生活/文化



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秋の風物詩ハロウィンのカボチャ


【知ってる?】ハロウィンの起源と本当の意味、ランタンとジャックの物語


1.ハロウィンの起源って?-もともとは古代ケルトの儀式

ケルト文化とキリスト文化の融合

アメリカに渡って現在の形に

ハロウィンではどうして仮装をする?

2.かぼちゃのランタンとジャック

「Jack-O”-Lantern(ジャック・オー・ランタン)」の怖い物語

最初はかぼちゃではなくカブだった

3.「Trick or Treat(トリック・オア・トリート)」に込められた意味

4.海外と日本のハロウィン事情

アイルランド-学校は1週間休み

アメリカ-大人の仮装通勤

メキシコ-日本の盆に似ている

ルーマニア-ドラキュラの故郷

日本-コスプレ文化と融合

まとめ

近頃すっかり秋の風物詩となったハロウィン。日本では仮装を楽しむのが定番ですよね。ハロウィンはアメリカ由来、というイメージのある方も大勢いると思いますが、起源は古代ケルトです。


この記事では、ハロウィンの起源をご紹介。また、人に話したくなるジャックオーランタンの物語や、アイルランド・北米南米のハロウィン事情もお届けします。




1.ハロウィンの起源って?-もともとは古代ケルトの儀式

ハロウィンのかぼちゃ



ケルト文化とキリスト文化の融合

ハロウィンの起源は2,000年以上前、現在のイギリスやアイルランドにあたる場所に暮らしていた古代ケルト民族の宗教儀式のひとつ、「サフィン祭」であると言われています。 サフィン祭は、古代ケルト民族の一年の終わりである10月31日に秋の収穫を祝い、作物を神様に捧げるもの。


この時期には、日本で言うお盆のように、死者の霊が家族に会いに来ると信じられていました。しかし、同時に霊界から「悪魔」「悪い妖精」もこの世にやってくるため、悪い霊を追い払うためのお祭りでもあったのです。これが現在のハロウィンの原型となったと考えられます。


やがて歴史の中で古代ケルトの文化はキリスト教文化に吸収され、サフィン祭も変化してハロウィンが誕生しました。ハロウィンは11月1日のキリスト教の祝日「万聖節(ばんせいせつ)」の前夜祭として行われました。


万聖節は「諸聖人の祝日」とも言われ、キリスト教すべての聖人を崇めて敬う日となっており、ハロウィンはその前夜祭として故人をしのぶ行事として広まっていきました。


「ハロウィン」という名前の由来

万聖節である11月1日は英語で「All Saints” Day」または「All Hallows」と表記されます。そのため前夜祭である10月31日は「Hallows eve」となります。この「Hallows eve」が訛って「Halloween」と呼ばれるようになったと言われています。




アメリカに渡って現在の形に

ハロウィンが子どもも楽しめるイベントに



その後、ハロウィンは多くの国に伝わり、それぞれの国の文化と融合し独自の発展を遂げました。現在もっとも一般的となっているハロウィンの様式は、アメリカで確立されたと言われています。キリスト教の文化を受け継いだアイルランドやスコットランドの人々がアメリカに移り住み、ハロウィンを独自の文化として広めたのです。


時代と共にキリスト教的な意味も薄れ、宗教行事から大人も子どもも楽しめるイベントへと変化していきました。子どもたちが仮装をしてお菓子をもらったり、家族でホームパーティーやホラー映画を楽しんだりします。現在のキリスト教各派では、起源がキリスト教では無いことから、ハロウィンは宗教上関係の無い俗世のイベントと位置づけています。


ハロウィンではどうして仮装をする?

ハロウィンの仮装



古代ケルトではハロウィンの時期は先祖の霊と一緒に悪霊たちもこの世にやってくると信じられていました。


作物に悪さをしたり、子どもたちをさらったり、人間に悪運をもたらす悪霊から身を守るために始まったのが「仮装」。魔女やドラキュラ、ゾンビなど、恐ろしい怪物やお化けに仮装することで、悪霊と同化して災いを避けたり、逆に怖がらせて追い払う「魔除け」の意味があるのです。


近年では、魔女やモンスターなどの定番キャラクターの他、人気アニメやゲームの登場人物のコスチュームを身につけたり、有名な芸能人に仮装したりと、仮装のバリエーションも様々に。仮装パレードや仮装コンテストが行われ、たくさんの人が個性豊かな仮装を楽しんでいます。




