映画のような宇宙航海が実現化するかもしれない。”物理学的に絶対無理”とされていた宇宙船の推進システム「EM Drive(electromagnetic drive)」が新たに実証されたのだ。「EM Drive」が実現されればなんと月まで4時間、火星までは約70日で行くことができるようになるという。
しかし、この「EM Drive」。結果こそ実証されているが、仕組みについてはまだ誰も科学的に解明できていない謎の推進システムであり、頭のお硬い科学者たちの中にはいまだに「理論上ありえない」としてその結果を受け入れることができない人もいるほどなのだという。一体どんなものなのだろうか?
■太陽光エネルギーで半永久的に動作可能に
英「Daily Mail」紙や「Wired」などによると、7月27日に米フロリダ州オーランドで開催されたAIAA(米国航空宇宙工学連盟の推進エネルギーフォーラム)において、独・ドレスデン工科大学マーティン・タジマール教授が「EM Drive」という、宇宙船推進装置の動作実験の成功を発表したという。
「EM Drive」とは、2000年に英・航空宇宙エンジニアであるロジャー・ショーヤー氏が提唱した新たな宇宙船の推進システムだ。従来のロケットエンジンなどの推進方法とは異なり、文字通り「電磁駆動」に基づき、密閉された容器の中でマイクロ波を反射させることで、噴出剤なしで宇宙船に推力を発生させるというものだ。これが実現化すればわずか4時間で地球から月まで行くことができ、火星までは約70日、そして、これまでの技術では数千年かかるといわれていた太陽から4.2光年離れているアルファ・ケンタウリ(ケンタウルス座アルファ星)までもわずか100年で到着することができるという。
この「EM Drive」が注目を集めているのは、これだけではない。電磁駆動のための電力は太陽光発電を使用するため、故障や摩損がなければ、半永久的に加速し続けられる点にもあるのだ。
だが、この「EM Drive」システムの理論は明らかに「運動量保存の法則=ある系に外部からの力が加わらないかぎり、その系の運動量の総和は不変であるという物理法則」に反している。そのため理論上は”動作は不可能”だとして、2000年にショーヤー氏がこの理論を提唱した際は、中国の研究チーム位以外誰もこの理論を真剣に受け止めてこなかった。…
貼り付け元 <http://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201508_post_7048.html>
しかし、中国の実験が成功したことで、米国航空宇宙局(NASA)も実験に成功。そして、今回の実験に至ったのだ。
■物理学的法則にも矛盾。なぜ動作したのかはその原理は謎...
しかし、3例目の実験成功とあっても、「EM Drive」システムについては懐疑的な意見が多いのが実情だ。これまでの実験の流れをみていこう。
・中国
2009年に中国の研究チームが動作実験に成功したのだが、わずか2.5kWの電力を用いて720mN(ミリニュートン)という人工衛星のエンジンと同様の推進力を測定したという発表。もちろん、この時も”ありえない”と反論を唱える科学者が多かった。物理学上、量子真空中の粒子は”イオン化できない”とされており、そこから推力は生まれるはずがないからだ。
・米国
2014年、この結果に首をかしげる科学者らを尻目に、科学者グイド・フェッタ氏とNASAイーグルワークスの研究チームも中国と同様の装置で実験し、同じ原理で動作することを実証した。「カンナエドライブ(Cannae Drive)」と呼ばれる彼らのモデルは比較的低出力といわれているイオンエンジンの1/1000以下ではあるが30~50μN(マイクロニュートン)の推進力を発生させることに成功したのだ。中国と同様の装置を用いて実験したNASA研究者らは「我々は完全なる真空の中、EM Driveの実験を行った」と発表、「中国の実験結果の数値は本当に真空中で行われたか疑わしい」と中国の実験結果に疑問を持つ見解を示しつつも、「EM Drive」がシステムとして稼働することを証明した。
そして2015年。今回の実験に成功したタジマール教授は、今後「”運動量保存の法則”に反するとされているこの装置がなぜ動作したのか、物理学的にも併せて研究していく」と、この結果に真剣に向き合う決意表明をしたということだ。
今後まだまだ課題も多い「EM Drive」であるが、実現化すれば宇宙船に燃料などを積む必要がなくなるため宇宙船や人工衛星なども半分ほどまでに小型化できる。近い未来、月までの日帰りも可能になる日がくるのかもしれない。
(文=遠野そら)
貼り付け元 <http://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201508_post_7048.html?_p=2>
映画のような宇宙航海が実現化するかもしれない。"物理学的に絶対無理"とされていた宇宙船の推進システム「EM Drive(electromagnetic drive)」が新たに実証されたのだ。「EM Drive」が実現されればなんと月まで4時間、火星までは約70日で行くことができるようになるという。
しかし、この「EM Drive」。結果こそ実証されているが、仕組みについてはまだ誰も科学的に解明できていない謎の推進システムであり、頭のお硬い科学者たちの中にはいまだに「理論上ありえない」としてその結果を受け入れることができない人もいるほどなのだという。一体どんなものなのだろうか?
