ノルウェーは昨年、EVの税制優遇策が40億ドル（５８００億円）を占めていると公表した。これは国庫全体の2％にあたる。

これによる財源不足で、国に不可欠な道路の維持が難しくなってしまった。

⚫️得をしたのは富裕層だけだった

EVの税制優遇策と補助金の撤回は物議をかもしている。

この対立はガソリン車の所有者（国内の72％）とEVの所有者（主に富裕層）との間で生じている。

また、都市部と地方（特に北部山岳地帯）との間でも分断が起きている。

政府は低所得者層のEV購入負担を緩和すべく、30年ものあいだ、EVは自動車税を免除されてきた。

また高速料金とフェリー運賃は、依然としてガソリン車よりはるかに低額だ。

現在、自動車を購入する際に課せられる税は2万7000ドル（約390万円）ほどだ。しかも、ここに25％もの付加価値税が加わる。そしてガソリン車への課税額は、自動車の重量と二酸化炭素排出量によって加算される。

今回、これに比べれば低額ではあるものの、2023年1月、政府はEVにも同様の課税を開始した。

またEV専用の無料駐車場は2017年に街から消え、2022年にはEVに対する道路税の免除も廃止された。

さらにこの2年間で、企業に対するEVの税額控除額は半減した。

EVの初期費用4万5000ドル（約660万円）まで付加価値税から免除されることに変わりはないが、自動車税がそれ以上に膨れ上がったため、テスラやポルシェといった最高級EVの購入者たちは、従来よりもはるかに多額の出費が必要になる。

⚫️EVも所詮「車」だ

一部の政治家は、EVにも多くの問題があると懸念を表明している。EVは多すぎる交通量を減らす訳ではないし、EVは車体が重いのでタイヤが削れるため、タイヤの粒子排出量が増加してしまう。

またEVの増加によって、数年以内にノルウェー国内の送電網はパンクしてしまうだろうと、水力発電会社は懸念を示した。