2.かぼちゃのランタンとジャック

ハロウィンのシンボルとしてよく目にするのが、目と口と鼻をくり抜いて中にキャンドルを灯したかぼちゃのランタン。「Jack-O”-Lantern(ジャック・オー・ランタン)」という名前で呼ばれますが、これも仮装と同様、悪霊から実を守るための「魔除け」として飾られます。また、亡くなった家族など大切な人たちの魂が迷わないようにするための「道しるべ」の役割もあったようです。


では、なぜジャックという名前がついたのか。それにはこんな話があります。


「Jack-O”-Lantern(ジャック・オー・ランタン)」の怖い物語

ジャック・オー・ランタン



その昔、ケチで乱暴者で人をだましてばかりいたジャックという男がいました。ジャックはあるハロウィンの夜、魂を取りに来た悪魔に遭遇します。しかしずる賢いジャックは、悪魔を騙して魂を取らないことを約束させます。


その後、寿命で死んだジャックですが、生前に悪いことばかりしていたせいで天国に行くことができず、地獄の門へと向かいます。しかし、門に立っていたのはハロウィンの夜に遭遇した悪魔。悪魔はジャックの魂を取らないと約束してしまったため、ジャックは天国にも地獄にも行けなくなってしまいました。


元の場所に戻るように言われたジャックは仕方なく来た道を引き返すも、道は真っ暗で風もひどく吹いていました。そこで悪魔に明かりが欲しいと頼み、情けで地獄の火をひとつもらいます。しかしランタンを持っていなかったジャックは、転がっていたカブをくりぬいてランタンの代わりにしました。そしてジャックはそのランタンを手に、永遠にこの世とあの世を彷徨い続けることになりました。


この話は、アイルランドの昔話が元になっていると言われています。ジャックの持つランタンは死者の魂のシンボルとなり、「Jack-O”-Lantern(ジャック・オー・ランタン)」と呼ばれようように。そして魔除けの道具として戸口に飾られるようになったのです。




最初はかぼちゃではなくカブだった

アメリカでカブからかぼちゃのランタンへ


ジャックの物語でお気付きの方もいると思いますが、かぼちゃのランタンは、はじめはカブで作られていました。


ハロウィンの文化がアメリカに渡ると、豊富に採れて加工もしやすかったかぼちゃが使われるようになり、現在ではかぼちゃのランタンが一般的になりました。


ちなみに、ハロウィン発祥の地であるアイルランドやスコットランドでは、いまだにカブを使う地域もあるそうです。


3.「Trick or Treat(トリック・オア・トリート)」に込められた意味

ハロウィンの合言葉として定番なのが「Trick or Treat(トリック・オア・トリート)」。日本語では「お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうぞ!」と訳されます。子どもたちは、この言葉を使って大人からお菓子をもらいますが、この行為にも起源があります。また「Trick or Treat」への〝定番の返事〟もあるんですよ。


起源はヨーロッパの風習


お菓子をもらいに走る子どもたち


「お菓子をくれないといたずらをする」このユニークなやりとりは、「souling(ソウリング)」というヨーロッパの風習が影響していると言われています。西暦1000年頃、カトリック教会は11月2日を死者の日、または万霊節(All Soul’s Day)として救われない死者の霊を鎮める儀式を行っていました。


この日は、仮面を被り仮装をした子どもたちが、さまよう霊魂たちのために、歌いながら「ソウルケーキ(レーズン入りの四角いパン)」を乞い家々をたずね歩きます。このとき何も差し出されないと、霊たちがいたずらをすると信じられています。つまり、子どもたちが集めるお菓子は、霊魂のためのものだった、ということになります。


その後、1952年のディズニーアニメで「Trick or Treat」というセリフが登場したことから、これが全世界で認知され、ハロウィンの決まり文句として定着したのです。


「Trick or Treat」と言われたら何と返す?


トリック・オア・トリート


「Trick or Treat」の返事としてアメリカをはじめ一般的なのは、「Happy Haloween!(ハッピーハロウィン!)」または「Treat!(トリート!)」。断ると子どもたちにいたずらをされてしまうので、キャンディやチョコレートをたくさん用意して歓迎してあげましょう。


日本ではこの習慣(子どもたちが家々を訪ねお菓子をもらう習慣)はあまり定着していませんが、地域の子どもたちとの交流の機会として注目を集めています。




4.海外のハロウィン事情

ここまでハロウィンの起源やジャックオーランタンの物語、「トリックオアトリート」の意味を紹介してきました。最後は、世界の国々と日本のハロウィン事情を紹介していきます。


アイルランド-学校は1週間休み!


