トランプ次期大統領候補の就任が近づいて来ました。具体的な政策は出揃っていませんが、選挙中の発言等からは、中国に対して高率な関税を課す可能性は比較的高いと言われています。そうなれば、中国が報復関税を課すことになり、米中の貿易戦争に発展しかねません。そうなった時に何が起きるのか、頭の体操をしてみましょう。
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米国の対中輸入額は輸出額の約4倍
米国の対中輸入額は、対中輸出額の約4倍あります。ということは、米国の対中輸入制限と中国の対米輸入関税が同時に課された場合、単純に考えて、中国の受ける打撃の方が4倍大きいということを意味しています。中国のGDPは米国よりも小さいので、打撃額のGDPで比べれば、その差は更に大きくなります。
金額だけではありません。中国の対米輸出品が労働集約型製品で、米国の対中輸出品が技術集約型製品だ、という点も両者の打撃の大きさに影響します。
まず、米国の中国からの輸入品について考えてみましょう。米国は、別の国から輸入することもできますし、米国内でも生産することができます。現在米国が中国から輸入しているのは、「安いから」という理由だけなので、関税がかかれば対中輸入は激減し、他国からの輸入と国内生産が増えるでしょう。国内生産が増える分は、米国内の雇用を増やします。
「米国の人件費は高いので、中国から輸入されている物を米国内で作るはずがない」、と考える人もいるでしょうが、途上国で労働集約的に作るか米国内で機械を使って作るかの比較なので、中国と米国の生産コストの差は賃金格差ほど大きくはないのです。
一方で、米国の対中輸入関税が中国に与える打撃は大きなものとなります。労働集約型製品の輸出が大きく落ち込むと、中国人労働者が大量に失業することになるからです。
次に、中国の米国からの輸入品について考えてみましょう。中国が米国から輸入しているのは、「単に安いから」ではなく、国内では生産できないから、という理由が主です。国内で生産できるならば、賃金が安い中国国内で生産した方が得なのに、米国から輸入しているのは、国内で生産できないからなのです。
政治的なダメージも中国の方が遥かに大
米国の対中輸入関税によって利益を得るのは、当然ですが対中輸入の増加によって損失を被って来た人々です。それはつまり、トランプ元大統領候補の支持層であった「没落しつつある白人労働者」たちです。つまり、トランプ大統領は、対中輸入関税を課すことで、自らの支持者の期待に応えることができ、二期目に向けて支持基盤を固めることができるのです。
中国にとっては、対米輸入関税を課しても国内生産が増えないので、メリットはありません。一方で、対米輸出が激減することの政治的なダメージは相当大きなものとなりかねません。現在、中国では、過去の過剰投資に起因する過剰生産能力を削減してゆく必要が唱えられているにもかかわらず、過剰能力削減に伴う失業の増加懸念や地方政府の抵抗等々により、削減が進んでいません。そうした中で、対米輸出が激減して生産能力が一層過剰になることで、いよいよ設備削減が避けられなくなり、様々な摩擦が発生し、現在すでに熾烈である国内の権力闘争が一層激しくなる可能性も高いでしょう。
米国企業の中国子会社は困るが、米国が困るわけに非ず
中国に子会社を設立して安価な労働力を雇って物を作り、米国に輸出している米国企業は多数あります。米国が対中輸入関税を課すと、そうした企業が困ると考える読者は多いでしょう。それは誤りではありませんが、米国企業の中国子会社は中国企業ですので、本当に困るのは中国企業とその従業員です。米国の親会社が中国子会社から受け取る配当金は減りますが、米国経済への打撃はそれだけです。グローバル展開をしている巨大企業は発言力が強いので、あたかも米系中国企業の打撃は米国経済への打撃であるように聞こえるかもしれませんが、そんなことはないのです。
中国が報復として米国債を売却する可能性は皆無
米国サイドには、「米国が対中輸入関税を課したら、報復として中国が保有する米国債を売却するかもしれない」という懸念があるとも聞きます。しかし、それはあり得ません。そんなことをしたら、米国より中国の方が大きな打撃を被るからです。
まず、中国政府が保有する米国の長期国債を売却して米銀に預金するだけなら、米国は何も困りません。長期国債が値下がりして米国の長期金利が一時的に上昇するでしょうが、その分だけ「米国人投資家が値下がりした長期国債を購入して高い利回りを享受する」「FRB(米国の中央銀行)が短期国債を売却して長期国債を購入する」「米国政府が長期国債の発行額を減らして短期国債を借り換えることにする」というだけのことです。
現在の長期金利が米国の投資家や政府や中央銀行が概ね妥当だと考える水準にあるのだとすれば、中国政府の売却により一時的に上昇したとしても、しばらくすれば元の水準に戻るのです。結果として、安値で長期国債を売却した中国政府が損をした、というだけの結果に終わるでしょう。
では、中国政府が米国債を売却して、売却代金のドルを人民元に替えて本国に持ち帰ってしまったら、どうでしょう? それこそ中国政府の「オウンゴール」でしょう。巨額のドル売り人民元買いの注文が中国政府から出されるため、猛烈なドル安人民元高となり、中国製品の輸出競争力は一気に弱まるでしょう。
