飛び降り自殺率1位を記録する麻浦（マポ）大橋

仮想通貨暴落でパニックセール（恐怖感による投売り）が始まった先月末、ソーシャルメディア（SNS）では「警察が麻浦大橋非常勤務に突入した」という内容が話題になった。

共有された警察の通報画面には「ビットコインコミュニティでは麻浦大橋が多く使われている。パトロール強化が必要だ」という書き込みがあった。ソウル市内の漢江橋のうち投身自殺率1位の不名誉を持つ麻浦大橋が再び召喚されたのだ。

急増した「麻浦大橋」の検索量は、実際に自殺を図ったのだろうか。
同地区を管轄する麻浦警察署ヨンガン地区隊が24日にした答えは、「現在まで仮想通貨のため投身を試みた事例は把握されていない」というものだ。しかし若い世代にとって麻浦大橋が「自殺」というと思い浮かぶ象徴的な場所になったという点は否めない。

「他人と限りなく比べると不幸も大きくなる」

実際、漢江橋梁での自殺未遂事件は20~30代が多い。28日、ソウル技術研究院の報告書によると、2019年基準の漢江での年齢別自殺未遂は、20代が144件で最も多く、30代が97件でその後を継いだ。
11年から9年間、SOS生命の電話を最も多く利用した年代も20代（32.7%）だった。

ソウル市が把握した漢江橋や水辺での主な自殺原因（13年基準）は、精神科的症状（61%）や対人関係（24%）、金銭的損失（3.2%）、慢性的貧困（1.1%）などだ。
SOS生命の電話相談類型1位は22%の対人関係（2208件）で、進路·学業負担（2017件）が20%だった。

青年たちがこのような理由で極端な選択に悩むのに対しヨンガン地区隊のキム·ミョンギュ警部補は「経済的問題もあるがメディアの発達で他人と私の人生をあまりにも多く比較するようになり、以前より不幸をもっと大きく感じるようだ」とし「よく見ると大したことではない悩みもまだ成長段階の青年たちには耐え難い水準になる」と述べた。

しかし、自殺を図った理由や危険群などを特定して判断することは、事実上難しいというのが彼の意見だ。 この3年間、同地に勤務しているキム警衛は「自殺救助出動に頻繁に出た方だが、麻浦大橋に極端な選択をしに来る理由や事情はあまりにも多様だ」と話した。

コロナ19、仮想貨幣暴落などがこれらを漢江に導いた可能性もあるが、実際は「天気が良くなっただけで急に飛び降りるケースが増える」とキム警部補は伝えた。外で時間を多く過ごしているため、衝動的にそのような決定を下す確率も高くなるという説明だ。

◆抽象的な慰めよりも安全手すりの方が役立つ

キム警衛は多くの投身者の事例に接し、「慰めはむしろ毒になる」と考えるようになった。漢江の橋に使われていた自殺予防のキャッチコピーがその例だ。12年、ソウル市が市民公募で書き入れたこれらの文句は、海外広告祭で37の賞を受賞し、好評を得たが、その後、自殺率はかえって大幅に増える逆効果を経験した。12年、麻浦橋から飛び降りる試みは15人だったが、文言をつけた後の13年は93人、14年は184人へと急増したのだ。

しかし、16年、麻浦（マポ）橋の手すりの高さを従来の1.5メートルから2.5メートルへと引き上げると、飛び降りようとする人は減少した。16年の211人から17年は163人、18年は148人と次第に減少している。
ソウル市は自殺予防文言の実効性がないと判断し、2019年麻浦大橋に使われた文言をすべて削除した。

金警衛はこれに対し「とてもよく書かれた文章がむしろ人を弱くする」とし「慰めになるよりは否定的な決心まで強くしたのではないか」と述べた。