内閣支持率の急落に自民党派閥のパーティー券問題も追い打ちをかけ、土俵際まで追い込まれた岸田文雄政権。野党第一党の立憲民主党はさぞ喜んでいるかと思いきや、枝野幸男前代表は「もう自民党は岸田首相をトップに総選挙をしてくれないだろう」と危機感を募らせている。安倍晋三元首相の死去で「パンドラの箱が開いた」と感じる枝野さんは、次の選挙では物議をかもしてきた野党連携も「古い話になった」と説く。一体、何が起きているのか。これは一杯やりながら聞くしかない。

９月終わりに空気一変

（中略）

矢継ぎ早に注文した枝野さんが、一呼吸置いた後に語りだした。

「９月の終わりくらいかな。明らかに空気が変わった。岸田さん、ここまで一気に（支持率下落が）来ちゃうとはねえ。岸田さんを相手に総選挙をやるという設定はもうないよね。うちの党で『これなら選挙勝てそうだ』と浮かれている奴は間違っているよ」

お酒を飲む前から、深刻そうな表情をみせる。

「首相に解散権があるって噓だからね。勝手にやろうとしたら、解散に反対する閣僚を罷免しなければならなくなる。今は自民の各派が解散させないでしょ。かといって傷をかかえる派閥は『岸田降ろし』なんてできないだろうし。当面、来年９月の自民総裁選までズルズルいくんだろうね」

ここでキンキンに冷えたビールが届いた。まずは乾杯！　しかし、いきなりこんなシビアな話になり‥

「シビアな話でもないでしょう。もう一定の結論が出ているような感覚も持つよ」

報道各社の１１月の世論調査では、岸田内閣の支持率が２割台に落ち込んだ。

「今日の衆院本会議みた？　うちの議員が壇上で質問しているのを、岸田さんは斜めの姿勢でニタニタ笑いながら聞いていたんだよ。この局面であれじゃ支持率が下がる。余裕がないのを隠したいのかもしれないが、今は神妙ぐらいな姿勢でないと。おそらく嫌われているのは政策じゃない。上からニタニタ笑うような、こんな上から目線でしょう」

早速、卓上にはキムチがやってきた。甘みのある韓国産唐辛子を使った完全自家製といい、リンゴやモモ缶、イカの塩辛やイワシエキスなどが独特のコクを醸し出す。いい調子でビールが進む。

（以下略）

https://www.sankei.com/article/20231209-AGOEZULVLNFHTD7DNVKURXZ6XE/