アイルランドのフルーツケーキ


ハロウィン発祥の地といわれるアイルランドでは、10月の最終月曜日から一週間学校などはお休みになります。秋の収穫を祝い、悪霊を払う伝統行事として、今でも受けつがれています。


街全体はハロウィンのお祭りムードでいっぱいになります。水にりんごを浮かべて口を使って取る「アップルボビング」というゲームや仮装を楽しんだり、「バームブラック」というドライフルーツのケーキを食べたりと、家族の時間を楽しみます。バームブラックの中には指輪や硬貨、ボタン、布切れが仕込まれており、それによって運勢を占うんだとか。


アメリカ-大人の仮装通勤


ハロウィンパーティー


ハロウィン文化を世界中に広めたアメリカは、やはり気合の入れ方が桁違い。1ヶ月も前からハロウィンの準備が始まります。家をホラー風に装飾したり、衣装やたくさんの子どもに配るお菓子を準備したりと大忙し。幼稚園や小学校では仮装パーティーが行われ、子どもたちは「トリック・オア・トリート」の合言葉とともにお菓子をもらって回ります。


さらに中高生はもちろん、大人たちまで仮装をして学校や職場に行くことも普通なんだとか。友達や家族と集まってハロウィンパーティーで大騒ぎしたり、ホラー映画を楽しんだりと大盛り上がりの1日です。


メキシコ-日本の盆に似ている


死者の日にちなんだメキシコのお土産


メキシコのハロウィンは、ラテンアメリカの祝日の1つ。毎年10月31日〜11月2日の3日間を「死者の日」として祝います。メキシコの伝統行事として、2003年にユネスコ無形文化遺産にも登録もされました。


この時期は、亡くなった人の霊が家族や友人の元に戻ってくると信じられ、故人の好きだった食べ物や、生前の写真などを飾って霊を出迎えます。


日本のお盆と似ていますが、陽気で賑やかにお祝いするのがメキシコ流。街はカラフルな旗、陽気なガイコツ人形、オレンジのマリーゴールドの花で装飾され、大規模なパレードが行われます。人々はガイコツのようなメイクをして、死者がこの世に戻ってくることをお祝いします。


ルーマニア-ドラキュラの故郷

ルーマニアのブラン城


ルーマニアには元々ハロウィンの習慣はなかったようですが、有名な「ドラキュラ伯爵」の誕生の地であることから、ドラキュラとハロウィンにちなんだイベントが開催されるようになりました。


「ドラキュラが生まれた城」として有名なブラン城は、ハロウィンになると世界中からたくさんの観光客が訪れ、城の中ではハロウィンパーティーが行われます。


日本-コスプレ文化と融合

日本でここ数年盛り上がりを見せているハロウィンの楽しみ方といえば仮装。コロナ禍以前はハロウィンのたび渋谷のスクランブル交差点や六本木がニュースで取り上げられていたことは記憶に新しいのではないでしょうか。


それまではマイナーなイベントだったハロウィンが、日本独自の仮装パーティー文化となっていった背景を考えてみます。


日本のハロウィンイベントはいつ始まった?

(企業レベルで)日本で最初にハロウィンをイベント化し、ハロウィン文化を広めようと活動したのは、子ども向け玩具を製造・販売していたキデイランドです。


1970年代にキデイランド原宿店がハロウィン関連の商品の販売を始め、これらの販売促進のため、1983年に原宿表参道で、日本初のハロウィンパレードを行いました。約100人の参加者が仮装をしてパレードをしましたが、その多くは外国人で、まだまだハロウィンの認知度は低かったことが分かります。しかし、徐々に参加者は増え、今でもこのイベントは続いています。(2022年も原宿表参道ハローハロウィーンパンプキンパレードを開催)



ハロウィンイベントは地域でも行われるように


その後、ハロウィンの知名度を全国的に広げたのが、1997年に東京ディズニーランドで行われたハロウィンイベント。最初はパレードもなくシンプルだったものが、規模を拡大してゲストの仮装を認めることにより、特別なイベントとして知られるようになりました。


