밀리터리

朴大統領のアポロ計画


「2020年、月に太極旗をはためかせる」——。


韓国の朴槿恵大統領は2012年12月、選挙戦の中でこうした公約を掲げた。この公約は朴大統領の当選後から現在まで継続され、月を探査する無人探査機と、それを打ち上げるためのロケットの開発が進んでいる。


 今年5月3日には、そのロケットの根幹をなす大型ロケット・エンジンの燃焼試験も始まり、現在まで順調に回を重ねている。


「朴大統領のアポロ計画」ともいうべきこの計画は、果たして実現するのだろうか。計画の概要と問題点について、前後編の2回に分けて見ていきたい。


◆「2020年、月に太極旗をはためかせる」

 2012年12月。次期大統領を狙う朴槿恵候補(当時)は、テレビ討論の中で「2025年までに月着陸船を送るという計画があるがこれを操り上げたい。


2020年に月に太極旗がはためくだろう」という公約を掲げた。


 この公約の背景には、韓国航空宇宙研究院(KARI)が進めていた月探査計画がある。KARIは韓国の航空・宇宙研究機関で、米国でいうNASA、あるいは日本でいうJAXAに相当する。


もっとも、朴大統領自身が触れているように、KARIは2020年代中期の実現を目指した長期的な計画を考えていた。


朴大統領はこれを前倒しし、2010年代後半から2020年までに実施するとしたのである。


ハーバービジネスオンライン: 朴大統領のアポロ計画を実現させるために開発中の新型ロケット「KSLV-II」 Photo by KARI© HARBOR BUSINESS Online 提供 朴大統領のアポロ計画を実現させるために開発中の新型ロケット「KSLV-II」 Photo by…


 この公約によって改定された現在の計画では、2020年までに2機の月探査機を打ち上げることになっている。まず2018年に月の周囲をまわる探査機が打ち上げられ、月の表面を探査する。


その1~2年後に月に着陸する着陸機を打ち上げ、探査車(ローヴァー)を走らせて探査を行う。どちらかというと後者のほうが本番で、月面に韓国製の探査車が降り立つことをもって、「月に太極旗を立てる」ことになる。


また2018年に打ち上げる探査機は、この2020年に打ち上げるローヴァーの着陸地点の選定に必要な、月の地表のデータなどを得ることを目指している。


 しかし、韓国はこれまでに月に探査機を飛ばした経験はなく、そもそもロケットももっていない。つまり2020年までに、この2つを同時に開発し、完成させなければならない。



◆迷走した韓国のロケット開発


 これまでの韓国のロケット開発は、やや破綻した、迷走した歩みを続けていた。


 韓国は1985年に、「宇宙開発計画10か年計画」を策定し、国産ロケットによる国産衛星の打ち上げを目指すことになった。


1990年代には小型のロケットを開発し、それを発展させることで、いずれ大型の、人工衛星を打ち上げられるほどの性能をもったロケットを開発するという手はずだった。


 当初、この計画はきわめてのんびりとしたものだったが、1998年に北朝鮮が中距離弾道ミサイル「テポドン1号」の発射を行い、その技術を世界に示したことに触発され、2000年になってようやく、韓国の衛星打ち上げ用ロケットの開発も本格的に動き出すことになった。


 しかし、当時韓国が開発していたロケットは性能が低く、どうやっても人工衛星を打ち上げられるだけの性能には届かなかった。そこで独自開発を半ば諦め、他国から技術を導入することを決定。


いくつかの国と接触し、ロシアがそれに手を貸すことになった。そして2004年からロシアと韓国の共同開発により、「KSLV-I」ロケット(愛称「羅老号」)が開発され、2013年に人工衛星の打ち上げに成功した。


 韓国はこの羅老号の開発を通じて、ロシアからロケット全体、とくに難しいロケット・エンジンの技術を学ぶことを考えていたようだが、ロシア側にそのつもりはなく、技術移転はほとんど行われなかった。


羅老号に使われた技術はロシアにとっても最新鋭のもので、技術移転が行われなかったのも当然であった。


結局、羅老号はたった3機の打ち上げ(そのうち成功は2013年の1機のみ)で運用終了となってしまった。



◆心機一転、着実な歩みをはじめた韓国のロケット


 一方、2006年ごろからは、羅老号の次の世代のロケットを開発する計画もはじまっていた。


当初はロシアの技術を活用した、羅老号の改良型のようなロケットを開発する計画だったが、前述のようにロシアから期待していた技術移転が得られないことがわかると、独自開発の道に舵を切ることとなった。


 実は韓国では、羅老号の改良型ロケット向けのエンジンとして、また同時にロシアとの共同開発の保険として、ロケット・エンジンの独自開発を続け、それなりの成果が出ていた。


このエンジンを発展させることで、中型ロケットを独自に開発できると考えられたのである。


それが現在開発が進む、朴大統領のアポロ計画を実現させることになる「KSLV-II」ロケットである。


 KSLV-IIの性能は、小型・中型の衛星を打ち上げるのに十分というもので、たとえば通信衛星や気象衛星など、大型で遠くの静止軌道まで飛ばす必要がある衛星は、韓国にそれを開発するだけが技術はまだないことから、KSLV-IIによる打ち上げはそもそも考えられていない。


