記事入力 : 2023/08/12 11:07
イランで刑務所に服役している米国人釈放の見返り
海外で凍結されている原油代金が解除
米国とイランが、韓国のウリィ銀行とIBK企業銀行に凍結されている約60億ドル(約8200億円)のイラン原油輸出代金凍結解除で合意した。イラン国営IRNA通信が関係筋の話として10日(現地時間)に報じた。イランはイラク貿易銀行に凍結中の資金などを含む約100億ドル(約1兆4500億円)の凍結資金も確保するという。米ニューヨーク・タイムズ(NYT)も同日、米国とイランが2年にわたり非公開で続けてきた交渉で合意に至ったと報じた。
両国はイランの刑務所に服役している米国人5人の釈放と、イランがこの資金を軍事目的に使用できないよう米国の友好国であるカタール政府が管理する条件で合意に至った。合意後にイランは、その処遇が過酷なことで知られるテヘランのエビン刑務所に服役しているイラン系米国人5人を軟禁状態とした。交渉妥結を受け韓国国内のイラン資金はスイスのある銀行に送金され、ユーロに換金されるという。凍結資金がカタール中央銀行の口座に送金されたことが確認されれば、ホテルなどに軟禁されている米国人5人は正式に釈放される可能性があると上記の関係筋は伝えた。米国はイランが医薬品や食料など人道目的に場合に限り資金を使えるよう、カタール政府が管理する条件を提示したという。ただし解除された凍結資金が、米国によりテロ組織に指定されているイスラム革命守備隊の手に渡ることへの懸念も相変わらず残っているとニューヨーク・タイムズは報じた。
合意が順調に実行されれば、米国とイランの長い敵対関係が解消するとの見通しも出て来そうだ。イランは1979年のイスラム革命から反米国家となり、核開発問題でも米国や西側諸国の制裁を受け続けている。2015年にはイラン核合意が締結されたが、2018年に米国のトランプ政権がこの合意から脱退した。
韓国とイランはこれまで4年にわたり資金凍結問題で対立してきたが、今回の凍結解除で関係改善の雰囲気が高まることも考えられる。韓国とイランは2010年にウリィ銀行とIBK企業銀行にウォン決済用の輸出入口座を開設したが、2018年に米国がイランに対する制裁を再開したことでイランはこの資金を引き出せなくなった。
ワシントン=イ・ミンソク特派員
韓国で凍結された「70億ドルのイラン資金」、秋までに返還へ
Posted August. 12, 2023 08:32
米国とイランが、イランに収監されている米国人を解放する代わりに、韓国で凍結された約70億ドル(約9兆2700億ウォン)のイラン原油決済代金を解除してイランに返還することで合意した。政府関係者は11日、「そのような方向で(米国とイランの合意が)進んだのは事実」と明らかにした。そのうえで、「金が渡って人が解放される問題なので、最後までどうなるか見なければならない」としながらも、「(合意が破棄されなければ)秋までに韓国内の凍結資金の解除手続きが終わるだろう」と話した。金融界によると、韓国内で凍結されていたイラン原油決済代金に関して、11日から仲介役のスイス銀行の口座への送金作業も始まったという。
ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)は10日(現地時間)、報道官声明を発表し、「イランに不当に拘束された米国人5人が解放され、自宅軟禁に入ったことをイラン政府が確認した」と明らかにした。ブリンケン米国務長官も、「今回の措置は(拘束された)米国人の悪夢を終わらせるための始まり」と強調した。イラン外務省も声明を通じて、「(イランの資金が)米国によって数年間韓国の銀行に不法に凍結されていた」とし、「イランは米国から(凍結資金)関連義務に対する約束を保証された」と明らかにした。米国が、韓国に凍結されていたイランの石油資金を解除することを条件に、米国人の解放措置を取ったということだ。
イランの原油輸出代金は、米国の制裁で2019年から韓国で凍結されていた。イランは返還を強く迫り、その過程でイラン沖のホルムズ海峡で韓国船舶が拿捕されるという問題も生じた。
韓・イラン関係の足を引っ張ってきた凍結原油代金問題が解決すれば、安定的なエネルギー需給が可能になり、韓国船舶の安全も確保される。韓国が輸入する原油の7割以上がホルムズ海峡を経由しているからだ。イランは中東の戦略的要衝地であり、人的・物的にも潜在力が豊かなことから、イランとの関係発展で韓国の外交的・経済的地平が広がることが期待される。
シン・ジンウ記者 ワシントン=ムン・ビョンギ特派員 niceshin@donga.com