2002年にはユニバーサルスタジオジャパンでもハロウィンイベントが開催され、その後秋のイベントとして定着しました。また、2015年には、きゃりーぱみゅぱみゅさんがハロウィンをモチーフにした楽曲『Crazy Party Night ~ぱんぷきんの逆襲』をリリースし、ハロウィン文化はより日本に浸透しました。


コスプレ文化と結びついた日本のハロウィン

コスプレは日本の文化


コスプレはもはや日本の一大カルチャー


現在では渋谷や六本木などの繁華街だけでなく、町おこしの一環として地方都市でも開催されるハロウィンイベント。日本では仮装(コスプレ)のイメージが強いですが、ハロウィンがこのような形で定着したのには、日本人の性格や文化が影響していると言われます。


アニメなどのサブカルチャーが人気の日本には、もともとキャラクターを模したコスプレの文化がありました。コスプレは以前なら限られた一部の人々の趣味、というイメージを持たれていました。しかし海外での人気もあり、2010年代頃から徐々に様々な人が楽しむカルチャーと認識されるようになっていきます。


そんな時流のときハロウィンの仮装文化と、日本のコスプレ文化がマッチ。仮装(コスプレ)の完成度や意外性を競いたいというマインドや、お祭り騒ぎをしたいというマインドなどが入り混じって、日本のハロウィンが盛り上がりを加速させていきました。


日本人の「集団の心理に従いやすい」という特徴も、ハロウィンと結びつきました。大勢で行動することに安心感を感じるので、一人では恥ずかしいという人も、「みんなでなら仮装してもいいか……」という心理になります。こうして仮装をして同じ時に一つの場所に集まるという独特なハロウィン文化が作られていったと考えられます。


今回は、ハロウィンの歴史や世界のハロウィン事情を紹介しました。アイルランド、スコットランドで宗教行事として生まれたハロウィンは、アメリカに伝わり大人も子どもも楽しめるイベントに生まれ変わりました。そして現在では世界中に広まり、各国の文化と結びついて、独自のイベントとして人々に楽しまれています。








ハロウィン2022・日本各地の様子



東京

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札幌

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仙台

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大阪

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名古屋

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広島

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岡山

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福岡

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熊本

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宮崎

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秋の風物詩ハロウィンのカボチャ


【知ってる?】ハロウィンの起源と本当の意味、ランタンとジャックの物語


1.ハロウィンの起源って?-もともとは古代ケルトの儀式

ケルト文化とキリスト文化の融合

アメリカに渡って現在の形に

ハロウィンではどうして仮装をする?

2.かぼちゃのランタンとジャック

「Jack-O"-Lantern(ジャック・オー・ランタン)」の怖い物語

最初はかぼちゃではなくカブだった

3.「Trick or Treat(トリック・オア・トリート)」に込められた意味

4.海外と日本のハロウィン事情

アイルランド-学校は1週間休み

アメリカ-大人の仮装通勤

メキシコ-日本の盆に似ている

ルーマニア-ドラキュラの故郷

日本-コスプレ文化と融合

まとめ

近頃すっかり秋の風物詩となったハロウィン。日本では仮装を楽しむのが定番ですよね。ハロウィンはアメリカ由来、というイメージのある方も大勢いると思いますが、起源は古代ケルトです。


この記事では、ハロウィンの起源をご紹介。また、人に話したくなるジャックオーランタンの物語や、アイルランド・北米南米のハロウィン事情もお届けします。




1.ハロウィンの起源って?-もともとは古代ケルトの儀式

ハロウィンのかぼちゃ



ケルト文化とキリスト文化の融合

ハロウィンの起源は2,000年以上前、現在のイギリスやアイルランドにあたる場所に暮らしていた古代ケルト民族の宗教儀式のひとつ、「サフィン祭」であると言われています。 サフィン祭は、古代ケルト民族の一年の終わりである10月31日に秋の収穫を祝い、作物を神様に捧げるもの。


この時期には、日本で言うお盆のように、死者の霊が家族に会いに来ると信じられていました。しかし、同時に霊界から「悪魔」「悪い妖精」もこの世にやってくるため、悪い霊を追い払うためのお祭りでもあったのです。これが現在のハロウィンの原型となったと考えられます。


