韓国紙は自国経済を低空飛行する航空機に例えたコラムを掲載。先行きに強い危機感をあらわにした。
「韓国経済に低高度の警報音が鳴り響いている。機首をすぐに持ち上げエンジンの出力を上げなければ、目の前の山頂を避けられないにもかかわらず、揚力はなかなか上がらない」―韓国紙は自国経済を低空飛行する航空機に例えたコラムを掲載。先行きに強い危機感をあらわにした。
ハンギョレ新聞は論説委員名のコラムで「最近は目覚めてみれば再び開発途上国だと言われる」と指摘。「昨年の韓国の経済規模は世界13位を記録し、2年間維持していた10位台から押し出された。1人当たりのGDP(国内総生産)も3万2142ドル(約460万円)で、前年より8.2%減少した」と述べ、「経済規模と国民所得が大きく減少したのは、韓国ウォンの価値の下落という為替レートの変化によるところが大きいが、貨幣の価値は国の経済の現在と未来の成績表であるため、韓国経済が振るわなかったという評価が変わるわけではない」とした。
続いて「世界はコロナ禍の圧力を乗り越えて回復しているが、唯一韓国だけは、輸出と製造業の不振によって低成長の泥沼でもがいている」と説明。「今年第2四半期の成長率は0.6%で、第1四半期に続き成長傾向を維持した。だが、民間・政府の消費と投資がそろって減少する中、輸入が輸出よりきわめて大幅に減少(純輸出の寄与)したことで可能になった『不況型成』だった。当初期待された『上低下高』ではなく『上低下低』(下半期も低成長傾向が続くこと)になるかもしれないという懸念も出ている」と論評した。
さらに「国際通貨基金(IMF)は米国、日本およびユーロ圏の大半の国の成長率見通しを引き上げたが、韓国は1.5%から1.4%に下げた」と言及。「5回連続で見通しが下がったわけだが、1.4%成長は30年不況を経験して回復しつつある日本と同じようなものだ。1962年に経済開発計画が始まって以来、IMF経済危機、グローバル経済危機、コロナ禍のような大きな危機を除き、成長がこれほど振るわない時期はなかった」と危惧した。
コラムは「主力輸出品目である半導体の景気低迷が成長の足かせになっているのは事実だが、半導体の回復だけを待つには韓国経済の危機は重層的かつ複合的だ」と分析。「グローバルな産業競争力の変化に合わせ、貿易と投資の戦略を再編しなければならなかったが、機を逸した」と政府に苦言を呈した。
その上で「このように非常事態であるため、経済のハンドルを握る政府・与党の動きを見るのは当然だ。不幸なことに現政権は経済に対するビジョンや専門性、一貫した実行力を示せずにいる」と批判。「富裕層減税と健全財政という矛盾した『話題』をふりまき、財政支出を減らすことで、低下する景気にさらに冷や水を浴びせているのがその一例だ」と語気を強めた。