つまりKSLV-IIは、韓国の宇宙開発の現状に適した性能になっている。


 また、ロケット・エンジンの性能はとりたてて高性能というわけではなく、使っている技術も古くからある手堅いものである。


 これらの事実は、ロシアから高度な最新鋭エンジンの技術を手に入れるという向こう見ずな方針から一転、韓国が自力で人工衛星を打ち上げられるロケットを造るためには何が必要かを十分に理解し、実行に移しつつあるということを示している。


 KSLV-IIに搭載されるエンジンのうち、推力7トン級の小型エンジンについてはすでにほぼ完成しており、また根幹をなす、推力75トン級の大型エンジンも、5月3日から燃焼試験が始まり、現在まで順調に回を重ね、5月末には30秒間の燃焼にも成功している。


今後も開発が順調に進めば、2017年12月にロケットの一部分だけを打ち上げる試験を行い、そして2019年と2020年に、完成形のロケットの試験打ち上げを行う予定となっている。



◆さまざまな可能性を秘めたKSLV-II


 KSLV-IIが完成すれば、韓国にとっては月探査が実行できるだけでなく、自力で人工衛星を打ち上げられる手段を確保するという、悲願の達成にもなる。


韓国は衛星の開発能力はあるものの、羅老号以降、韓国は自力で衛星を打ち上げる手段をもっていないため、他国による打ち上げに頼っている。


しかし自力で打ち上げられるようになれば、韓国の宇宙開発は初めて自立に向けて足を踏み出すことができる。


 また、近年は電子機器の小型化、高性能化などのおかげで、小さな衛星でも十分な能力をもたせることができるようになったことから、小型の人工衛星が流行しはじめており、世界各地、たとえば発展途上国や一民間企業などの、これまで衛星と縁もゆかりもなかった層にまで、衛星利用の機運が高まっている。


 さらに、KSLV-IIの技術は、より大型のロケットに発展できる余地もあり、小型衛星から大型衛星まであらゆる衛星を打ち上げられるようになる可能性もある。


韓国は立地的に南方向以外への打ち上げができないため、あらゆる軌道に向けて打ち上げるためには、他国や洋上に新たに発射場を確保する必要はあるものの、そこさえクリアすれば、韓国は宇宙開発で完全に自立することもできよう。


 次回はこのロケットに搭載される予定の月探査機と、そしてロケットと月探査機をとりまく問題について取り上げたい。



朴大統領のアポロ計画!2020年、月に太極旗

朴大統領のアポロ計画


「2020年、月に太極旗をはためかせる」——。


韓国の朴槿恵大統領は2012年12月、選挙戦の中でこうした公約を掲げた。この公約は朴大統領の当選後から現在まで継続され、月を探査する無人探査機と、それを打ち上げるためのロケットの開発が進んでいる。


 今年5月3日には、そのロケットの根幹をなす大型ロケット・エンジンの燃焼試験も始まり、現在まで順調に回を重ねている。


「朴大統領のアポロ計画」ともいうべきこの計画は、果たして実現するのだろうか。計画の概要と問題点について、前後編の2回に分けて見ていきたい。


◆「2020年、月に太極旗をはためかせる」

 2012年12月。次期大統領を狙う朴槿恵候補(当時)は、テレビ討論の中で「2025年までに月着陸船を送るという計画があるがこれを操り上げたい。


2020年に月に太極旗がはためくだろう」という公約を掲げた。


 この公約の背景には、韓国航空宇宙研究院(KARI)が進めていた月探査計画がある。KARIは韓国の航空・宇宙研究機関で、米国でいうNASA、あるいは日本でいうJAXAに相当する。


もっとも、朴大統領自身が触れているように、KARIは2020年代中期の実現を目指した長期的な計画を考えていた。


朴大統領はこれを前倒しし、2010年代後半から2020年までに実施するとしたのである。


ハーバービジネスオンライン: 朴大統領のアポロ計画を実現させるために開発中の新型ロケット「KSLV-II」 Photo by KARI© HARBOR BUSINESS Online 提供 朴大統領のアポロ計画を実現させるために開発中の新型ロケット「KSLV-II」 Photo by…


 この公約によって改定された現在の計画では、2020年までに2機の月探査機を打ち上げることになっている。まず2018年に月の周囲をまわる探査機が打ち上げられ、月の表面を探査する。


その1~2年後に月に着陸する着陸機を打ち上げ、探査車(ローヴァー)を走らせて探査を行う。どちらかというと後者のほうが本番で、月面に韓国製の探査車が降り立つことをもって、「月に太極旗を立てる」ことになる。


また2018年に打ち上げる探査機は、この2020年に打ち上げるローヴァーの着陸地点の選定に必要な、月の地表のデータなどを得ることを目指している。


 しかし、韓国はこれまでに月に探査機を飛ばした経験はなく、そもそもロケットももっていない。つまり2020年までに、この2つを同時に開発し、完成させなければならない。