■太陽光エネルギーで半永久的に動作可能に
英「Daily Mail」紙や「Wired」などによると、7月27日に米フロリダ州オーランドで開催されたAIAA(米国航空宇宙工学連盟の推進エネルギーフォーラム)において、独・ドレスデン工科大学マーティン・タジマール教授が「EM Drive」という、宇宙船推進装置の動作実験の成功を発表したという。
「EM Drive」とは、2000年に英・航空宇宙エンジニアであるロジャー・ショーヤー氏が提唱した新たな宇宙船の推進システムだ。従来のロケットエンジンなどの推進方法とは異なり、文字通り「電磁駆動」に基づき、密閉された容器の中でマイクロ波を反射させることで、噴出剤なしで宇宙船に推力を発生させるというものだ。これが実現化すればわずか4時間で地球から月まで行くことができ、火星までは約70日、そして、これまでの技術では数千年かかるといわれていた太陽から4.2光年離れているアルファ・ケンタウリ(ケンタウルス座アルファ星)までもわずか100年で到着することができるという。
この「EM Drive」が注目を集めているのは、これだけではない。電磁駆動のための電力は太陽光発電を使用するため、故障や摩損がなければ、半永久的に加速し続けられる点にもあるのだ。
だが、この「EM Drive」システムの理論は明らかに「運動量保存の法則=ある系に外部からの力が加わらないかぎり、その系の運動量の総和は不変であるという物理法則」に反している。そのため理論上は"動作は不可能"だとして、2000年にショーヤー氏がこの理論を提唱した際は、中国の研究チーム位以外誰もこの理論を真剣に受け止めてこなかった。…
貼り付け元 <http://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201508_post_7048.html>
しかし、中国の実験が成功したことで、米国航空宇宙局(NASA)も実験に成功。そして、今回の実験に至ったのだ。
■物理学的法則にも矛盾。なぜ動作したのかはその原理は謎...
しかし、3例目の実験成功とあっても、「EM Drive」システムについては懐疑的な意見が多いのが実情だ。これまでの実験の流れをみていこう。
・中国
2009年に中国の研究チームが動作実験に成功したのだが、わずか2.5kWの電力を用いて720mN(ミリニュートン)という人工衛星のエンジンと同様の推進力を測定したという発表。もちろん、この時も"ありえない"と反論を唱える科学者が多かった。物理学上、量子真空中の粒子は"イオン化できない"とされており、そこから推力は生まれるはずがないからだ。
・米国
2014年、この結果に首をかしげる科学者らを尻目に、科学者グイド・フェッタ氏とNASAイーグルワークスの研究チームも中国と同様の装置で実験し、同じ原理で動作することを実証した。「カンナエドライブ(Cannae Drive)」と呼ばれる彼らのモデルは比較的低出力といわれているイオンエンジンの1/1000以下ではあるが30~50μN(マイクロニュートン)の推進力を発生させることに成功したのだ。中国と同様の装置を用いて実験したNASA研究者らは「我々は完全なる真空の中、EM Driveの実験を行った」と発表、「中国の実験結果の数値は本当に真空中で行われたか疑わしい」と中国の実験結果に疑問を持つ見解を示しつつも、「EM Drive」がシステムとして稼働することを証明した。
そして2015年。今回の実験に成功したタジマール教授は、今後「"運動量保存の法則"に反するとされているこの装置がなぜ動作したのか、物理学的にも併せて研究していく」と、この結果に真剣に向き合う決意表明をしたということだ。
今後まだまだ課題も多い「EM Drive」であるが、実現化すれば宇宙船に燃料などを積む必要がなくなるため宇宙船や人工衛星なども半分ほどまでに小型化できる。近い未来、月までの日帰りも可能になる日がくるのかもしれない。
(文=遠野そら)
貼り付け元 <http://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201508_post_7048.html?_p=2>