밀리터리

( ^~^)複合装甲の歴史と仕組み。90式、10式の違い


10式 装甲モジュール

[傾斜(グラシス装甲)と避弾経始]


装甲の厚さは60度傾斜させるだけで垂直に立つ装甲より1/2の厚さで同じ防御力を有する。
つまり同じ厚さなら60度傾斜させた方が2倍の防御力を得ることが出来る。これは水平に飛来する砲弾の貫通経路が見かけより長く(厚く)なる為でそれだけ砲弾のエネルギーが失われる
と共に砲弾が傾斜をすべって装甲面に対する運動エネルギーが分散される。

第二次世界大戦ソ連で開発されたT-34は砲塔、車体に良好な避弾経始(傾斜)を持ちドイツ軍戦車を凌駕した。 以後ドイツ軍も装
甲には傾斜を付ける事となる。


第二次大戦中のドイツ、4号戦車・ティーガーⅠ等は当初砲塔装甲が垂直にそそり立っていたが大戦後期のパンター、ソ連のTー34は良好な避弾経始で敵弾の運動エネルギーを分散させてい
る。これは、現代戦車にも継承され装甲はある程度の曲線と傾斜でデザインされている。

*グラシス装甲:中世ヨーロッパ以降、特にフランスでの築城学より由来

Leopard2 A4
砲塔装甲が垂直に切り立っており出現
当時は避弾経始を無視したデザインと
酷評された。これは複合装甲の防御力
が向上した事と戦車砲の初速が高速化
した事が関係している。

Leopard2 A5
A4の改良型で砲塔前面の装甲を傾斜を
付けた楔(くさび)型の複合装甲が追加さ
れている。



[現代戦車の装甲1]

現代戦車の装甲は曲線又は傾斜が考慮された避弾経始でデザインされ複合装甲と爆発反応装甲で構成されている。そのデザインは各国で様々だが特に複合装甲は戦車全周では無く最も被弾率
が高い砲塔前面及び側面、車体前面にのみ用いられている。 これは被弾率の統計的なもので砲塔前面が最も高い為旧ソ連では人間工学を多少犠牲にしても砲塔を極力小さく設計する様に考慮
されている。これは実戦経験から導かれたイスラエル軍のMBTメルカバを見れば明らかだが機動力・火力を多少犠牲にしても乗員生存性・装甲防御力を最重視し砲塔の前面投影面積(シルエット
)を極力抑える設計思想を取り入れている。

イスラエル軍MBT メルカバ砲塔の前面投影面積を極小とし敵弾の着弾を最小限に抑える設計思想が伺える。 4回
にも及ぶ中東戦争の教訓で人口の少ないイスラエルでは乗員の損失を極力抑える事にあらゆる技術が注がれている。



・複合装甲(Composite Armour)(コンポジット・アーマー)

劣化ウラン装甲のM1A1(米)

楔型の前面複合装甲のレオパルト2(独)
複合装甲とは装甲鋼板の間に比重の異なるセラミックスやチタン合金や炭化硼素等をサンドイッチ状に挟んだ装甲である。 現在のMBTの複合装甲はサンドイッチ状では無くハニカム構造(六角・
蜂の巣)やブロック構造となっている模様である。
一方中身の材質だが、これは最高レベルの軍事機密に関するので詳細は不明だが恐らく強度的にタングステンや硼化チタニウム、セラミックス材等が使われているものと思われる。
アメリカ軍のM1A1エイブラムスではタングステンより硬度がある減損ウラン等が使用されている。
M1A1の減損ウラン装甲型(ヘビー・アーマー型)は運動エネルギー弾と化学エネルギー弾対して溶解し難いので高い防御力を有する事となる。






・爆発反応装甲(ERA=Explsive Reactive Armour)(リアクティブ・アーマー)

T72の砲塔前面及び上面、車体前面と側面にまんべんなく貼り付けられたERA。
一つ一つのBOXに炸薬が詰められており着弾されたBOXが誘爆しジェット噴流を吹
き飛ばす。


主にHEAT弾に対する化学エネルギーを同じ炸薬によって相殺させる為に主装甲の外側に炸薬を詰めたBOXを並べて防御する装甲を意味する。 HEAT弾の着弾と同時にBOX内の炸薬が点火
し激烈な噴流ジェットを反らしたりかき消したりして主装甲に対するダメージを抑える配慮がなされている。 しかしHEAT弾に対しては非常に有効だが第三世代の先進国MBTによるAPFSDS弾には
ほとんど無力といってよいし、機関砲などの小口径砲に対しても誘爆してしまう欠点がある。
主に対戦車ミサイルや歩兵携行兵器等から戦車を防御する有効な装甲として装備され、仮に被弾しても撃破されなければ後でERAのBOXを簡単に追加装備できる利点がある。