◆迷走した韓国のロケット開発


 これまでの韓国のロケット開発は、やや破綻した、迷走した歩みを続けていた。


 韓国は1985年に、「宇宙開発計画10か年計画」を策定し、国産ロケットによる国産衛星の打ち上げを目指すことになった。


1990年代には小型のロケットを開発し、それを発展させることで、いずれ大型の、人工衛星を打ち上げられるほどの性能をもったロケットを開発するという手はずだった。


 当初、この計画はきわめてのんびりとしたものだったが、1998年に北朝鮮が中距離弾道ミサイル「テポドン1号」の発射を行い、その技術を世界に示したことに触発され、2000年になってようやく、韓国の衛星打ち上げ用ロケットの開発も本格的に動き出すことになった。


 しかし、当時韓国が開発していたロケットは性能が低く、どうやっても人工衛星を打ち上げられるだけの性能には届かなかった。そこで独自開発を半ば諦め、他国から技術を導入することを決定。


いくつかの国と接触し、ロシアがそれに手を貸すことになった。そして2004年からロシアと韓国の共同開発により、「KSLV-I」ロケット(愛称「羅老号」)が開発され、2013年に人工衛星の打ち上げに成功した。


 韓国はこの羅老号の開発を通じて、ロシアからロケット全体、とくに難しいロケット・エンジンの技術を学ぶことを考えていたようだが、ロシア側にそのつもりはなく、技術移転はほとんど行われなかった。


羅老号に使われた技術はロシアにとっても最新鋭のもので、技術移転が行われなかったのも当然であった。


結局、羅老号はたった3機の打ち上げ(そのうち成功は2013年の1機のみ)で運用終了となってしまった。



◆心機一転、着実な歩みをはじめた韓国のロケット


 一方、2006年ごろからは、羅老号の次の世代のロケットを開発する計画もはじまっていた。


当初はロシアの技術を活用した、羅老号の改良型のようなロケットを開発する計画だったが、前述のようにロシアから期待していた技術移転が得られないことがわかると、独自開発の道に舵を切ることとなった。


 実は韓国では、羅老号の改良型ロケット向けのエンジンとして、また同時にロシアとの共同開発の保険として、ロケット・エンジンの独自開発を続け、それなりの成果が出ていた。


このエンジンを発展させることで、中型ロケットを独自に開発できると考えられたのである。


それが現在開発が進む、朴大統領のアポロ計画を実現させることになる「KSLV-II」ロケットである。


 KSLV-IIの性能は、小型・中型の衛星を打ち上げるのに十分というもので、たとえば通信衛星や気象衛星など、大型で遠くの静止軌道まで飛ばす必要がある衛星は、韓国にそれを開発するだけが技術はまだないことから、KSLV-IIによる打ち上げはそもそも考えられていない。


つまりKSLV-IIは、韓国の宇宙開発の現状に適した性能になっている。


 また、ロケット・エンジンの性能はとりたてて高性能というわけではなく、使っている技術も古くからある手堅いものである。


 これらの事実は、ロシアから高度な最新鋭エンジンの技術を手に入れるという向こう見ずな方針から一転、韓国が自力で人工衛星を打ち上げられるロケットを造るためには何が必要かを十分に理解し、実行に移しつつあるということを示している。


 KSLV-IIに搭載されるエンジンのうち、推力7トン級の小型エンジンについてはすでにほぼ完成しており、また根幹をなす、推力75トン級の大型エンジンも、5月3日から燃焼試験が始まり、現在まで順調に回を重ね、5月末には30秒間の燃焼にも成功している。


今後も開発が順調に進めば、2017年12月にロケットの一部分だけを打ち上げる試験を行い、そして2019年と2020年に、完成形のロケットの試験打ち上げを行う予定となっている。



◆さまざまな可能性を秘めたKSLV-II


 KSLV-IIが完成すれば、韓国にとっては月探査が実行できるだけでなく、自力で人工衛星を打ち上げられる手段を確保するという、悲願の達成にもなる。


韓国は衛星の開発能力はあるものの、羅老号以降、韓国は自力で衛星を打ち上げる手段をもっていないため、他国による打ち上げに頼っている。


しかし自力で打ち上げられるようになれば、韓国の宇宙開発は初めて自立に向けて足を踏み出すことができる。


 また、近年は電子機器の小型化、高性能化などのおかげで、小さな衛星でも十分な能力をもたせることができるようになったことから、小型の人工衛星が流行しはじめており、世界各地、たとえば発展途上国や一民間企業などの、これまで衛星と縁もゆかりもなかった層にまで、衛星利用の機運が高まっている。


 さらに、KSLV-IIの技術は、より大型のロケットに発展できる余地もあり、小型衛星から大型衛星まであらゆる衛星を打ち上げられるようになる可能性もある。


韓国は立地的に南方向以外への打ち上げができないため、あらゆる軌道に向けて打ち上げるためには、他国や洋上に新たに発射場を確保する必要はあるものの、そこさえクリアすれば、韓国は宇宙開発で完全に自立することもできよう。


 次回はこのロケットに搭載される予定の月探査機と、そしてロケットと月探査機をとりまく問題について取り上げたい。




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