韓国野党・共に民主党の李在明（イ・ジェミョン）代表が検察の「サンバンウル対北朝鮮違法送金事件」の取り調べで、「李華泳（イ・ファヨン）元京畿道平和副知事が自分に内緒で独断で対北朝鮮事業を推進した」と供述したという。また、北朝鮮にコメ10万トンを追加支援する京畿道の公文書を決裁しておきながら、「知らないうちに李元副知事が道知事の職印が押された書類を作った」とし、「書類を持ってきたら決裁しただけだ」と答えたという。自身が推進した違法な対北朝鮮事業が明るみに出ると、その責任を側近に転嫁し、自ら決裁した書類さえ覚えていないという。

【写真】「李華泳が私に内緒でやった」　一人で罪を被る李華泳元副知事

　李在明代表は李海チャン（イ・ヘチャン）元代表の側近である李華泳元副知事を対北朝鮮事業の責任者として直接迎え入れた。李華泳元副知事は平壌で2018年9月に行われた南北首脳会談の随行者から李在明代表が排除されると、李在明代表が独自の訪朝を推進したと証言した。鄭鎮相（チョン・ジンサン）京畿道政策室長の要請もあったという。

　李華泳元副知事は同年10月に2回訪朝し、対北朝鮮事業と李在明代表の訪朝を話し合った。李在明代表との事前協議なしには不可能なことだ。李華泳元副知事は対北朝鮮事業に関する合意の成果を発表し、「李在明代表の訪朝日程も北朝鮮と話し合う」と述べた。李在明代表は関連記事を数回シェアし、「李副知事お疲れ様でした。京畿道が共にあります」と書き込んだ。

　京畿道は19年5月、北朝鮮の金英哲（キム・ヨンチョル）氏に対北朝鮮事業で協力しようと申し入れる李在明代表名義の公文書を送った。 李在明代表が「陸路で平壌に行きたい」と言うと、北朝鮮側は「それでは時間がかかるので、他の経路を検討しよう」と答えた。その後、北朝鮮側はサンバンウルのキム・ソンテ会長に李在明代表訪朝の代価を要求し、キム会長は300万ドル（約4億4000万円）を違法送金した。

　キム・ソンテ会長とサンバンウルの関係者は、いずれも違法な対北朝鮮送金について認め、北朝鮮から受け取った領収書まで提出した。これに関与した対北朝鮮団体代表も容疑を認め、裁判所の有罪判決も出た。持ちこたえていた李華泳元副知事も「李在明代表にサンバンウルの対北朝鮮送金を報告した」と供述した。それでも李在明代表は知らなかったと否認し、今は「李華泳が私に内緒でやった」とまで主張している。

　李在明代表がそう主張できるのは、李華泳元副知事が一人で罪を被ると確信しているからだろう。李華泳氏の夫人が法廷で夫に「しっかりしろ」と叫び、弁護人が突然交代し、裁判官の忌避申請まで行うおかしな現象は全てこの過程で起きた。結局李華泳元副知事は供述を再び覆した。その全貌は見当がつく。