[現代戦車の装甲2]


「チョッバム・アーマー」
イギリスの軍事研究機関で開発された複合装甲で装甲鋼板の間に比重の異なる材質をサンドイッチ状に挟み込み装甲防御力を飛躍的に高めた装甲。 元々はHEAT弾に対する中空装甲のスペースを有効に
活用する為にスペースにさらに強度のある材質を入れたもの。当時はNATOの最高機密として扱われた。


「チョッバム・アーマー2」
HEAT弾に対して有効だったチョッバムアーマーをAPFSDS弾に対しての耐弾力を付加させた新世代の装甲。運動エネルギー弾と化学エネルギー弾に対処するため内部がハニカム構造(六角・蜂の巣)やブロ
ック構造となってセラミックスやチタン合金を使用している。


「スナップロックアーマー」
複合装甲の一種だが特異な構造を持つ対APFSDS弾装甲である。運動エネルギー弾が装甲に突入すると内部の特殊な装甲が衝撃によって上下左右方向に移動しAPFSDS弾を切断し一番内側の装甲面に達
することなく弾頭をストップさせる能動的装甲である。


「スペースド・アーマー」
主装甲板(外側)と内部装甲版(内側)の間に空隙(スペース)を設けた複合装甲の元祖である。
主にHEAT弾の高温・高圧の噴流ジェットを拡散・無意味にさせる為に開発された装甲である。HEAT弾のモンロー効果は一定以上の距離(スタンドオフ)でのみその効果が発揮される為、この原理を逆手に取
った装甲で後に運動エネルギー弾にも対処する為スペースに高硬度の材質を取り入れた。


「電磁装甲」
外側の装甲と内側の装甲に大電流を通電させ外側の装甲版を貫通してきた砲弾又は噴流ジェットを瞬時に通電させ溶解させてしまう特殊装甲。現在はこのスペースに絶縁体としてセラミックスを挟み込み防御力を
さらに向上させているが、実用化にはほど遠い。


「多重装甲&モジュール構造」
イスラエルが4回にわたる中東戦争の実戦教訓から生み出したMBT「メルカバ」が採用している複合装甲派生版。 人口の少ないイスラエルにおいては乗員のサバイバリティを最優先に考慮されエンジンを前部に
配置し最終的に装甲として活用し砲塔には取り付け式のモジュール構造の複合装甲を配置しスペースには銃弾、各種機器、燃料、水等を装甲の一部として最大限に活用している。ハードウェアの設計思想が生存性
を第一に考慮されている為この様な特異な装甲となっているがこれは実戦から生まれた教訓である事を理解しなければならない。またモジュール構造にすれば被弾した場合の修理が容易で戦線に早く復帰出来る
し、将来新型の装甲が開発されれば簡単に装着出来る利点がある。


メルカバMk3 砲塔後部
砲塔後部から吊り下げられている分銅
付きチェーンは砲塔と車体の間隙をHE
AT弾より防御する為でチェーンに接触
したセンサーはHEAT弾のスタンドオフ
を狂わせて最適の距離での噴流ジェッ
トで装甲を貫徹出来ない様にしている。


陸上自衛隊90式 砲塔側面
砲塔側面に取り付けられている奥から
工具箱と発煙弾発射機と履帯は、それ
自体を装甲の一部としているのでわざ
わざ砲塔側面に設置されている。



M1A1 砲塔後部
砲塔側面後部から砲塔後部にかけて
設置されているバスケットは各種装備
品を搭載する目的の他にHEAT弾の
センサーに抵触させ早期に爆発させる
目的も果たす。


M1A1 砲塔後部
砲塔後部は戦車の弱点で砲塔バスル
内には主砲弾が搭載されており砲塔
後部に搭載されている各種装備品だ
けでもHEAT弾のスタンドオフを狂わ
せる有効な手段である。



[現代戦車の装甲2]

「レーザー検知器」
第三世代MBT及び第3.5世代MBTでは今や標準装備となった歩兵の対戦車兵器よりのレーザー照射及び敵戦車からの照射を検知する補助防御機構。先進MBTでは警報か発煙弾の発射等と連動している。


「対戦車ミサイル妨害」
敵のレーザーを検知或いはミサイル発射を探知すると自動的に赤外線妨害照射器より赤外線を照射し歩兵携行兵器の赤外線モニターをミサイルの赤外線シーカーを無効化してしまう能動的防御機構。 ロシア軍の
T-80MBTの「SHTORA」等が知られている。

