米韓スワップ年内終了…韓国資金流出の危機 外交的ボイコットでも歩調乱し、米国に見放されたか 李教授「文氏は実態よりも政治的思惑優先」
12/29(水)17:00配信 夕刊フジ
韓国経済に新たな不安要因だ。韓国銀行(中央銀行)が、米連邦準備制度理事会(FRB)と締結した通貨スワップ協定が年内で終了することが決まった。米国は来年3回の利上げを予定しており、ウォン暴落や資金流出の懸念を残す。文在寅(ムン・ジェイン)政権が北京冬季五輪の「外交的ボイコット」を検討すらしない露骨な親中姿勢だからか、駐韓米国大使も空席状態が続く。米国に見放されたのか。
通貨スワップは、通貨危機が発生した際に協定を結んだ相手国との間で通貨を融通し合う仕組みだ。聯合ニュースによると、韓国はコロナ禍の2020年3月に米国と限度額600億ドル(約6兆8100億円)のスワップ協定を締結。期限は9月末だったが延長を繰り返していた。
家計債務が増え続け、若年層の失業率が高いなど経済不安を抱える韓国にとって、セーフティーネットを米国と締結した意味は大きかった。協定により韓国に総額198億7200万ドル(約2兆2600億円)が供給されたが、昨年7月に返済されたという。
だが、通貨危機が懸念されるのはむしろこれからだ。FRBは22年に事実上のゼロ金利政策を解除し、3回の利上げを実施する見通しだ。為替市場への影響は大きくないと強気の韓銀だが、実際に利上げが始まれば資金がドルに流れてウォン安に傾き、資金が国外に流出する懸念もある。
韓銀が8月、11月と立て続けに利上げしたのも、こうした事態を防ぐためのものだが、金利上昇は家計や企業経営への悪影響も大きい。
協定終了の背景には米韓の距離もある。文大統領は、米国が主導する北京五輪の外交的ボイコットについて「検討していない」と断言、参加するよう求められてもいないとして中国寄りの姿勢を見せた。朝鮮日報によると、米国側は「同盟国やパートナー国と明確に協議を行ってきた」と説明しているといい、言い分が食い違う。
龍谷大の李相哲教授は「経済的に不安定な韓国は米国とのスワップを延長すべきだった。コロナ対応の失敗でも分かるように、文氏の判断は科学や実態よりも政治的思惑を優先しており、米国から距離を置かれる一方だ」と指摘する。
日韓の通貨スワップは、韓国の反日暴挙によって中止されたままだ。8月にスワップ協定を締結したトルコは通貨の混乱が続き、懸念を示す韓国メディアもある。コロナ対策だけでなく、文政権の経済政策にも不信感が募っているようだ。
■駐韓米国大使続く空席状態
駐韓米国大使の任命をめぐっても米韓で不穏な空気が流れている。
12月18日にはラーム・エマニュエル次期駐日米大使の任命が上院本会議で承認され、オーストラリアやインドなども続々と大使が任命されるなか、駐韓米国大使はいまだ人選が定まっていない。1月にハリー・ハリス前大使が退任して以降、1年近く空席が続く。韓国への不信感が理由になっているとの見方も韓国国内にある。
12月2日には、米軍と韓国軍の間で北朝鮮の核やミサイル脅威に対応するための新たな戦略企画指針(SPG)が承認されたと明らかになった。
一方で25日、米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで、ロバート・エイブラムス前在韓米軍司令官が、19年時点ではSPGを韓国側が受け入れなかったと暴露。韓国軍の力不足も指摘した。
前出の李氏は「米国による韓国外しは加速しているように思える。一向に頭を下げず、歩調を合わせることのない文氏に対し、同盟国であるはずの米国は、仲間ではないと認識しているのではないか。文氏が何を考えているか理解できない米政権は、次期大統領に照準を合わせるしかない」と指摘した。
米韓スワップ年内終了…韓国資金流出の危機 外交的ボイコットでも歩調乱し、米国に見放されたか 李教授「文氏は実態よりも政治的思惑優先」
12/29(水)17:00配信 夕刊フジ
韓国経済に新たな不安要因だ。韓国銀行(中央銀行)が、米連邦準備制度理事会(FRB)と締結した通貨スワップ協定が年内で終了することが決まった。米国は来年3回の利上げを予定しており、ウォン暴落や資金流出の懸念を残す。文在寅(ムン・ジェイン)政権が北京冬季五輪の「外交的ボイコット」を検討すらしない露骨な親中姿勢だからか、駐韓米国大使も空席状態が続く。米国に見放されたのか。
通貨スワップは、通貨危機が発生した際に協定を結んだ相手国との間で通貨を融通し合う仕組みだ。聯合ニュースによると、韓国はコロナ禍の2020年3月に米国と限度額600億ドル(約6兆8100億円)のスワップ協定を締結。期限は9月末だったが延長を繰り返していた。
家計債務が増え続け、若年層の失業率が高いなど経済不安を抱える韓国にとって、セーフティーネットを米国と締結した意味は大きかった。協定により韓国に総額198億7200万ドル(約2兆2600億円)が供給されたが、昨年7月に返済されたという。
だが、通貨危機が懸念されるのはむしろこれからだ。FRBは22年に事実上のゼロ金利政策を解除し、3回の利上げを実施する見通しだ。為替市場への影響は大きくないと強気の韓銀だが、実際に利上げが始まれば資金がドルに流れてウォン安に傾き、資金が国外に流出する懸念もある。
韓銀が8月、11月と立て続けに利上げしたのも、こうした事態を防ぐためのものだが、金利上昇は家計や企業経営への悪影響も大きい。
協定終了の背景には米韓の距離もある。文大統領は、米国が主導する北京五輪の外交的ボイコットについて「検討していない」と断言、参加するよう求められてもいないとして中国寄りの姿勢を見せた。朝鮮日報によると、米国側は「同盟国やパートナー国と明確に協議を行ってきた」と説明しているといい、言い分が食い違う。
龍谷大の李相哲教授は「経済的に不安定な韓国は米国とのスワップを延長すべきだった。コロナ対応の失敗でも分かるように、文氏の判断は科学や実態よりも政治的思惑を優先しており、米国から距離を置かれる一方だ」と指摘する。
日韓の通貨スワップは、韓国の反日暴挙によって中止されたままだ。8月にスワップ協定を締結したトルコは通貨の混乱が続き、懸念を示す韓国メディアもある。コロナ対策だけでなく、文政権の経済政策にも不信感が募っているようだ。
■駐韓米国大使続く空席状態
駐韓米国大使の任命をめぐっても米韓で不穏な空気が流れている。
12月18日にはラーム・エマニュエル次期駐日米大使の任命が上院本会議で承認され、オーストラリアやインドなども続々と大使が任命されるなか、駐韓米国大使はいまだ人選が定まっていない。1月にハリー・ハリス前大使が退任して以降、1年近く空席が続く。韓国への不信感が理由になっているとの見方も韓国国内にある。
12月2日には、米軍と韓国軍の間で北朝鮮の核やミサイル脅威に対応するための新たな戦略企画指針(SPG)が承認されたと明らかになった。
一方で25日、米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで、ロバート・エイブラムス前在韓米軍司令官が、19年時点ではSPGを韓国側が受け入れなかったと暴露。韓国軍の力不足も指摘した。
前出の李氏は「米国による韓国外しは加速しているように思える。一向に頭を下げず、歩調を合わせることのない文氏に対し、同盟国であるはずの米国は、仲間ではないと認識しているのではないか。文氏が何を考えているか理解できない米政権は、次期大統領に照準を合わせるしかない」と指摘した。