Bloomberg
認証不正、トヨタに国交省が立ち入り-制度見直す契機と冷めた声も!
トヨタ自動車など国内自動車メーカー5社が型式認証試験で不正を行っていた問題に関連し、国土交通省は4日、愛知県豊田市のトヨタ本社に道路運送車両法に基づく立ち入り検査をした。対象車種の出荷停止など影響が現れる一方、認証制度自体が時代の変化に対応できておらず、見直されるべきとの声も上がる。
アストリス・アドバイザリーの中西孝樹アナリストはリポートで、トヨタ・ホンダ・マツダの3社の発表内容から、現時点では悪質さのレベルは低く、組織的な隠蔽(いんぺい)の証拠は見られないとした。現実の条件にそぐわない認証試験システムの改正につながるチャンスとなるかもしれないと記した。
型式認証制度は自動車メーカーが新車を生産・販売する際に事前に国交省に届け出て、保安基準への適合性などについて審査を受けるもので、1951年に施行された。安全性担保に欠かせないものの、自動車開発が複雑になる中で時代に合わない手続きやルールが増えれば、結果的に国内の車メーカーの競争力を削ぐ可能性もある。
シティグループ証券の吉田有史アナリストは英文リポートで、規定通りに認証手続きを進めていなかったといっても、条件をより厳しく設定して実施したケースも多いと指摘。一般的には「認証制度自体に問題があると理解されているようだ」とし、今回の問題は認証手続きの見直しへの機運が高まるきっかけになるのではないかとの見方を示した。
同問題で会見を開いたトヨタとホンダ、マツダは安全性や性能には問題はないとして不正対象の車両でも使用を控える必要はないとの趣旨の見解を示した。
現場とのギャップ!
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、逸脱した試験でも使用に支障がないのであれば、認証制度が定める手順や条件とはそもそも何だったのか、ということになるとコメント。
各社の経営陣の責任を不問に付すことはできないが、将来に向けて自動車メーカーと役所の間で、認証手法やプロセスについて点検や見直し、周知徹底などが必要な時期に来ていると述べた。
トヨタの豊田章男会長は3日の会見で、過去にあった販売店での車検不正を挙げ、性能や精度が向上した現代の車ではまず必要ないと考えられる整備項目を省いたところ不正となったというエピソードを紹介。今回の会見の場で自身が話せる内容ではないと前置きした上で、安全な車づくりのために現場が行う試験と認証プロセスで求められている手順などの間にギャップも感じると述べた。
「これをきっかけに国とOEM(自動車メーカー)がすりあわせをして何がお客さまのために、そしてまた日本の自動車業界の競争力につながるか、制度自体をどうするのか、となっていけばいいなと思う」と話した。
政府は影響を注視!
ただ立ち入り調査の結果の精査はこれからで、車メーカーの報告と実態との乖離が判明する可能性もある。
認証試験に関する不正では今年に入ってトヨタグループの軽自動車メーカーであるダイハツ工業が国交省から一部車種について「型式指定」を取り消す処分を受け、一時国内全工場で生産停止となるなど大きな影響が出た。
今回もトヨタが「レクサスRX」でエンジン出力を確かめる試験で狙った出力が得られなかったためコンピューター制御を調整し、再度試験をしたデータを使用したケースなど、結果をよく見せるために行った事案が含まれている。
政府は影響を注視する。「自動車認証制度の根幹を揺るがす行為」。斎藤健経済産業相は4日の閣議後会見でこう述べ、新たな不正が発覚したことは極めて遺憾だとした。自動車の出荷・生産停止に伴うサプライヤーへの影響を調査し、結果を踏まえて資金繰り支援などの対応を検討すると明らかにした。
鈴木俊一財務相も、一時的でも自動車の生産停止が日本経済に与える影響は大きいと懸念を示し、注視する考えを示した。
■News Source (Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-04/SEJ616T0G1KW00
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認証不正、トヨタに国交省が立ち入り-制度見直す契機と冷めた声も!