対中関税により米国の外交上のメリットも
対中関税を課すことで、米国は世界に向けて「米国の利益のためなら、今までの政権が採らなかった手段も躊躇なく採用する」というメッセージを発することができます。それにより、対米ダンピング輸出をしている外国企業に対してはもちろんのこと、輸入関税が高かったり為替レートが割安だったりする国の政府に対しても、「是正しないと次は貴国が関税の対象になるよ」という脅しになります。
さらに、「米国政府は何をしでかすか予測不能」と各国の首脳が考えれば、反米的な政権が少し親米的な姿勢に変化するかも知れません。日本も、「在日米軍の費用は全額負担しないと、米軍が撤退してしまうかも」という恐怖心から、費用負担に応じるかも知れません。
実際に対中関税を課する前にも、「関税を課すかもしれない」というアナウンスは、中国向けの大きな抑止力となり得ます。「仮に中国が尖閣諸島に攻め込んだら、軍隊で反撃する以前に対中輸入を禁止する」と予め宣言しておけば、中国が尖閣諸島に攻め込むことはないでしょう。
米中貿易戦争は、日本にとって「漁父の利」を得るチャンス
米国と中国が相互に高率の関税を課し合うとすれば、日本にとっては絶好のチャンスです。中国が米国から輸入していた物、米国が中国から輸入していた物の一部が、日本からの輸入に切り替わる可能性が高いからです。
米国の対中国輸入が減り、中国の景気が悪化し、日本から中国への輸出が減る、と心配する人もいるでしょうが、心配ご無用です。米国が中国以外の途上国から輸入することになれば、その国の景気が拡大し、対日輸入が増えるはずだからです。
仮に米国の保護主義がこうじて、対中輸入関税に留まらず、対日輸入関税が課されることになったとすると、話は厄介ですが、それでもなお、被害は限定的なものに留まる可能性が高いと言えそうです。
日本は、何十年も前から激しい日米貿易摩擦の洗礼を受け続けて来たため、免疫も耐性もできています。米国での現地生産も大々的に行なわれています。従って、初めて米国からの貿易摩擦の洗礼を受ける中国とは、受ける打撃の大きさが異なるわけです。
そもそも米国の対日貿易摩擦は激しくならない、という論者もいます。いまや多くの州に日系企業の工場があり、多くの米国人が雇用されています。そうした州から選出されている国会議員は、日本企業と仲良くやりたいので日米貿易摩擦を好まない、という傾向にあるというわけです。
さらに言えば、トランプ円安のおかげで輸出企業は巨額のドル高メリットを享受していますから、多少の関税が課せられたとしても、気にならない(関税の分だけドル建て輸出価格を引き下げても、円建て輸出価格はトランプ円安前と同水準かもしれない)というわけです。
미 중 무역 전쟁이라면 미국의 압승, 일본에는 어부지리
우선, 미국의 중국으로부터의 수입품에 대해서 생각해 봅시다.미국은, 다른 나라로부터 수입할 수도 있고, 미국내에서도 생산할 수 있습니다.현재 미국이 중국으로부터 수입하고 있는 것은, 「싸니까」라고 하는 이유만이므로, 관세가 들면 대 중국 수입은 격감해, 타국으로부터의 수입과 국내 생산이 증가하겠지요.국내 생산이 증가하는 분은, 미국내의 고용을 늘립니다.
트럼프 차기대통령 후보의 취임이 가까워져 왔습니다.구체적인 정책은 모이고 있지 않습니다만, 선거중의 발언등에서는, 중국에 대해서 고율인 관세를 부과할 가능성은 비교적 높다고 말해지고 있습니다.그렇게 되면, 중국이 보복관세를 부과하게 되어, 미 중의 무역 전쟁으로 발전할 수 있습니다.그렇게 되었을 때에 무엇이 일어나는지, 머리의 체조를 해 봅시다.
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미국의 대 중국 수입액은 수출액의 약 4배
미국의 대 중국 수입액은, 대 중국 수출액의 약 4배 있어요.그 말은, 미국의 대 중국 수입 제한과 중국의 대미 수입 관세가 동시에 부과되었을 경우, 단순하게 생각하고, 중국이 받는 타격이 4배 크다고 하는 것을 의미하고 있습니다.중국의 GDP는 미국보다 작기 때문에, 타격액의 GDP로 비교하면, 그 차이는 더욱 커집니다.
금액만이 아닙니다.중국의 대미 수출품이 노동 집약형 제품으로, 미국의 대 중국 수출품이 기술 집약형 제품이다, 라고 하는 점도 양자의 타격의 크기에 영향을 줍니다.
「미국의 인건비는 비싸기 때문에, 중국으로부터 수입되고 있는 것을 미국내에서 만들 리가 없다」, 이라고 생각하는 사람도 있겠지만, 도상국에서 노동 집약적으로 만들까 미국내에서 기계를 사용해 만들까의 비교이므로, 중국과 미국의 생산 코스트의 차이는 임금 격차만큼 크지는 않습니다.
한편, 미국의 대 중국 수입 관세가 중국에게 주는 타격은 큰 것이 됩니다.노동 집약형 제품의 수출이 크게 침체하면, 중국인 노동자가 대량으로 실업하게 되기 때문입니다.