8日、韓国・TV朝鮮は「世界スカウトジャンボリーには過去の日本開催時に比べ3倍もの予算が投じられていた」と指摘した。写真は韓国。
全羅北(チョルラブク)道扶安(プアン)郡・セマングムで開催されているボーイスカウト・ガールスカウトの世界大会「第25回世界スカウトジャンボリー」が混乱を極めている中、韓国・TV朝鮮は8日付けの記事で、同大会には過去の日本開催時に比べ3倍もの予算が投じられていたと指摘した。
セマングム世界ジャンボリー組織委員会は7日、事業費内訳を公開した。総事業費は約1171億ウォン(約127億円)で、人件費・運営費が84億ウォン、事業費が656億ウォン、施設費130億ウォンなどとなっている。一方、2015年に日本の山口県で行われた第23回大会は、総事業費約41億7000万円だった。今大会の参加者は4万3000人で、第23回大会の3万4000人を上回ってはいるが、「事業費が日本の3倍以上になるのは理解に苦しむ」と記事は指摘している。
細部を見ていくと、日本はキャンプ場の管理(トイレ、シャワーなどを含むジャンボリー施設の拡充)に全事業費の20%を投じたが、韓国はキャンプ場造成、トイレ・シャワーなどの設置に全事業費の10%を配分している。しかし、「問題は、この費用がまともに使われたのかが定かではないことだ」と記事は伝えている。現場にいる関係者の話によると、トイレの数が圧倒的に足りず、数度にわたり組織委に意見を出しているが、「予算がない」と返されるだけだという。
では、セマングム世界ジャンボリー組織委は多額の予算をどこに使ったのか。資料によると、1171億ウォンのうち、全羅北道と扶安郡が使用した基盤施設などの予算を除き、組織委員会が使った額は870億ウォンに上る。この「組織委事業費」のうち、最も額が大きいのが参加者・運営スタッフへの食事提供で、121億ウォンとなっている。しかし、今大会ではカビの生えたゆで卵が提供されていたことが分かり、物議を醸した。
また、女性家族部、道庁の関係者らがジャンボリーの準備として海外視察を行っていたことについて「観光だったのでは」と批判が上がり問題視された人件費が55億ウォン、運営費は29億ウォン、合計84億ウォンだった。第23回大会の人件費・運営費・出張費合計の約2.5倍の規模となっている。
さらに記事は、今大会は「広報と公演費用の多さが目立つ」としている。展示広報館の運営費だけで21億ウォン、公演イベント費が45億ウォンなどとなっているが、日本は広報とマーケティング合わせて約1億円ほどだった。
この他、コロナ防疫・医療施設に28億ウォン、イベント会場の防疫と防虫に7億6000万ウォンを使ったとしているが、今大会のキャンプ場では131人(7日0時基準)がコロナ陽性と診断され、一日に数百人が虫刺されを訴えているという。水たまりが多く蚊が大量に発生している上、アオバアリガタハネカクシも確認された。医療スタッフが不足し民間医療支援団も投入されている。現場の関係者は「大会開始前から防疫が全く行き届いていなかった。予算があったのなら、なぜしなかったのか、非常に疑問だ」と話している。
全体予算1171億ウォンのうち、政府と自治体が負担した額は800億ウォン以上で、国費、道費、市・郡費を合わせて全体の68.5%を占めている。隊員らが支払った参加費は34%(約400億ウォン)だった。一方、日本は参加者が支払った参加費が予算の67.7%を占め、国家支援金は政府ではなく県を中心に12.7%にとどまっている。
今大会の場合、これまでに使われた予算の他に、事態の収拾に使われた追加予算、民間支援、早期撤退で投じられる予算まで考慮すると、費用はもっと大きくなりそうだと、記事は伝えている。
この記事に、韓国のネットユーザーからは「資金を懐に入れたやつは監獄行きの準備をしておくといい」「徹底的に調査してほしい」「予算が少ないんじゃない。泥棒が多いんだ」「税金泥棒だらけ」「海外視察で一体何をやれば55億ウォンも使えるんだ」「予算は3倍、実際に投入した額は3分の1か」「日本を悪く言うくせに、やることは日本に及ばない」など、怒りの声が殺到している。