やがて歴史の中で古代ケルトの文化はキリスト教文化に吸収され、サフィン祭も変化してハロウィンが誕生しました。ハロウィンは11月1日のキリスト教の祝日「万聖節(ばんせいせつ)」の前夜祭として行われました。


万聖節は「諸聖人の祝日」とも言われ、キリスト教すべての聖人を崇めて敬う日となっており、ハロウィンはその前夜祭として故人をしのぶ行事として広まっていきました。


「ハロウィン」という名前の由来

万聖節である11月1日は英語で「All Saints" Day」または「All Hallows」と表記されます。そのため前夜祭である10月31日は「Hallows eve」となります。この「Hallows eve」が訛って「Halloween」と呼ばれるようになったと言われています。




アメリカに渡って現在の形に

ハロウィンが子どもも楽しめるイベントに



その後、ハロウィンは多くの国に伝わり、それぞれの国の文化と融合し独自の発展を遂げました。現在もっとも一般的となっているハロウィンの様式は、アメリカで確立されたと言われています。キリスト教の文化を受け継いだアイルランドやスコットランドの人々がアメリカに移り住み、ハロウィンを独自の文化として広めたのです。


時代と共にキリスト教的な意味も薄れ、宗教行事から大人も子どもも楽しめるイベントへと変化していきました。子どもたちが仮装をしてお菓子をもらったり、家族でホームパーティーやホラー映画を楽しんだりします。現在のキリスト教各派では、起源がキリスト教では無いことから、ハロウィンは宗教上関係の無い俗世のイベントと位置づけています。


ハロウィンではどうして仮装をする?

ハロウィンの仮装



古代ケルトではハロウィンの時期は先祖の霊と一緒に悪霊たちもこの世にやってくると信じられていました。


作物に悪さをしたり、子どもたちをさらったり、人間に悪運をもたらす悪霊から身を守るために始まったのが「仮装」。魔女やドラキュラ、ゾンビなど、恐ろしい怪物やお化けに仮装することで、悪霊と同化して災いを避けたり、逆に怖がらせて追い払う「魔除け」の意味があるのです。


近年では、魔女やモンスターなどの定番キャラクターの他、人気アニメやゲームの登場人物のコスチュームを身につけたり、有名な芸能人に仮装したりと、仮装のバリエーションも様々に。仮装パレードや仮装コンテストが行われ、たくさんの人が個性豊かな仮装を楽しんでいます。




2.かぼちゃのランタンとジャック

ハロウィンのシンボルとしてよく目にするのが、目と口と鼻をくり抜いて中にキャンドルを灯したかぼちゃのランタン。「Jack-O"-Lantern(ジャック・オー・ランタン)」という名前で呼ばれますが、これも仮装と同様、悪霊から実を守るための「魔除け」として飾られます。また、亡くなった家族など大切な人たちの魂が迷わないようにするための「道しるべ」の役割もあったようです。


では、なぜジャックという名前がついたのか。それにはこんな話があります。


「Jack-O"-Lantern(ジャック・オー・ランタン)」の怖い物語

ジャック・オー・ランタン



その昔、ケチで乱暴者で人をだましてばかりいたジャックという男がいました。ジャックはあるハロウィンの夜、魂を取りに来た悪魔に遭遇します。しかしずる賢いジャックは、悪魔を騙して魂を取らないことを約束させます。


その後、寿命で死んだジャックですが、生前に悪いことばかりしていたせいで天国に行くことができず、地獄の門へと向かいます。しかし、門に立っていたのはハロウィンの夜に遭遇した悪魔。悪魔はジャックの魂を取らないと約束してしまったため、ジャックは天国にも地獄にも行けなくなってしまいました。


元の場所に戻るように言われたジャックは仕方なく来た道を引き返すも、道は真っ暗で風もひどく吹いていました。そこで悪魔に明かりが欲しいと頼み、情けで地獄の火をひとつもらいます。しかしランタンを持っていなかったジャックは、転がっていたカブをくりぬいてランタンの代わりにしました。そしてジャックはそのランタンを手に、永遠にこの世とあの世を彷徨い続けることになりました。


この話は、アイルランドの昔話が元になっていると言われています。ジャックの持つランタンは死者の魂のシンボルとなり、「Jack-O"-Lantern(ジャック・オー・ランタン)」と呼ばれようように。そして魔除けの道具として戸口に飾られるようになったのです。




