円が対ドルで150円台に下落、1990年以来の円安
Naomi Tajitsu
2022年10月20日 16:55 JST 更新日時 2022年10月20日 17:44 JST
日本の当局による再度の円買い・ドル売り介入の可能性に警戒強まる
投機による急激な変化は容認せず、緊張感持ち動向見ていくと財務相
20日の外国為替市場では、日本時間午後の取引で円が一時1ドル=150 円台に下落し、1990年以来32年ぶりの安値を更新した。円は150円08銭を付け、日本の当局による再度の円買い・ドル売り介入の可能性に警戒が強まっている。
鈴木俊一財務相は同日夕、円が150円台を付けたことを受け、「ボラティリティーに注目してそうした動きがある時には断固たる対応を取るという従来からの考えに変わりはない」とあらためて強調。その上で「投機による過度で急激な変化は容認できない」と述べるとともに、「これからも細かく緊張感持って動向をしっかりと見ていきたい」と語った。
長期金利一時0.255%に上昇、YCC上限を連日超える-日銀臨時オペ後
三浦和美
2022年10月20日 7:05 JST 更新日時 2022年10月20日 15:32 JST
債券相場は下落。長期金利は日本銀行のイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)政策の許容変動幅の上限0.25%を2日連続で超えた。日米金利差拡大による円安の進行で日銀の金融緩和策修正が意識されやすく、売り圧力が強まった。日銀は指し値オペに加え、事前に予定されていない臨時オペを通知したが、直後に長期金利は上限を超えた。
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「米金利のピークアウト感が出ない間は、日本の金利にも上昇圧力がかかり続ける」と指摘。また、想定以上に円安が進めば、物価見通しも当然上振れる可能性があるとし、「ある意味20年債や30年債の利回りは日銀の政策修正を織り込んでいる」と付け加えた。
日銀は午前の金融調節で臨時の国債買い入れオペを通知した。臨時オペの実施は9月27日以来。残存5年超10年以下と10年超25年以下はそれぞれ1000億円、25年超は500億円。5年超10年以下の金額は前回9月27日(1500億円)を下回った。同時に10年国債を利回り0.25%で無制限に買い入れる指し値オペも通知した。
大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、「金利のボラティリティーが特に超長期ゾーンで高い中、この程度の金額の臨時オペでは収まらない」と分析。その上で、「真剣にイールドカーブをきれいな形に戻したいという姿勢は今のところ見られず、とにかく長期金利を0.25%以下に抑えたいという意思だけが伝わってくる」と話した。
日銀は金融緩和策であるYCCにおいて長期金利の変動幅をプラスマイナス0.25%以内に抑える調節を行っている。インフレ抑制に向けた利上げを加速する海外主要中銀と政策の方向性が大きくかい離してることから、内外金利格差を意識した円安が急速に進んでおり、日銀の政策修正に向けた思惑が再燃している。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、日銀はYCC原理主義なので、政策は変えないだろうとした上で、そのため「0.25%を大きく逸脱して上昇することはないと思うが、逸脱するような局面は今後、多々見られるような状況になると思う」と話した。
為替介入(外国為替市場介入)は、通貨当局が為替相場に影響を与えるために、外国為替市場で通貨間の売買を行うことで、正式名称は「外国為替平衡操作」といいます。為替介入の目的は、為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることです。
わが国では、為替介入は財務大臣の権限において実施することとされています。日本銀行は、特別会計に関する法律および日本銀行法に基づき、財務大臣の代理人として、その指示に基づいて為替介入の実務を遂行しています。
国債買入オペは、日本銀行が行うオペレーション(公開市場操作)の一つであり、長期国債(利付国債)を買い入れることによって金融市場に資金を供給することです。2016年(平成28年)9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入してからは、金融市場調節方針で示された
長期金利の
操作目標を実現するよう、国債買入オペを運営しています。長期国債については、価格が上昇すると利回りは低下するという関係がありますので、例えば国債買入オペの金額を増額して市場の需給環境がタイト化すれば、通常、国債の価格は上昇し、長期金利は低下すると考えられます。
参考 https://www.kjclub.com/jp/board/exc_board_9/view/id/3590052