ロシア軍主力MBTのT90に取り付けられた
赤外線欺瞞照射器(赤の矢印)
機関銃の下に見える楔形の出っ張りがERA
爆発反応装甲でサイドスカート部に見えるの
が高硬度ゴム製の増加装甲である。






「対戦車ミサイル防御システム」
これは敵対戦車ミサイルをより能動的にアクティブに防御する為のシステムの総称である。システムはミリ波レーダーと爆発パネルより構成され、敵対戦車ミサイル及び攻撃ヘリの対戦車ミサイルをミリ波レーダーが感
知すると戦車後方に装備してある爆発パネルがミサイル軌道上に放出されミサイルを撃墜するものである。


「砲塔上部装甲」
最新の対戦車兵器は高度にインテリジェンス化が進み戦車の装甲で比較的薄く尚且つ致命的な砲塔上部を狙い撃ちする兵器が登場し、これらに対応する必要に迫られている。俗にTOPアタック兵器と呼ばれている
がレーザー誘導や戦車エンジンから放出される赤外線を探知して上部よりミサイルが落下してくる為戦車の装甲も上部に施さなければならなくなった。しかし戦車砲塔上部の装甲は各種センサー・ペリスコープ・機関
銃や乗員ハッチ等どうしても装甲を厚く出来ない理由がある。そこで現在考案されているのが指向性爆発子弾である。これはミサイルの軌道上もしくは砲塔上部に特別に加工された成形炸薬を放出しミサイルを撃墜す
る方法である。これは現在運動エネルギー弾の倍以上の装甲貫徹力を有する自己鍛造弾(*)に対しても対処出来るように研究改良が進められている。

(*)自己鍛造弾 
航空機や榴弾砲、MLRS等から発射され目標上空で子弾を散布・滞空し子弾自身が敵戦車を探知すると目標上空で爆発し特殊な金属が猛烈な火炎と高熱で鍛造されながら成形され戦車上部を貫通する。
自己鍛造弾の装甲貫徹力を防御できる装甲は現在先進MBTには存在しないのが現状。


「ステルス性」
対戦車兵器が高度に進化しTOPアタック兵器が登場すると戦車自体が赤外線を放出しないようにエンジンの排気を拡散させ排気音を下げている。 また、対戦車ヘリのミリ波レーダーに探知されないように反射を極
力抑えたデザインを採用したり材質が使われている。近年登場した戦車の走行音を探知すると戦車上空に自己鍛造弾を打ち上げTOPアタックする音響地雷に対処する為、サイドスカートに吸音性のゴムシートを装
着し走行時の騒音を抑えている。


http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/hypams01/mbt2.html

●重量型複合装甲のセラミックブロック
 重量型複合装甲のセラミックブロックには大きく分けて二つのタイプがある。1つは、高強度金属を外殻としてセラミックを内側に封入し、外殻から圧縮応力 をかけた状態にしたタイプである。これは、セラミックの亀裂の伝播速度が、メタルジェットの速度(7000~10000m/sec程度)と比較すると充分 に遅いが、APFSDS弾の速度(1400~1600m/sec程度)と比較すると充分ではなく、HEAT弾に対しては、みかけ上の強度通りの激的な防弾 効果を得られるものの、APFSDS弾に対しては、防弾効果が得られにくいことを、改善するための構造である。また、2次的な効果であるが、高強度金属の 外殻に隔てられることと圧縮応力により、初弾着弾の衝撃で、別のセラミックブロックへの亀裂の伝播を抑止する効果がある。
 もう一つのタイプは、単に体積の大きなセラミックが、装甲の間に挿入されているだけのものである。対APFSDS弾能力が劣ること、APFSDSの着弾 による対弾性能の低下は大きいものの、対HEAT防御能力は、前者のタイプよりも高いと推察される。ちなみに、前者のタイプの複合装甲は、ドイツのレオパ ルド2主力戦車の主装甲および陸上自衛隊の90式戦車に、後者は、米国のM1A1主力戦車および英国のチャレンジャー戦車等に採用されていると言われてい る。

