【ソウル聯合ニュース】韓国保健福祉部傘下の専門家委員会、国民年金財政計算委員会と基金運用発展専門委員会は１日、ソウルで公聴会を開き、国民年金制度の見直し方向などを盛り込んだ報告書の草案を公開した。国民年金を現行制度のまま維持すれば２０５５年に基金（積立金）が枯渇すると予想されており、報告書は保険料率と受給開始年齢の引き上げを柱とする改革案を提示した。一方、所得代替率（年金加入期間の平均所得に対する年金受給額の割合）の引き上げ提案は議論がまとまらず、報告書から外された。

　財政計算委は、財政推計期間の２０９３年まで国民年金の積立基金が枯渇しないようにすることを目標に、基準所得月額に対する保険料率、年金受給開始年齢、基金投資収益率という三つの要素の改革シナリオを提示した。

　保険料率については、現行の９％から１２％、１５％、１８％にそれぞれ引き上げるケースを示した。

　２５年から年に０．６ポイントずつ５年間引き上げて１２％に、１０年間引き上げ１５％に、１５年間引き上げ１８％にする場合、基金枯渇の時点は５５年からそれぞれ６３年、７１年、８２年に延びる。

　年金の受給開始年齢に関しては、６６歳、６７歳、６８歳にそれぞれ引き上げることを想定した。

　受給開始年齢は１３年から３３年にかけ５年ごとに１歳ずつ引き上げ、６０歳から６５歳に調整することになっている。今年は６３歳で、報告書は３３年以降も同じスケジュールで引き上げるシナリオを提示した。基金枯渇の時点は受給開始年齢が６６歳なら５７年、６７歳なら５８年、６８歳なら５９年となる見込みだ。

　国民年金基金の投資収益率を現在に比べ０．５ポイント、１．０ポイントそれぞれ引き上げるケースも想定した。基金枯渇の時点はそれぞれ５７年、６０年に延びる。

　報告書はこの三つの要素に関する各ケースを組み合わせ、計１８のシナリオを作成した。保険料率１２％、受給開始年齢６８歳、基金投資収益率１．０ポイント引き上げなら基金枯渇は８０年になるといった試算を提示している。

　財政計算委は老後の所得保障策として、所得のある人に対する老齢年金の減額制度の将来的な廃止、遺族年金の支給率引き上げなど複数の案を提案した。一方で、所得保障強化の要となる所得代替率の見直しについては議論がまとまらず、報告書には盛り込まなかった。

　保健福祉部は報告書を基に政府の改革案をまとめた国民年金総合運営計画を作成し、１０月までに国会に提出する。