오는, 때리지는 않았다. 그대로 힘 없고, 손을 놓았다. 「어차피 자네들에게 나의 기분은 몰라. 편히행복한 생활을 보내고 있는 자네들에게, 나의 기분은…」 말을 다 끝내기 전에, 스네오는 튀어 날도록(듯이) 지면에 널려 있었다. 쟈이안이, 주먹을 잡아 스네오의 전에 서있었다. 「……너 한 명이, 불행한 것그럼 」 헐레벌떡숨을 황면서, 쟈이안은 말하기 시작했다. 「나의 아빠는, 쟈이자가 출생하자마자 죽었다. 엄마는, 여자로 한 살로 우리들을 키워 주었다. 집은 가난했고, 지금이라도 가난하다. 그렇지만 그것을 미워할 생각도 원망할 생각도 응. 그런데도 너는…… 입다물고 (들)물으면, 우물쭈물 뜯지 않아 응 일말 싫어해……」 그렇게 말하고, 다시 주먹을 잡은 쟈이안은, 스네오에 짓이겨 모였다. 그 때이다. 「가난이 괴롭지 않아!」 스네오는 절규했다. 쟈이안은, 구, 라고 어깨를 진동시켜 그대로 멈춰 섰다. 「사람은, 배반한다……」 툭, 이라고 스네오는 말하기 시작했다. 「아무리 마음을 다니게 할 수 있었다고 생각해도, 사람은, 언젠가 떠나 간다」 스네오는, 묻지 않고 이야기에 말한다. 낮.스네오가 한 말을 생각해 낸다. 「돈이 있는 골천씨를 좋아했는데」 그런 말을 떨어져 있던 스네오. 새로운 완구. 새로운 만화. 별장, 해외 여행. 재를 사용해 친구의 마음을 계속 끌어당겨 온 스네오. 그리고 지금, 재를 잃은 스네오. 그는 지금, 무엇을 생각하는 것일까. 「나에게는 이제(벌써), 아무것도 없다. 더이상 아무것도 잃고 싶지 않다. 잃을 정도라면, 최초부터 아무것도, 필요 없다」 스네오는 계속 말한다. 「무상의 우정, 무상의 사랑은, 있을 수 없어. 그렇겠지?드라에도 」 드라에도 에 다시 향하고 , 스네오는 말했다. 「너도 , 겉(표)방향은 담보없이 뻗어 태를 돕고 있지만, 결국은 너의 장래도 그래서 명응이겠지? 그러니까 함께 응이겠지?」 다르다, 라고는 할 수 없다. 드라에도 는, 나 미래를 바꾸기 위해서, 왔다. 나의 손자, 세와시의 명령으로. 「쟈이안도 자, 나라고 있던 것은, 나의 완구나 만화가 목적이었던 것이겠지?」 쟈이안은 복잡할 것 같은 얼굴을 하고 있다. 몇 번이나 스네오로부터 물건을 채택한 광경이, 눈동자의 뒤에서 소생한다. 그렇지 않은, 이라고 말하는 것은 간단하다. 그러나, 그 이유를 설명하는 것은……몹시 어렵다.지금의 스네오에는. 그렇지만, 그렇지 않다. 그렇지 않다. 무상의 우정은, 반드시 있다. 무상의 사랑도, 반드시. 나는 그것을 가르치기 위해서 지금, 스네오와 대치하고 있다. 「……이제 되지.더이상 옛 내가 아니어. 너등 이럭저럭 해 이야기해래, 정직 괴롭다. 그러니까, 빨리 도구 내 주어서. 혼자서 생유익의, 도구를 」 그렇게 말해 스네오는, 드라에도 로 향하고, 손을 뻗쳤다. 드라에도 는 곤란한 것 같은 얼굴을 하고 나를 본다. 나는 드라에도 의 눈을 보고, 국익, 묻는데 두 있었다. 드라에도 가 포켓에 손을 돌진한다. 포켓으로부터, 일체의 로봇이, 나타났다. 「미크로스……」 「그렇게, 철인 군단과의 일이 있었을 시……네가 만든, 로봇이다」 미크로스는 겉(표)얼굴은 단순한 라디콘 로봇이다. 그렇지만, 드라에도 의 도구에 의해 지능이 주어지고 자신으로 생각하고 활동을 할 수 있다. 그러나 로봇이 마음대로 움직여, 말하는 그 모습은, 세상적으로 너무 부자연스러웠었기 때문에, 철인 군단과의 한 건으로부터 잠시 후, 드라에도 가 맡게 되었다. 그 로봇이, 지금, 스네오의 눈앞에, 있다. 미크로스는 스네오아래에, 조용하게 서로 양보했다. 「스네오산」 「……」 스네오는, 아무것도 대답하지 않는다. 「스네오산, 오히사시브리데스」 「……」 스네오는 아무것도, 대답하지 않는다. 「오겐키데시타카?」 「……건강한 것, 없지」 겨우, 대답했다. 「소우데스카.데하, 아소비마쇼우」 미크로스는, 순진하게 말한다. 로봇다워서, 단조로운 어조로. 그 입조가, 그 말이, 스네오의 신경을 자극했다. 「……시끄러워!