トヨタ自動車など国内自動車メーカー5社が型式認証試験で不正を行っていた問題に関連し、国土交通省は4日、愛知県豊田市のトヨタ本社に道路運送車両法に基づく立ち入り検査をした。対象車種の出荷停止など影響が現れる一方、認証制度自体が時代の変化に対応できておらず、見直されるべきとの声も上がる。
アストリス・アドバイザリーの中西孝樹アナリストはリポートで、トヨタ・ホンダ・マツダの3社の発表内容から、現時点では悪質さのレベルは低く、組織的な隠蔽(いんぺい)の証拠は見られないとした。現実の条件にそぐわない認証試験システムの改正につながるチャンスとなるかもしれないと記した。
型式認証制度は自動車メーカーが新車を生産・販売する際に事前に国交省に届け出て、保安基準への適合性などについて審査を受けるもので、1951年に施行された。安全性担保に欠かせないものの、自動車開発が複雑になる中で時代に合わない手続きやルールが増えれば、結果的に国内の車メーカーの競争力を削ぐ可能性もある。
シティグループ証券の吉田有史アナリストは英文リポートで、規定通りに認証手続きを進めていなかったといっても、条件をより厳しく設定して実施したケースも多いと指摘。一般的には「認証制度自体に問題があると理解されているようだ」とし、今回の問題は認証手続きの見直しへの機運が高まるきっかけになるのではないかとの見方を示した。
同問題で会見を開いたトヨタとホンダ、マツダは安全性や性能には問題はないとして不正対象の車両でも使用を控える必要はないとの趣旨の見解を示した。
現場とのギャップ!
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、逸脱した試験でも使用に支障がないのであれば、認証制度が定める手順や条件とはそもそも何だったのか、ということになるとコメント。
各社の経営陣の責任を不問に付すことはできないが、将来に向けて自動車メーカーと役所の間で、認証手法やプロセスについて点検や見直し、周知徹底などが必要な時期に来ていると述べた。
トヨタの豊田章男会長は3日の会見で、過去にあった販売店での車検不正を挙げ、性能や精度が向上した現代の車ではまず必要ないと考えられる整備項目を省いたところ不正となったというエピソードを紹介。今回の会見の場で自身が話せる内容ではないと前置きした上で、安全な車づくりのために現場が行う試験と認証プロセスで求められている手順などの間にギャップも感じると述べた。
「これをきっかけに国とOEM(自動車メーカー)がすりあわせをして何がお客さまのために、そしてまた日本の自動車業界の競争力につながるか、制度自体をどうするのか、となっていけばいいなと思う」と話した。
政府は影響を注視!
ただ立ち入り調査の結果の精査はこれからで、車メーカーの報告と実態との乖離が判明する可能性もある。
認証試験に関する不正では今年に入ってトヨタグループの軽自動車メーカーであるダイハツ工業が国交省から一部車種について「型式指定」を取り消す処分を受け、一時国内全工場で生産停止となるなど大きな影響が出た。
今回もトヨタが「レクサスRX」でエンジン出力を確かめる試験で狙った出力が得られなかったためコンピューター制御を調整し、再度試験をしたデータを使用したケースなど、結果をよく見せるために行った事案が含まれている。
政府は影響を注視する。「自動車認証制度の根幹を揺るがす行為」。斎藤健経済産業相は4日の閣議後会見でこう述べ、新たな不正が発覚したことは極めて遺憾だとした。自動車の出荷・生産停止に伴うサプライヤーへの影響を調査し、結果を踏まえて資金繰り支援などの対応を検討すると明らかにした。
鈴木俊一財務相も、一時的でも自動車の生産停止が日本経済に与える影響は大きいと懸念を示し、注視する考えを示した。
■News Source (Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-04/SEJ616T0G1KW00