円が対ドルで150円台に下落、1990年以来の円安
Naomi Tajitsu
2022年10月20日 16:55 JST 更新日時 2022年10月20日 17:44 JST
日本の当局による再度の円買い・ドル売り介入の可能性に警戒強まる
投機による急激な変化は容認せず、緊張感持ち動向見ていくと財務相
20日の外国為替市場では、日本時間午後の取引で円が一時1ドル=150 円台に下落し、1990年以来32年ぶりの安値を更新した。円は150円08銭を付け、日本の当局による再度の円買い・ドル売り介入の可能性に警戒が強まっている。
鈴木俊一財務相は同日夕、円が150円台を付けたことを受け、「ボラティリティーに注目してそうした動きがある時には断固たる対応を取るという従来からの考えに変わりはない」とあらためて強調。その上で「投機による過度で急激な変化は容認できない」と述べるとともに、「これからも細かく緊張感持って動向をしっかりと見ていきたい」と語った。
長期金利一時0.255%に上昇、YCC上限を連日超える-日銀臨時オペ後
三浦和美
2022年10月20日 7:05 JST 更新日時 2022年10月20日 15:32 JST
債券相場は下落。長期金利は日本銀行のイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)政策の許容変動幅の上限0.25%を2日連続で超えた。日米金利差拡大による円安の進行で日銀の金融緩和策修正が意識されやすく、売り圧力が強まった。日銀は指し値オペに加え、事前に予定されていない臨時オペを通知したが、直後に長期金利は上限を超えた。
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「米金利のピークアウト感が出ない間は、日本の金利にも上昇圧力がかかり続ける」と指摘。また、想定以上に円安が進めば、物価見通しも当然上振れる可能性があるとし、「ある意味20年債や30年債の利回りは日銀の政策修正を織り込んでいる」と付け加えた。
日銀は午前の金融調節で臨時の国債買い入れオペを通知した。臨時オペの実施は9月27日以来。残存5年超10年以下と10年超25年以下はそれぞれ1000億円、25年超は500億円。5年超10年以下の金額は前回9月27日(1500億円)を下回った。同時に10年国債を利回り0.25%で無制限に買い入れる指し値オペも通知した。
大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、「金利のボラティリティーが特に超長期ゾーンで高い中、この程度の金額の臨時オペでは収まらない」と分析。その上で、「真剣にイールドカーブをきれいな形に戻したいという姿勢は今のところ見られず、とにかく長期金利を0.25%以下に抑えたいという意思だけが伝わってくる」と話した。
日銀は金融緩和策であるYCCにおいて長期金利の変動幅をプラスマイナス0.25%以内に抑える調節を行っている。インフレ抑制に向けた利上げを加速する海外主要中銀と政策の方向性が大きくかい離してることから、内外金利格差を意識した円安が急速に進んでおり、日銀の政策修正に向けた思惑が再燃している。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、日銀はYCC原理主義なので、政策は変えないだろうとした上で、そのため「0.25%を大きく逸脱して上昇することはないと思うが、逸脱するような局面は今後、多々見られるような状況になると思う」と話した。
為替介入(外国為替市場介入)は、通貨当局が為替相場に影響を与えるために、外国為替市場で通貨間の売買を行うことで、正式名称は「外国為替平衡操作」といいます。為替介入の目的は、為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることです。
わが国では、為替介入は財務大臣の権限において実施することとされています。日本銀行は、特別会計に関する法律および日本銀行法に基づき、財務大臣の代理人として、その指示に基づいて為替介入の実務を遂行しています。
国債買入オペは、日本銀行が行うオペレーション(公開市場操作)の一つであり、長期国債(利付国債)を買い入れることによって金融市場に資金を供給することです。2016年(平成28年)9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入してからは、金融市場調節方針で示された
長期金利の
操作目標を実現するよう、国債買入オペを運営しています。長期国債については、価格が上昇すると利回りは低下するという関係がありますので、例えば国債買入オペの金額を増額して市場の需給環境がタイト化すれば、通常、国債の価格は上昇し、長期金利は低下すると考えられます。
参考 https://www.kjclub.com/jp/board/exc_board_9/view/id/3590052