●複合装甲の適用例
 軽量または中量型複合装甲の例としては、1967年に現ユナイテッド・ディフェンス社で試作さたXM765装甲兵車や、1995年ごろから改良された M2A2ブラッドレイ騎兵戦闘車がある。これらの車両は、軽量のアルミ合金装甲の上に、薄いが硬度の高い防弾鋼板を付加している。また、フランスおよびド イツが共同で行なっているVBM/GTM計画の車両には、軽量のアルミ合金装甲の上に、硬度の高いセラミックを付加した装甲が採用される予定である。その 他の例としては、イスラエルのラファエル装備開発局が開発したフレキシブル・セラミック・アーマー[FCA]は、セラミック球を並べた層を板で挟み込んだ 構造である(7.62mm弾に耐えるという)。また、米国で開発されていたXM8AGSの装甲は、薄いケプラー繊維の層に炭化珪素のタイルが接着されたも のを、アルミ合金装甲の前に装着する構造であったらしい。また、最近(2000年前後)の研究では、複合装甲内に複数種のセラミックスを使用すると、イン ピーダンスの違いによって侵徹体衝突時の衝撃波が多重反射して、特定の層のセラミックが完全に破壊されてしまい、2発目以降の命中弾では防御力が著しく低 下してしまうことが判ってきた。このため、複数種のセラミックが使われることは無くなって来ているらしい。
 重量型複合装甲の例としては、1960~70年に開発された旧ソ連のT-64戦車で砲塔の鋳造装甲の中にセラミック系材料が埋め込まれていた。近年では、米国のM1主力戦車、ドイツのレオパルド2主力戦車、陸上自衛隊の90式戦車(下 図参照)などが複合装甲を採用している。また、防衛庁の研究者によると、90式戦車の開発では、実際の試作車体に国内開発の120mm滑腔砲による APFSDS弾および成形炸薬弾の耐弾試験が行なわれている。試験では試作車を稼動状態にして0距離射撃で正面装甲に複数の命中弾を与え、かなりの発数ま では貫通および機能不全は起こらなかったとのことである。なお、この射撃試験のビデオは代表的なメディアには公開しているとのことである。

●複合装甲の質量効率
 軽量または中量型複合装甲の7.62mm弾に対する質量効率は、 硬質防弾鋼+アルミ合金装甲の場合で1.2~1.3程度、硬質セラミック+アルミ合金装甲の場合、2.3~2.8と言われている。また、炭化珪素系やチタ ニウムボロン化合物(TiB2)系のセラミック+アルミ合金装甲の組み合わせでは、7.62~25mmのAP弾またはAPDS弾に対する質量効率は、 3.5程度であると言われている。
 重量型複合装甲の質量効率については、1970年代初頭にドイツで酸化アルミニウム系セラミックを挟み込んだ複合装甲の試験では、成形炸薬弾に対して 2.3であったと言う。また、ロシアのT-72戦車のグラシス・プレートと呼ばれる2層のガラス繊維が組み込まれた複合装甲の、成形炸薬弾に対する質量効 率は2.6程度、運動エネルギー弾に対する質量効率は2.2程度であると言われている。

●高初速運動エネルギー弾による装甲構造の破壊現象
 厚さの有限な複数の層を持つ複合装甲(例として、表面層:硬化鋼板、中間層:セラミックモジュール、裏面層:均質圧延鋼板の3層構造)に、侵徹体が侵徹 していく場合に、侵徹体の運動エネルギーが充分に大きいと、侵徹現象の他に構造の破壊現象が発生する。この場合の構造の破壊現象とは、表面層を含めた複合 装甲の構成材(細分化されたセラミック片、液状化した鋼など)および侵徹体が、裏面層を突き破って装甲裏面から車内に飛び出してくるというものである。な お、表面の侵徹穴に比較して、裏面の穴がはるかに大きい。また、侵徹体の運動エネルギーが小さい場合でも、同一個所付近に連続して命中弾があった場合に は、2弾目以降の命中弾に対しては、セラミックモジュールの運動エネルギー吸収が充分ではないために、同様の現象が発生する可能性がある。また、侵徹体が 高存速の場合、均質圧延装甲でも同様の現象が見られる(複合装甲よりは起きにくいが)。複合装甲に構造の破壊現象が起こりやすい理由は、複数の層を持つことにより厚さ方向の結合力が弱いためである。
90式 戦車の複合装甲

http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/1550/arm_var/composite.htm


装甲/90式より一割以上も軽くなって同程度の防御力

10式 10式戦車 陸上自衛隊


材質等は最高機密ですが まず一般的な誤解として50t以上のクラスが多い各国MBTと比較して10式が44tと軽いことから装甲が弱いと思われている
点ですがこれは間違いです
20年前の設計の90式と同じ防御力であれば最新の素材等の使用で その重量は90式の三割で十分といわれています 

10式はケブラーやセラミックス装甲の新素材や中空装甲などの軽量化などにより、90式より約12%ほど軽量になって
おり装甲と車重の比などから見ても90式に匹敵する防御力は十分に備えている



各複合装甲をモジュール化として改良している点は90式よりも進化していると言える。

鉄板を取り付けている戦車装甲はいまだにWWⅡ世代の戦車と言って良いのである。


TOTAL: 24438

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