記事入力 : 2023/08/12 11:07
イランで刑務所に服役している米国人釈放の見返り
海外で凍結されている原油代金が解除
米国とイランが、韓国のウリィ銀行とIBK企業銀行に凍結されている約60億ドル(約8200億円)のイラン原油輸出代金凍結解除で合意した。イラン国営IRNA通信が関係筋の話として10日(現地時間)に報じた。イランはイラク貿易銀行に凍結中の資金などを含む約100億ドル(約1兆4500億円)の凍結資金も確保するという。米ニューヨーク・タイムズ(NYT)も同日、米国とイランが2年にわたり非公開で続けてきた交渉で合意に至ったと報じた。
両国はイランの刑務所に服役している米国人5人の釈放と、イランがこの資金を軍事目的に使用できないよう米国の友好国であるカタール政府が管理する条件で合意に至った。合意後にイランは、その処遇が過酷なことで知られるテヘランのエビン刑務所に服役しているイラン系米国人5人を軟禁状態とした。交渉妥結を受け韓国国内のイラン資金はスイスのある銀行に送金され、ユーロに換金されるという。凍結資金がカタール中央銀行の口座に送金されたことが確認されれば、ホテルなどに軟禁されている米国人5人は正式に釈放される可能性があると上記の関係筋は伝えた。米国はイランが医薬品や食料など人道目的に場合に限り資金を使えるよう、カタール政府が管理する条件を提示したという。ただし解除された凍結資金が、米国によりテロ組織に指定されているイスラム革命守備隊の手に渡ることへの懸念も相変わらず残っているとニューヨーク・タイムズは報じた。
合意が順調に実行されれば、米国とイランの長い敵対関係が解消するとの見通しも出て来そうだ。イランは1979年のイスラム革命から反米国家となり、核開発問題でも米国や西側諸国の制裁を受け続けている。2015年にはイラン核合意が締結されたが、2018年に米国のトランプ政権がこの合意から脱退した。
韓国とイランはこれまで4年にわたり資金凍結問題で対立してきたが、今回の凍結解除で関係改善の雰囲気が高まることも考えられる。韓国とイランは2010年にウリィ銀行とIBK企業銀行にウォン決済用の輸出入口座を開設したが、2018年に米国がイランに対する制裁を再開したことでイランはこの資金を引き出せなくなった。
ワシントン=イ・ミンソク特派員
韓国で凍結された「70億ドルのイラン資金」、秋までに返還へ
Posted August. 12, 2023 08:32
米国とイランが、イランに収監されている米国人を解放する代わりに、韓国で凍結された約70億ドル(約9兆2700億ウォン)のイラン原油決済代金を解除してイランに返還することで合意した。政府関係者は11日、「そのような方向で(米国とイランの合意が)進んだのは事実」と明らかにした。そのうえで、「金が渡って人が解放される問題なので、最後までどうなるか見なければならない」としながらも、「(合意が破棄されなければ)秋までに韓国内の凍結資金の解除手続きが終わるだろう」と話した。金融界によると、韓国内で凍結されていたイラン原油決済代金に関して、11日から仲介役のスイス銀行の口座への送金作業も始まったという。
ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)は10日(現地時間)、報道官声明を発表し、「イランに不当に拘束された米国人5人が解放され、自宅軟禁に入ったことをイラン政府が確認した」と明らかにした。ブリンケン米国務長官も、「今回の措置は(拘束された)米国人の悪夢を終わらせるための始まり」と強調した。イラン外務省も声明を通じて、「(イランの資金が)米国によって数年間韓国の銀行に不法に凍結されていた」とし、「イランは米国から(凍結資金)関連義務に対する約束を保証された」と明らかにした。米国が、韓国に凍結されていたイランの石油資金を解除することを条件に、米国人の解放措置を取ったということだ。
イランの原油輸出代金は、米国の制裁で2019年から韓国で凍結されていた。イランは返還を強く迫り、その過程でイラン沖のホルムズ海峡で韓国船舶が拿捕されるという問題も生じた。
韓・イラン関係の足を引っ張ってきた凍結原油代金問題が解決すれば、安定的なエネルギー需給が可能になり、韓国船舶の安全も確保される。韓国が輸入する原油の7割以上がホルムズ海峡を経由しているからだ。イランは中東の戦略的要衝地であり、人的・物的にも潜在力が豊かなことから、イランとの関係発展で韓国の外交的・経済的地平が広がることが期待される。
シン・ジンウ記者 ワシントン=ムン・ビョンギ特派員 niceshin@donga.com