最初はかぼちゃではなくカブだった

アメリカでカブからかぼちゃのランタンへ


ジャックの物語でお気付きの方もいると思いますが、かぼちゃのランタンは、はじめはカブで作られていました。


ハロウィンの文化がアメリカに渡ると、豊富に採れて加工もしやすかったかぼちゃが使われるようになり、現在ではかぼちゃのランタンが一般的になりました。


ちなみに、ハロウィン発祥の地であるアイルランドやスコットランドでは、いまだにカブを使う地域もあるそうです。


3.「Trick or Treat(トリック・オア・トリート)」に込められた意味

ハロウィンの合言葉として定番なのが「Trick or Treat(トリック・オア・トリート)」。日本語では「お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうぞ!」と訳されます。子どもたちは、この言葉を使って大人からお菓子をもらいますが、この行為にも起源があります。また「Trick or Treat」への〝定番の返事〟もあるんですよ。


起源はヨーロッパの風習


お菓子をもらいに走る子どもたち


「お菓子をくれないといたずらをする」このユニークなやりとりは、「souling(ソウリング)」というヨーロッパの風習が影響していると言われています。西暦1000年頃、カトリック教会は11月2日を死者の日、または万霊節(All Soul’s Day)として救われない死者の霊を鎮める儀式を行っていました。


この日は、仮面を被り仮装をした子どもたちが、さまよう霊魂たちのために、歌いながら「ソウルケーキ(レーズン入りの四角いパン)」を乞い家々をたずね歩きます。このとき何も差し出されないと、霊たちがいたずらをすると信じられています。つまり、子どもたちが集めるお菓子は、霊魂のためのものだった、ということになります。


その後、1952年のディズニーアニメで「Trick or Treat」というセリフが登場したことから、これが全世界で認知され、ハロウィンの決まり文句として定着したのです。


「Trick or Treat」と言われたら何と返す?


トリック・オア・トリート


「Trick or Treat」の返事としてアメリカをはじめ一般的なのは、「Happy Haloween!(ハッピーハロウィン!)」または「Treat!(トリート!)」。断ると子どもたちにいたずらをされてしまうので、キャンディやチョコレートをたくさん用意して歓迎してあげましょう。


日本ではこの習慣(子どもたちが家々を訪ねお菓子をもらう習慣)はあまり定着していませんが、地域の子どもたちとの交流の機会として注目を集めています。




4.海外のハロウィン事情

ここまでハロウィンの起源やジャックオーランタンの物語、「トリックオアトリート」の意味を紹介してきました。最後は、世界の国々と日本のハロウィン事情を紹介していきます。


アイルランド-学校は1週間休み!


アイルランドのフルーツケーキ


ハロウィン発祥の地といわれるアイルランドでは、10月の最終月曜日から一週間学校などはお休みになります。秋の収穫を祝い、悪霊を払う伝統行事として、今でも受けつがれています。


街全体はハロウィンのお祭りムードでいっぱいになります。水にりんごを浮かべて口を使って取る「アップルボビング」というゲームや仮装を楽しんだり、「バームブラック」というドライフルーツのケーキを食べたりと、家族の時間を楽しみます。バームブラックの中には指輪や硬貨、ボタン、布切れが仕込まれており、それによって運勢を占うんだとか。


アメリカ-大人の仮装通勤


ハロウィンパーティー


ハロウィン文化を世界中に広めたアメリカは、やはり気合の入れ方が桁違い。1ヶ月も前からハロウィンの準備が始まります。家をホラー風に装飾したり、衣装やたくさんの子どもに配るお菓子を準備したりと大忙し。幼稚園や小学校では仮装パーティーが行われ、子どもたちは「トリック・オア・トリート」の合言葉とともにお菓子をもらって回ります。


さらに中高生はもちろん、大人たちまで仮装をして学校や職場に行くことも普通なんだとか。友達や家族と集まってハロウィンパーティーで大騒ぎしたり、ホラー映画を楽しんだりと大盛り上がりの1日です。


メキシコ-日本の盆に似ている


死者の日にちなんだメキシコのお土産


メキシコのハロウィンは、ラテンアメリカの祝日の1つ。毎年10月31日〜11月2日の3日間を「死者の日」として祝います。メキシコの伝統行事として、2003年にユネスコ無形文化遺産にも登録もされました。


