だが、韓国が次第に先進国に仲間入りすると移住申告者数は2000年1万5000人台に減少し、2014年には249人まで減った。 しかしセウォル号惨事、景気低迷などが続き地獄より大変な韓国社会を比喩した「ヘル朝鮮」という用語が登場した。 この時を基点に第2の「アメリカンドリーム」を夢見て韓国社会を離れる人々が次第に増え始めた。 2017年に海外移住法が改正された後、2019年の海外移住者数は約4000人台を記録した。 2020年~2021年にはCOVID-19拡散で停滞したが、昨年から海外移住が再び増えている。

彼らはどうして「脱朝鮮（韓国を離れて他国に移民すること）」の夢を見るようになったのだろうか。 移民を準備したり実行した人々は一様に「韓国ほど住みやすい国はない」としながらも「韓国社会はこれ以上希望がない」と口をそろえて話した。 多分に矛盾した彼らの発言は、韓国社会の矛盾から派生したものと見られる。 過去数十年間、韓国社会が量的には成長したが、成長過程で依然として直らない弊害が足を引っ張っているという意味からだ。 ソン·ミンギ氏は「両親の世代までは『今は大変だが、より良い明日がある』という希望があったが、今は私の能力、努力に対する適当な補償を受けにくい時代」として「このような脈絡で『ヘル朝鮮』という単語が誕生し、言語と能力になる人々を中心に努力を認められる海外に出ようという雰囲気が広がったようだ」と話した。

先月20日、統計庁によると、最近3年間の平均韓国主観的な暮らしの満足度は10点満点から5.9点でOECD加盟国の中で最下位圏にとどまった。 韓国人が感じる生活の満足度はこの10年間上昇傾向だったが、他国と比較した時は生活の質が低いという認識が広まったのだ。 韓国ギャラップアンケート調査によると、回答者3人に1人の34%、その中でも社会生活を最も活発にする30代回答者の場合、半分に達する46%が要件さえ満たされれば、他国で暮らしたいと答えた。

韓国社会が妊娠·出産、子供を養育するのに適していないという認識は、彼らをさらに海外に煽った。 少子化問題が移民の主な理由だと話したヘンリーさん（32）は、「韓国の未来世代に確信がなく、子どもに米国市民権を作ってあげたい」と話した。 彼は「競争は競争通りにして熾烈に生きてきたが、今MZ世代は一生働いても家一軒買えない人生を送っている」とし「20年後に私の子供が高齢人口を扶養するために税金などから抜け出せないことを考えれば後退する韓国ではなく成長する米国を選択するのが正しいと思う」と不満を吐露した。

カナダ永住権者として居住する 2年前に逆移民した30代のパク某氏は「家族がいる韓国で生活したくて帰ってきたが、子供の教育のために再び海外に移民を悩んでいる」とし「韓国では数百万ウォンに達する英語幼稚園を行かせないと子供が遅れを取るようで、他人の顔色を伺わずに自由な環境で教育できる海外の方が良いと思う」と伝えた。

しかし、人口デッドクロスを経験している韓国では、これ以上彼らを放っておくわけにはいかない。 移民庁まで設立して国外人口を国内に持ち込もうとする状況で、去る韓国人を放っておくには人口減少傾向が激しいためだ。 しかし、まだ海外に発つ移民者に対する政府の関心は微々たるものだ。 2015年移民政策研究院「出て行く移民統計現況および改善方案」報告書もまた「海外に出て行く移民者の数が国内流入移民者より4倍近く多いにもかかわらず、政府の関心は国内に入ってくる移民者だけに集中している」と指摘した経緯がある。

報告書を作成した移民政策研究院のイ·チャンウォン研究委員は「2017年以後、関連統計収集が一定部分改善されたが、依然として出て行く移民に対する標準化された統計さえない」とし「近い将来在外同胞庁設立を控えた状況で『韓国出生後海外移住者』に対する正確な集計と管理が必要だと見る」と話した。

他国に比べて過度に排他的な国籍法にメスを入れなければならないという主張も出ている。 全北（チョんブク）大学社会学科の薛東勳（ソル·ドンフン）教授は、「外国人が韓国に入って国籍を取得すれば、複数国籍が可能だが、韓国人が海外で現地国籍を取得すれば、韓国国籍は放棄しなければならない非対称的な状況だ」とし、「人口が減少する状況を考慮すれば、大韓民国国民が外国人になるよう誘導する制度をいつまで維持するのか、真摯な省察が必要だ」と指摘した。