「これまでの人口政策は失敗した。このままでは社会存立は難しい」。

１日に経済・人文社会研究会と韓国開発院（ＫＤＩ）は「人口変化の構造的リスクと対応戦略」と題した討論会を開いた。専門家の警告は深刻だった。人口政策だけでなく財政支出構造、労働市場、教育・保育体系などすべてを変えなければならないという主張が続いた。

２０１９年の統計庁の将来人口特別推計を土台にした見通しで昨年１５．７％だった６５歳の人口の割合（高齢化率）は２０４０年に３３．９％、２０６０年には４３．９％に上昇する。全人口を１列に並べた時に中央に当たる年齢（中位年齢）は昨年の４３．７歳から２０４０年には５４．４歳に上昇する。２０６０年には６１．３歳に達する見込みだ。４０年後の韓国は世界最高の高齢化率を記録し、高齢者の国としての位置を確立する。働く人（生産可能人口）１人が事実上高齢者１人を扶養する老年扶養比９１．４％の疲れた国になる。

韓国政府が実施した人口対策は効果を出せなかった。ＫＤＩマクロ・金融政策研究部のカン・ドンス部長は「百貨店式に政策を並べ人口構造変化の深層的原因把握に失敗し目標と乖離した課題の多くが予算投入に比べ成果が不十分だった」と指摘した。

現在稼動中である汎政府人口政策タスクフォースの限界も明らかだった。カン部長は「企画財政部中心の汎政府人口政策タスクフォースは生涯学習、児童保育、地域均衡発展など国民的共感に基づいた社会的合意を導出できなかった。軍人材体系、高齢者福祉サービス年齢基準、地方財政交付金改編など重要課題の大部分が中長期課題に分類され、公論化は進まなかった」と指摘した。

財政支出改革も緊急な課題だ。国にお金を納める人より受け取る人が急速に増えるためだ。国の借金は急速に増加しているが見通しはさまざまだ。国会予算政策処は２０６０年に国内総生産（ＧＤＰ）比の国の債務比率が１５８．７％に増加するとみた。企画財政部の見通しは８１．１％でその半分水準にとどまっている。高齢化による財政衝撃がどの程度かに対する見通しが不透明な上にこれといった対応策も見られない。

韓国租税財政研究院のコ・チャンス財政見通しチーム長は「人口構造に直接的な影響を受ける義務支出と社会保険の持続可能性に対する総合的な検討が必要だ」と話した。

一方、統計庁が１日に発表した「２０２０年生命表」によると、昨年生まれた子どもの期待寿命は８３．５年と集計された。統計集計が始まった１９７０年以来毎年延びている。１０年前の２０１０年生まれと比較すると３．２年、３０年前の１９９０年生まれと比較すると１１．８年延びた。２０２０年生まれの女子の場合は期待寿命が８６．５年で男子の８０．５年より６年長かった。