この時期は、亡くなった人の霊が家族や友人の元に戻ってくると信じられ、故人の好きだった食べ物や、生前の写真などを飾って霊を出迎えます。


日本のお盆と似ていますが、陽気で賑やかにお祝いするのがメキシコ流。街はカラフルな旗、陽気なガイコツ人形、オレンジのマリーゴールドの花で装飾され、大規模なパレードが行われます。人々はガイコツのようなメイクをして、死者がこの世に戻ってくることをお祝いします。


ルーマニア-ドラキュラの故郷

ルーマニアのブラン城


ルーマニアには元々ハロウィンの習慣はなかったようですが、有名な「ドラキュラ伯爵」の誕生の地であることから、ドラキュラとハロウィンにちなんだイベントが開催されるようになりました。


「ドラキュラが生まれた城」として有名なブラン城は、ハロウィンになると世界中からたくさんの観光客が訪れ、城の中ではハロウィンパーティーが行われます。


日本-コスプレ文化と融合

日本でここ数年盛り上がりを見せているハロウィンの楽しみ方といえば仮装。コロナ禍以前はハロウィンのたび渋谷のスクランブル交差点や六本木がニュースで取り上げられていたことは記憶に新しいのではないでしょうか。


それまではマイナーなイベントだったハロウィンが、日本独自の仮装パーティー文化となっていった背景を考えてみます。


日本のハロウィンイベントはいつ始まった?

(企業レベルで)日本で最初にハロウィンをイベント化し、ハロウィン文化を広めようと活動したのは、子ども向け玩具を製造・販売していたキデイランドです。


1970年代にキデイランド原宿店がハロウィン関連の商品の販売を始め、これらの販売促進のため、1983年に原宿表参道で、日本初のハロウィンパレードを行いました。約100人の参加者が仮装をしてパレードをしましたが、その多くは外国人で、まだまだハロウィンの認知度は低かったことが分かります。しかし、徐々に参加者は増え、今でもこのイベントは続いています。(2022年も原宿表参道ハローハロウィーンパンプキンパレードを開催)



ハロウィンイベントは地域でも行われるように


その後、ハロウィンの知名度を全国的に広げたのが、1997年に東京ディズニーランドで行われたハロウィンイベント。最初はパレードもなくシンプルだったものが、規模を拡大してゲストの仮装を認めることにより、特別なイベントとして知られるようになりました。


2002年にはユニバーサルスタジオジャパンでもハロウィンイベントが開催され、その後秋のイベントとして定着しました。また、2015年には、きゃりーぱみゅぱみゅさんがハロウィンをモチーフにした楽曲『Crazy Party Night ~ぱんぷきんの逆襲』をリリースし、ハロウィン文化はより日本に浸透しました。


コスプレ文化と結びついた日本のハロウィン

コスプレは日本の文化


コスプレはもはや日本の一大カルチャー


現在では渋谷や六本木などの繁華街だけでなく、町おこしの一環として地方都市でも開催されるハロウィンイベント。日本では仮装(コスプレ)のイメージが強いですが、ハロウィンがこのような形で定着したのには、日本人の性格や文化が影響していると言われます。


アニメなどのサブカルチャーが人気の日本には、もともとキャラクターを模したコスプレの文化がありました。コスプレは以前なら限られた一部の人々の趣味、というイメージを持たれていました。しかし海外での人気もあり、2010年代頃から徐々に様々な人が楽しむカルチャーと認識されるようになっていきます。


そんな時流のときハロウィンの仮装文化と、日本のコスプレ文化がマッチ。仮装(コスプレ)の完成度や意外性を競いたいというマインドや、お祭り騒ぎをしたいというマインドなどが入り混じって、日本のハロウィンが盛り上がりを加速させていきました。


日本人の「集団の心理に従いやすい」という特徴も、ハロウィンと結びつきました。大勢で行動することに安心感を感じるので、一人では恥ずかしいという人も、「みんなでなら仮装してもいいか……」という心理になります。こうして仮装をして同じ時に一つの場所に集まるという独特なハロウィン文化が作られていったと考えられます。


今回は、ハロウィンの歴史や世界のハロウィン事情を紹介しました。アイルランド、スコットランドで宗教行事として生まれたハロウィンは、アメリカに伝わり大人も子どもも楽しめるイベントに生まれ変わりました。そして現在では世界中に広まり、各国の文化と結びついて、独自のイベントとして人々に楽しまれています。









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