5/18朝鮮日報は、個人情報漏洩に係るいわゆる「LINEヤフー問題」の寄稿記事を載せた(「韓日間の温度差はどこで生じているか」）。

これまでこの問題についてハンギョレは、もっぱらLINEヤフーから韓国資本の影響力排除を目的とした不当な要求を行っているとして日本を糾弾している(5/14「日本の詭弁に振り回されることなく断固たる対応を」、5/17「LINE問題で日本が嘘をつく理由とは」)。

一方朝鮮日報は、個人情報漏洩の経緯から書き起こしている。漏洩の原因はLINEヤフーが歴史的にネイバーの情報システムに強く依存し、その運用業務を委託している同社に対して適切なセキュリティ管理を求めてこなかったこと、今回これが「初犯」ではなく、2021年にもLINE(ヤフーとの合併前)が個人情報のアクセス管理不備で行政指導を受けていることを明らかにしている。なお、今回の行政指導は韓国企業に対する差別ではないことも併せて紹介しており、その事例としてNTT西日本とフェイスブックを挙げている。

そもそも委託先を親会社にした場合、委託元は問題となる箇所を指摘し、改善を要求できるだろうか。実際、LINEヤフーは、2021年の行政指導後もネイバーに対して多要素認証の安全管理措置を求めなかったし、実地監査も行わなかった。今回の全容把握にはネイバーの協力が必要だったが、3か月半もの時間をを要している(日本の個人情報委員会資料）。日本の行政当局がLINEヤフーのガバナンス体制を問題視するのは当然で、原因がネイバーの情報システムへの依存性にあり、改善を見込めないのであれば、同社との「縁を切る」ことも選択肢に入る。

ハンギョレの記事は、朝鮮日報のような事実の積み上げで書かれたものではなく、LINEヤフーの経営権のみを取り上げ、皮相的で著しく公正性に欠ける。記事には韓日関係の改善という「韓国の善意」に冷淡な日本、などの記述もあり、いたずらに韓国人読者の感情に訴えている。

この問題については、LINEヤフーとソフトバンクが行政指導に従うことを明らかにした以上、ボールはネイバー側にあると、朝鮮日報の記事は結んでいる。私も同意見である。

今後ハンギョレは日本ばかりをたたくのではなく、LINEヤフーおよびネイバーの対応にも注視し、記事にすべきである。それをしてこそ、同社が好んで使う「真相解明」に至るというものだ。